プロローグ37 【9月24日/部活見学7日目】5/シチュエーション・イベント部見学2
【芳一】、【桔梗】、【瑠璃】の3人は【個別】に【シチュエーション・イベント部】の【見学】をする事になったのだった。
という訳で、3人がどんな【見学】をしたか追ってみよう。
まずは、【芳一】だ。
【シチュエーション・イベント部】の【部活見学】は、【部員】が体験している【部活動シーン】を直接見ることは出来ない。
代わりに、【プロモーション・シーン】という【部員】が体験した【シチュエーション・シーン】を元に【AI】が生成した擬似的な【シチュエーション・シーン】を見る事になるのだが、【恥ずかしさ】を伴う【シーン】も十分に考えられるので、【見学者同士】、恥ずかしくならない様に、【個人見学】が【マスト】になっているのだ。
【見学者同士】が何を【見学】したか解らない様に、【内容】は、【秘匿】という事になっている。
そんな訳で、【芳一】が【見学】した【シチュエーション】は、一緒に見学に来ている【桔梗】や【瑠璃】には解らない様になっているし、彼女達も他の2人には解らない様になっている。
【プロモーション・シーン】を選ぶ時は、他の【見学者】に解らない様に、【防音の個室】に入り、【選択】する事になる。
【プロモーション・シーン】は【ディスク】ごとに区分けされているのだが、【ディスク】に触れると脳裏に、【インビジブル・サポーター】からの【シーン解説】を聞くことが出来る。
それで、大体の【シーン】を予想して、【見学】するか否かを決めるという事になるようだ。
彼は、5つの【シーン】を選択した。
1つ目は、敵対組織で敵だった女性が改心して、味方になったが、仲間達からは裏切り者はいつ裏切るか解らないとして嫌われていた。
だが、改心した女性は信用してもらうために、一人、仲間達をかばうために敵のど真ん中に残った。
命を犠牲にしてまで仲間を守ろうとする改心した女性に誰も助けが来なかったと思いきや、【部員】が颯爽と現れ、
「お前の事は良く見ていた。他の仲間全員が疑おうと俺はお前の事を信じる」
という【決め台詞】を言って、改心した女性が涙して喜ぶという【シーン】となる。
【芳一】はこういう【シーン】を考えるのが好きだったので、この【ディスク】を知った時、迷わず選択した。
2つ目は、敵対していた女性幹部を拘束して、尋問するという【シーン】で、【部員】は実は、この女性幹部の事が好きだったので、尋問とは名ばかりの、彼女の好みなどを聞き出すという【シチュエーション】だった。
3つ目は、怒りに打ち震えるシーンだ。
非道な事をする男が仲間だったが、見事に裏切り、勝ち誇っていたら、その直前に、その裏切りに気付いた【部員】が怒り、裏切り行為が行われる前に前もって対処して、裏切り者に対して【ざまぁ展開】を演出するというシーンだ。
決め台詞として、
「てめぇは俺を裏切った。こいつはその報いだ。天に唾吐きゃ、返ってくるんだよ馬鹿野郎がっ」
という事になっている。
【部員達】は、こういう台詞を言いたいがために、様々な【シチュエーション】を【妄想】する。
この【部】はそう言う【部活】だった。
4つ目は、好きな子と一緒にかくれんぼだ。
正体不明の殺人鬼に追われて隠れるというベタな設定で、【部員】は好みの【女性】と逃げている。
好みの【女性】は【部員】の他に頼る事の出来る【存在】が居ないため、
「お願い、私を見捨てないで」
と震えながら、縋ってくる。
それに対して、【部員】は、
「大丈夫。僕は決して君を見捨てない。君を愛しているから」
と【決め台詞】を言うという展開だ。
殺人鬼に追われると言うドキドキと好きな子と一緒に隠れていて頼りにされているというドキドキが合わさった展開となっている。
5つ目は、お約束のラッキースケベ展開だ。
更衣室の前を歩いている【部員】の前に台所の嫌われ者、【G】が出たと言う事で着替え中の女性達が更衣室から飛び出してきて、下着姿でジェットコースターの様に、色んな女性が【部員】に覆い被さって行くと言うあり得ない展開となっている。
もちろん、こんな【シチュエーション】を選択したとは【桔梗】や【瑠璃】には言えない。
言えば、
「さいってぇ~」
「幻滅です」
と言われるのはほぼ、確実である。
個人見学だからこそ、アイドル2人には内緒でこっそりと選択出来る事だった。
【芳一】は見学し終わった後、1つ目と3つ目と4つ目の事は【桔梗】と【瑠璃】に話したが、2つ目と5つ目の【見学】の事は黙っていたのであった。
理由は察してもらうしかない。