プロローグ51 【9月26日/部活選択決断日2日目】5/選ばれし【芳一】1
【瑠璃】は【部活見学】の【第7夜】として、【コスプレ部】を見学し、【桔梗】は、【質問タイム】として、【インビジブル・サポーター】に彼女なりの質問をしていた。
では、【芳一】は何をしていたか?
彼は、昨日の【桔梗】が鑑賞した、【イメージサンプル】の鑑賞をしていた。
【1夜】に対して、3本、見る事が出来るので、3種類の【部活】を選んでそれを【鑑賞】する事にしていた。
1本目として彼が選んだのは、【アイテム・フィッシング・ハント部】だった。
【マイナー】な【部活】で部員も部長一人だったが、【小説】の【ネタ】として似たようなものを考えた事があるので、ちょっと興味が湧いたのだ。
【芳一】が考えたのは【モンスター】などを【フィッシング】や【ハンティング】で【ゲット】すると言うネタだったが、【アイテム・フィッシング・ハント部】では、【魚】の代わりに【アイテム】が泳いでおり、それを【釣り道具】に似た【道具】を使って釣り上げるのが、【アイテム・フィッシング】。
同様に【アイテム】を【ハンティング】して捕らえるのが、【アイテム・ハンティング】としている【部活】である。
こういう事を考えた【部長】は発想力があると言えるだろう。
2本目として選んだのが【SFメカニック部】で、3本目は【ファンタジー冒険部】にしようと思っていたのだが、謎の【存在】の介入により、2本目と3本目を見ている時間はその【存在】との会話に費やされてしまったのだった。
謎の【存在】は、
『喜べ。お前は選ばれた。4番目の【御神体】たる我に』
と突然、【芳一】に話しかけてきた。
その姿は【巨大な赤子】だった。
【瑠璃】から、昨夜の【部活見学】をした【異世界交流部】は、最初に出来た【部活】であり、そこに【御神体】と呼ばれる巨大な【赤子】が鎮座していたとは聞いていたが、それと同じ様な【印象の赤子】だった。
【芳一】は、
「ど、どちら様ですか?」
と尋ねると、【巨大な赤子】は、
『お前は聞いているはずだ。【神】に作られし7体の【御神体】の話を。
【夢異世界部活学校】の【要】になっているのが1体目。
我は4体目に相当する。
2体目は、17歳の少年が【アイテム】と言う形で【顕現】させた。
3体目は、16歳と6歳の姉妹が【動物】と言う形で【顕現】させた。
5体目は【衣装】と言う形で【顕現】、6体目は【子供】と言う形で【顕現】、7体目は【人形】と言う形で【顕現】されるとなっている。
お前は【女】と言う形で【顕現】を望むのだな?』
「いやいやいや、何も言ってませんから」
『言わなくても解る。お前は【女】を望んでいる。
ならば、【女】となり【顕現】しよう』
「ちょちょちょ、突然、何なんですかあなた?意味がわかんないんですけど」
『お前は覇王となるべく選ばれし6名の1人だ【不死】/【永遠】の【物語】を【紡ぐ者】よ』
「は?どういう事ですか?」
『お前は【24】の物語を紡ごうとしている。それは【不死(24)】/【永遠】を意味する【特別】なものとなる。誰にでも出来るものではない。それが出来るのはごく僅かの者に限られる。お前はその一人だ。故に我はお前を選んだ。誉れに思うがよい』
「【24】の物語ってこれから作るものの事ですか?まだ構想段階で出来てませんけど?」
『そうだ。これから作られる。我はその【24】の物語1つ1つの【顔】を得て、【覇王】となるべきお前に【力】を授ける事になる。
だが、それは他の5名の選ばれし者も同じだ。
実際に【覇王】となれるのは【24作】を完成させて【御神体清澄曼荼羅】を作り出せた一組のみだ』
「【御神体清澄曼荼羅】って何ですか?」
『【両界曼荼羅】は知っておるか?』
「ネットの情報だと密教の中心となる仏である大日如来の説く真理や悟りの境地を視覚的に表現した曼荼羅の事ですか?【胎蔵界曼荼羅】と【金剛界曼荼羅】の二つの事ですか?ネタとして使った事があるからそれくらいは」
『それならば話は早い。実はな【曼荼羅】は7種類ある。
人の世に伝わっておるのが、【両界曼荼羅】の2つ。
他に、【御神体清澄曼荼羅】と【怨魔体汚濁曼荼羅】と言う選ばれし者が己の【想像力】を活かし【覇権】を目指して作る【清濁曼荼羅】と呼ばれる【曼荼羅】が存在する。
そして、【御神体清澄曼荼羅】か【怨魔体汚濁曼荼羅】のどちらかを完成させた者が、【覇王】となるべく3つの【秘匿大曼荼羅】と言うものを手にし、この【世】の覇権を握ると言われておる。【両界曼荼羅】以外は選ばれた者しかその存在を知らぬ。そう言う類のものじゃ』
「何か嘘くさいな」
『嘘偽りでは無い。まことの事じゃ。そして最初に【御神体清澄曼荼羅】か【怨魔体汚濁曼荼羅】を完成させた者以外の【曼荼羅】はその存在を認める訳には行かぬ。
歴史の闇に消えていく運命となる。認められし【曼荼羅】以外は紛い物に過ぎん。
たった1つの席をお前は奪い合う事になる。
そして、我はそんなお前を【御神体清澄曼荼羅】の力を自在に操る【覇王】/神の化身【無限量主】にするべくサポートをする事になる。よろしく頼むぞ』
「いやいやいや。あなたがどうやって僕のサポートをするんですか?ひょっとしてついてくるつもりですか?」
『そうなる。そこでだが、【24】の物語が紡がれていないから、我には顔が無い。
そこで、お前が今まで好きだった事のあるおなごの中より、適当な顔を選ぶ事にするがかまわぬな?』
「いやいやいやいや、ちょっと待って下さいよ。そんな恥ずかしい真似しないで下さいよ。
顔が無ければ、僕が今描きますから。
どんな顔でも良いですか?とりあえず、【ライフワーク】として作っている作品で【フィクション・レジェンド】って作品がありますので、その中のキャラクターを【似顔絵】っぽく描きますから、とりあえず、その顔で居て下さい。僕の好きだった子の顔なんて絶対に嫌です。恥ずかしいし」
『どちらにせよ、お気に入りの顔を描くのであろう?』
「そりゃそうですけど、とりあえずの仮の顔なら、後で変更が必須とするなら【主要キャラ】とかじゃない方が良いですかね?」
『そうだな。あまり適当なキャラクターでも困るが、とりあえず無難なものにするが良いぞ』
「解りました。あんまり変な髪型にはしない方が良いと思うので、メインヒロインのボツにした【髪型】で良いですかね?メインヒロインは最初、死んで伝説になる予定でしたけど、亡くなった友人から自分に重ねて、殺さないで欲しいと言われたので、予定変更にしたんですけど、死ぬ予定だった時のデザインがボツになっていたので、それを描きますよ。
当初はポニーテールにしようと思っていたんですけど、思うことがあって、昔のスーパーアイドルの髪型を元にして、髪型を変更したんです。
なので、今のヒロインの髪型は全く違うんですけど、ポニーテールのデザインがそのまま使っていなかったから、とりあえず、これを使って下さい」
『我に死ぬ予定だった【キャラクター】のデザインにしろと言うのか?』
「死ぬ予定だっただけで実際には作品で一度も殺していませんから別にかまわないんじゃないんですか?」
『まぁ良いだろう。どうせ、一時的な顔に過ぎんのだし』
「じゃあ、それで良いですね?パパッと描きますから」
『パパッとでは困る。それなりに丁寧に描くが良い』
「はいはい、解りました」
と言う会話になった。
【芳一】としては、何だかよく解らない【サポーター】か【パートナー】が増えそうな雰囲気だが、元々、【都立夢異世界部活学校】と言う現実としてはあり得ない所に来ているので、突然の展開も素直に受け入れていたのだった。