プロローグ52 【9月26日/部活選択決断日2日目】6/選ばれし【芳一】2
【芳一】は、【部活選択決断日2日目】として、【イメージサンプル】を見ていたら途中から、【4体目の御神体】を名乗る【巨大な赤子】に話しかけられて、成り行きで、自身の【ライフワーク】として趣味として制作していた【フィクション・レジェンド】と言う作品の【ボツネタ】となった【元ヒロイン】の【イラスト】を描いている。
【4体目の御神体】は、【芳一】がこれから作る事になる【24の小説】の紡がれた【物語】の【力】を得て、【芳一】が覇王となるための【サポート】をしてくれるらしいのだが、現時点で【芳一】は、その【24作】は、まだ形にしていないため、【顔】を持てないらしい。
そこで、【24作の小説/出版化を目指す13作品と予備の11作】を彼が作るまでの仮の顔として、【フィクション・レジェンド】と言う作品の【ヒロイン】の【ボツデザイン】を採用する事になり、今、彼は【4体目の御神体】が【顕現】するための【デザイン】をしているのだ。
【芳一】は、イラストを描きながら、
「あの、あなたの事は何とお呼びしたら良いのですか?【4体目の御神体】と言うのはちょっと呼びにくいのですが」
と言った。
【4体目の御神体】は、
『それならば、お前が好きに決めれば良い。我はお前の【力の化身】となったのだ。
ならば、【名付け親】としてお前が付けるのが筋と言うものであろう』
と答えた。
「え?僕が決めるんですか?」
『そうだ。名前はお前が決めろ』
「いや、僕はキャラクターの名前を決めるのが不得意なんですけど。いつも【キャラクターデザイン】はサクサク出来るのに、名前の所で躓くんですよね」
『では我が決めて良いのか?』
「出来ればお願いします」
『ふむ。では【唯野】は決まりだな』
「【唯野】って僕の名字ですけど?」
『そうだ。これから一緒に暮らすのだから、同じ名字で問題あるまい』
「いや、夫婦になる訳じゃないんですから」
『夫婦ではないが、一蓮托生のパートナーになるのだ。夫婦以上の絆があると思えば良い』
「そうなんですか?」
『そうだ。我にとっても我の力がどの様にして得ていくかどうかはお前次第なのだ。
我にとってもお前はかけがえの無い存在になるだろう。
我は今は無力だから、お前がしっかりと我を守るのだぞ』
「え?守ってくれるんじゃないんですか?」
『我は、お前が【24の物語】を紡ぎ出すまで何の力も無い。
我がどうなっていくかは、お前次第なのだ』
「え?僕次第なんですか?」
『そうだ。お前次第だ』
「いや、だって、小説は5年目まで凍結しようと思っていて。【飛び級】のために」
『ならば、その5年目まで我は無力だ。それまで世話になるぞ』
「そんな」
『そんなもこんなもない。我の力を得たくば、早く作れば良い。簡単な話であろう。
我は今のところ、身体のサイズを変えたり、服装を変えたりするくらいの力しかない。
後はお前の相談相手になれるくらいだな』
「そうなんですか?何か、お荷物が増えた感じだなぁ~」
『無礼だぞ。お前は選ばれたのだ。それを誉れと思えと言うておる。それがわからんのか?』
「そんな事、言われても普通こういうのって、便利な力とか道具とか使えて、主人公を助けてくれたりするんじゃないんですか?」
『そうして欲しければそう言う風に【24の物語】を作れば良い話だ。
お前はお前の【発想力】で事を為していくのだから』
「何か釈然としないなぁ」
『文句ばかり言うな。手を動かせ、手を。手が止まっておるぞ』
「解りましたよ」
と言う会話をしながら、【芳一】は【イラスト】を描き上げた。
それを元に、【4体目の御神体】は、自らの【顕現化】の【モデル】とした。
現実化した【4体目の御神体】の姿を見た時、
「か、可愛い」
とつぶやいた。
自分で可愛らしく描いたとは言え、【2次元】の【キャラクター】が【3次元】の肉体を持って彼の前に出ている事が嬉しかった。
【4体目の御神体】は、
『よし決めた。我の名前は、【唯野 四視化】だ。
いや、お前の名前の一字を貰い、【唯野 芳果】とする。
よろしくな』
と言った。
【芳一】は、
「た、【唯野 芳果】って」
と言った。
【4体目の御神体】改め、【芳果】は、
『お前が望むなら、妻と言うことにしても良いぞ』
と言ってウインクした。
「か、からかわないでよ」
『からかってなどおらぬ。我は本気じゃ』
「困るよ」
『何を困る事がある。元々お前がデザインしたのじゃ。お前の好きにしたら良いではないか?』
「自分の作ったキャラクターでそんな事出来ないよ」
『何故だ?』
「何故って言われても」
と言うように、しどろもどろになっていた。
女性経験の少ない彼にとって、超絶美少女にデザインした【芳果】に迫られるとドキドキしてしまうのだった。
そんな事があった。
【芳一】以外で5組が同じように【覇王】となる資格を持って【御神体】にアプローチを受けている。
【2体目の御神体】に選ばれ、【アイテム】として【顕現化】したのは【天村 能活】17歳。
【3体目の御神体】に選ばれ、【動物/ペット】として【顕現化】したのは、姉【神宮 美彩】16歳と妹【神宮 雛鞠】6歳の姉妹なのだが、【芳一】は気付いて居なかった。
【5体目】から【7体目】の【御神体】が誰を【パートナー】にしたかは不明となっている。
【御神体】とは一体、どんな【存在】か?
それはまだ謎のベールに包まれていた。