プロローグ56 【9月27日/部活選択決断日3日目】3/嘘みたいな展開/事実は小説より奇なり2
【芳一】は彼に絡んできた関西人、【大門 隼人】に自分が借りるハズだった兄、【徳太】の家の【部屋】を借りる権利を譲った。
すると嘘みたいな展開となり、【隼人】が【芳一】の代わりに住むことになり、【芳一】が引っ越せなくなった。
昨夜からの奇妙な同居人?、【御神体】の化身【芳果】と【怨魔体】の化身【芳寿】が言うには、これから、【徳太】の【家】の代わりとなる【部屋】を手に入れる事になるからそれを受け取りに行くと言うのだが、心当たりがあるとすれば、姉の【遼子】の家だが、姉の家は現在、【母】が同居しているため、【芳一】が住むスペースは無いはずだ。
つまり、姉の家でも無い。
他に心辺りが無いため、どう行動したら良いのか解らず、戸惑っていると、
『なぁに、今日はお前の気持ちの赴くままに行動すれば良いのじゃ。後は運命から勝手に転がってくる』
『そうそう。運命は決まっているんだから。後はそれを素直に受け入れるだけよ』
と【芳果】と【芳寿】は言ってくる。
昨夜は散々いがみ合っていたのに、今ではすっかり仲良しに見える2人だった。
とりあえず、外に行かなければ、【新しい部屋】も手に入らないと思うので、出かける事にした。
幸い、今日は【土曜日】でバイトも休みである。
今夜の【都立夢異世界部活学校】は、明日からの【初等部4年生での部活】を決める日だから、心の準備みたいなのが居るのだが、そうも言っていられない。
【徳太】の家が駄目だと【芳一】は家を失う事になってしまう。
実は【アパート】の大家さんに、
「近いうちに引っ越す事になりそうです」
と伝えている。
今更、引っ越しは無くなりましたと言う訳にも行かない。
だから、次の住処を決めなくてはならないせっぱ詰まった状況になっているからだ。
そんなブルーな気持ちでアパートを出るとアパートの入り口にそこには不釣り合いな車が止めてあった。
車の事はあまり詳しくないが、確か【ロールスロイス】では無いだろうか?
【公式ショーファー】が居る【高級車】の代名詞だ。
この辺りで見かける事は無い車では無いのは間違いない。
そこから、【執事】と思われる人が出て来て、後方のドアを開ける。
中から高校生くらいの綺麗な顔の少年が出て来て、
「セバスチャン、後は自分でやるからもう良いよ」
と言った。
【セバスチャン】って、どうみてもその人は、【日本人】じゃないの?と突っ込みを入れたくなったが、そんな事より、この少年がこの【ボロアパート】に何の様だと思っていると、【芳一】の前に出て来て、
「【唯野 芳一さん】ですね。初めまして、お噂はかねがね。【大門 隼人君】から事情は聞きました。今日は僕とデートをしてくれませんか?」
と言ってきた。
【芳一】は、
「え?僕っ?君、男の子じゃないの?僕は男だよ?」
と言うと、少年は、
「えぇ、存じ上げていますよ。宜しければそちらのお嬢さん方も」
と言った。
【お嬢さん方】って出かけるためにカプセルトイサイズまで小さくなった【芳果】と【芳寿】の事が見えているのか?
この少年は一体?
【芳一】は警戒心が強くなって身構えた。
少年は、
「心配しないで下さい。悪意はありません。貴方は【御神体】と【怨魔体】の両方と契約なされたのですね。流石です。
僕も、【御神体】の方とだけと契約しているんですよ」
と言ってきた。
【芳一】が、
「君は一体」
とつぶやくと、人型サイズまで大きくなった【芳果】が、
『こやつ、【2体目】と契約しておる男じゃ。お前のライバルになる』
と言った。
少年は、
「ライバルなんてそんな、おこがましいです。僕の名前は、【天村 能活】と言います。幼い頃からの貴方のファンです。
貴方に近づくために、僕は力を付けました。
貴方が【フィクション・レジェンド】で使用していた【ラスボス数字】、【13】と【24】と【96】の数字の一つにあやかって【24作】の【アニメーション】を作ろうと計画したら、【御神体】と契約する事になりました。これも全て貴方のおかげです。
ありがとうございます。後、北海道に住む友人姉妹が居るんですが、その子達も【ちょいちょいちょいなさん】の【ラスボス数】にあやかって【24作】の【漫画】を作る計画をした所、【御神体】と契約する事が出来たそうです。2人にかわってお礼を言わせてください。本当にありがとうございました」
と言ってきた。
何と、【能活】が【3人目】として認めた【芳一】だけでなく、自らを【1人目】としている【能活自身】と【2人目】としている【神宮 美彩】16歳と【神宮 雛鞠】6歳の姉妹も【御神体】を手にしている事が【能活】の口から告げられた。
【芳一】が【女体】として【御神体】を【顕現】させたのに対して、
【能活】は【アイテム】として【御神体】を【顕現】、
【神宮姉妹】は【動物】として【御神体】を【顕現】、
と言う条件の違いはあるが、3組とも力ある存在として【神】に認められたと言う事になるのだ。
そして、運命に導かれる様に、【能活】が自分に会いに来たのだ。
人と人とのつながりとは全く奇妙奇天烈なものである。
とりあえず、ここまで来て貰って追い返すのも気が引けるので、【芳一】は人型サイズに大きくなった【芳果】と【芳寿】も連れて、4人で、【デート】をする事にしたのだった。




