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プロローグ4 【9月18日/部活見学1日目】1/不器用な天才

 翌日の9月18日、【芳一】は朝起きて、【アルバイト】に出かけた。

 彼は【小説家】として、【本】に関わる仕事をしたいと思い、【本の発送】の【アルバイト】をしている。

 彼の勤務時間は午前8時から正午までの4時間である。

 半日の勤務なので、彼はメインとなる発送では無く、【事故】を調べる【検品】と言う仕事だった。

 持ち前の明るさを発揮して、彼は【バイト先】では人気者だった。

 彼の【創作】や交通事故にあった事などのこれまでの経験などの話は、どれもドラマチックであり、ギャンブルくらいしか楽しみの無い【同僚】達には新鮮に映っていたからだ。

 彼は夢の話をよくしており、【同僚】達も自分のことの様に楽しんでいた。

 中には嫉妬して嫌がらせをしてくる者も居たが、彼はそれも上手く立ち回っていた。

 それは、【本を出版する】と言う夢を持っていたから出来た事であり、【出版社】に騙された今となっては、元気が無くなっていた。

 【同僚】達は【裁判】をした方が良いと良く言ったが所詮は他人事、裁判に負けたと解ると蜘蛛の子を散らす様に【芳一】から離れて行ったのだった。

 それでも諦めず、【創作活動】をしていると話すと、聞いてくれる【同僚】はまだ少し居て、それだけが彼の希望を繋いでいたのだった。

「【芳一君】、俺らは応援しているから」

「【芳一君】の才能は私達が知ってるから」

 などと言われるとまだ諦める事はこの応援してくれる人達に対して失礼にあたると彼はろうそくの火が消えそうな気持ちを奮い立たせて、また頑張ろうと思うのだった。

 稼ぐよりも、自分の作品を楽しいと思ってもらえる人達に楽しんで貰える作品を作って行こうと思えるのだった。

 バイトも正午になった時点で終わり、

「お先に失礼します」

 と挨拶する。

「あぁ、またな」

「明日もよろしく」

「お疲れ様」

 などと返事が返ってきた所で彼は帰宅する。

 そこで【芳一】は、仕事の汚れと汗を取るためにシャワーを浴びて、朝食の残りを昼食にして食べるとすぐに、【創作活動】に取りかかる。

 【主要作品】/【代表作】として考えていた【作品】達は【悪徳出版社】に盗作されてしまった。

 が、彼には他にもたくさんの【物語】のストックがあった。

 それらの作品は彼がまだ未熟な時に作ったもので正直、出版に耐えられる様なものではない。

 だが、それらの作品を今の技量を持って組み替えて、【短編小説】として、【ブログ】や【ホームページ】などで発表する作業を繰り返していた。

 そして、いつか出版資金が出来た時、新作を出すための【ネタ作り】も初めていた。

 まだ、彼は諦めてなど居なかったのだ。

 生きている限り、手が動く限り、アイディアが浮かぶ限り、創作意欲が湧く限り、彼は【創作活動】を止めようとは思わなかった。

 ちゃんと見てくれる人は居る。

 だからこそ、彼は頑張り続ける事が出来た。

 こうして、彼は、6時間作業を続けて、その後は晩ご飯を買いに行き、残った時間はテレビ番組や本などを読む時間に充てる。

 いくら才能があると言っても、彼は万能ではない。

 アウトプットばかりではいつかネタが枯渇してしまう。

 だから、外からの情報を得るために、色んなものを見たり聞いたりする時間も必要な時間として取り入れていた。

 この徹底した自己管理により、彼は絶えず、【新作】を生み出す事が出来る様になっていた。

 他にも、彼が【湯水の様にアイディアが湧き出る才能】を持ったのには色々と理由がある。

 彼は幼い頃、【録音】した【番組】などを聞いて、その音を聞きながら別の【物語】を【夢想】するなどしたり、たくさん貯まった本を捨てねばならなくなった時、必要な分だけ破いて捨てている内に別々の本の情報が混ざり合い、新しい要素を思いつく発想を身につけたりなど、自分の才能を育てる数々の経験をしていた。

 だからこその才能だった。

 彼は【CD】などで【音】を聞いているだけで【無限のアイディア】を生み出す力を得ていたのだった。

 才能は一日にしてならずである。

 これだけの才能が埋もれてしまっているのは運が悪いとしか言えなかった。

 また、彼は変に不器用な性格でもあったため、せっかく上手く行きかけた事を投げ出す事も多かったため、いままで歯車がかみ合わず上手く行かなかった。

 ちょっとした事で熱くなり、揉めて、結局話が流れると言う事も多かった。

 一つの事に打ち込めば彼の力ならば、必ず大成する才能があったのだが、彼は多才であったため、それが変に空回りしており、今まで上手く行かなかった。

 上手く行かないと彼はすぐに違う挑戦をするのだ。

 それが彼の欠点でもあった。

 周りの人間達は才能の無駄遣い、非常にもったいないと思って居ても彼はこういう性格だったのだ。

 だが、確実に色んな【才能】のスキルだけはぐんぐん上がって行った。

 彼がすぐに成功していたらこうはならなかったはずだ。

 認めて貰えなかった悔しさで、彼は他のことにのめり込み、それももの凄い勢いで上達して行った。

 結果として彼は人がうらやむ程の才能をいくつも持っているのに、うまくいかないちょっとした変人の様な人間として認識されていたのだった。

 彼は情報収集を終えた後、就寝をする事になる。

 そして、彼は、眠りについた。

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