プロローグ55 【9月27日/部活選択決断日3日目】2/嘘みたいな展開/事実は小説より奇なり1
【芳一】は、兄の家にお世話になる権利を学校をやめて【東京進出】を考えている関西人、【大門 隼人】に譲った。
すると、運命が切り替わった。
時は、少し巻き戻り、【芳一】の【姪】の【詩遊】が【隼人】と出逢った時にさかのぼる。
【隼人】は、
「なぁ、【詩遊ちゃん】、付き合うてぇなぁ」
と言ってきた。
【詩遊】は、
「何言ってんの、あんた。【芳ちゃん】の敵は私の敵だって言ってるでしょ?ついて来ないで」
と言って【隼人】の元から立ち去ろうとしていた。
居合わせた【詩遊】の友達の、【黄 峰花/(日本名こう ほうか)】も、
「お前、しつこいね。嫌だと言てる、わからんか?」
とたどたどしい日本語で怒鳴る。
友達の【佐竹 美幸】と【間島 翔子】が【隼人】の両手を掴み、
「離れろと言ってるでしょ、この変態が」
「しつこい男は嫌われるのが解らないの?」
と文句を言っている。
【アーリン・ライト】は堪忍袋の緒が切れて、
「地獄に落ちろっ、痴漢野郎っ」
と言って何とドロップキックを【隼人】に見舞った。
その勢いで、【隼人】は道路に投げ出される。
【詩遊】と友達4人の5人は、
「「「「「あっ」」」」」
と言うが後の祭りだ。
【隼人】は車に轢かれ、病院に搬送された。
幸い、怪我は大した事は無かった様だが、【徳太】達は、病院に詫びに言った。
【隼人】は、
「かまへん、かまへん。俺が原因みたいなもんやからな」
と言った。
【徳太】は、
「申し訳ない。本当になんて言ってお詫びしたら良いのか。ほらっ、【詩遊】、お前も謝りなさい」
と【詩遊】に謝罪させ様とする。
【詩遊】と友達も、渋々、謝ろうとするが、それを遮って、
「それより、俺は東京進出を考えているんや。がっこも先日、退学届け出して来たさかいな。何か良い部屋とかあったら紹介して欲しい思うとんねん」
と言ってきた。
【徳太】は、申し訳なさから、【隼人】を自分の家で受け入れる事にした。
【芳一】には【客間】が空いているからそこを使ってもらうとして、【隼人】は、【芳一】が使うハズだった部屋に下宿してもらう事になっていたのだった。
時は本来の時間に進み、朝早く、その事情を伝えに、【徳太】から【電話】が入った。
「そう言う事なんだ。だから、スマンが、お前には客間を使って貰ってだな」
と言う兄に対して、
「あ、良いよ。そう言う事なら、僕は違う家を探すからかまわないよ。元々引っ越そうと思って部屋も整理し始めていたんだけど、荷物が多いからどれくらいかかるかわかんなかったし、いつ、そっちに行けるか言えなかったから、こっちも気兼ね無く時間を気にしないで整理出来るから」
と言う言葉を贈った。
「本当にスマン。お前が落ち込んでいる時に」
「いや、気にしないで頂戴よ。これで兄貴に気を遣わなくて済むから、せいせいしたくらいだよ」
「本当にスマン」
「良いって、良いって。じゃあ、兄貴もその子の事で色々大変だろうけど、頑張ってくれ。僕の事は全然、気にしなくて良いから」
と言う話をした。電話を切ると、
「どどど、どういう事?」
と言った。
【芳果】は、
『だから、そう言う運命になると申したでは無いか』
と言い、【芳寿】も、
『後は次の部屋が決まる様に行動しなくちゃね。幸い、今日は土曜日で仕事もお休みだしね』
とウインクした。
本当に、【徳太】の家の【芳一】が借りる予定だった【部屋】に【隼人】が住む事になったのだ。
奇妙な運命のつながりの様なものを感じた。
奇妙だったのは今までは【夜】寝ている時だけだったのだが、それが【日中】にまで侵食して来たと思ったのだった。
『さぁ、運命と言う賽は投げられた。後はそれを掴みに行くだけじゃ』
『人生はこうでなくちゃね。面白くなってきたわ』
と2人の同居人は言った。
どうなってしまうのか?先が全く読めない。【芳一】はちょっと不安に思うのだった。




