プロローグ30 【9月23日/部活見学6日目】5/【アース・ヒーロー部】見学3
【芳一】と【桔梗】と【瑠璃】の3人は、現在、【アース・ヒーロー部】の【見学】をしている。
今は、【存在パワーレベル方式】/【レベル1】、【フォービドゥン・ゴースト】退治の【クライム・エピソード】を【見学中】である。
この【エピソード】は【呪術師】が己の命と12人の生け贄で作った、13体の【フォービドゥン・ゴースト】と呼ばれる【悪霊】を払う事が【クリア条件】となっている。
【ラスボス】は当然、【呪術師】の【フォービドゥン・ゴースト】で、【部員】である【初等部4年生】の子は、それ以外の【フォービドゥン・ゴースト】を6体まで除霊した事になっている。
つまり約半分近くを退治した事になっている。
ここまで来るのに、10日ほどかかっているらしい。
6体除霊するのに10日という事はその日の内に必ずしも除霊出来るとは限らないと言う事である。
また、当たり前の事だが、【部員】の子は、【初等部4年生】の肉体なので、小学4年生の身体になっている。
当然、【実年齢】より下という事になる。
試しに、【実年齢】より、上になることは無いかと【瑠璃】が素朴な質問を【インビジブル・サポーター】にすると、
『はい、【星井様】お答えします。
【都立夢異世界部活学校】において、それに該当する方はいらっしゃいません。
ただ、【道立夢異世界部活学校】では1名ほど確認されております。
その方は、お姉様と共に、現在【初等部4年生】で活動されており、進学を控えておられます。
ですが、ここは【都立】ですので、残念ながら、彼女達の【部活】を見学する事は出来ません。
申し訳ありません』
と言ってきた。
【瑠璃】は、
「お姉様と?該当者は1名なのですよね?」
と聞くと、
『はい。その通りです。その方は、同時に【入校】されたため、お姉様と双子と言う設定で、【部活動】をされていますが、実際には、16歳と6歳の姉妹です』
との回答になった。
【芳一】は、
「ろ、6歳で絶望したのか?」
とつぶやいた。
そんな幼い年で何が絶望したのか?興味があったが、結局は【都立】と【道立】で【学校】が異なるため、接触する事は叶わない。
が、ちょっと気になったので聞いてみた。
「あの、転校する事って出来るんですか?【道立】って言うと【北海道】の事でしょ?ってことはひょっとして、47都道府県全部にこの学校ってあるんですか?」
と。
【インビジブル・サポーター】は、
『はい。【夢異世界部活学校】は47都道府県に1校ずつ存在します。【転校】も可能です。
条件は、お住まいの場所か働いている場所がその都道府県になっていれば、選択可能となります』
と返ってきた。
【桔梗】が、
「ちょちょちょ、ちょっと待って下さい【唯野さん】。転校するつもりですか?」
と焦った様に言ってきた。
【芳一】は、
「いえいえ、違います。ちょっと疑問に思ったから予備知識として聞いてみただけですよ。
他意はありません」
と言った。
それを聞いたアイドル2人は胸をなで下ろしたのだった。
この時はそんな感じだったが、まさか、【道立夢異世界部活学校】のその姉妹の【絶望】の原因が、自分にあるとは夢にも思っていなかった。
その姉妹とは絡んできた関西人の高校生、【大門 隼人】の話にちらっと出ていた人物だ。
【天村 能活】が認めた2人の内、【芳一】以外の一人、【神宮 美彩】16歳とその妹、【神宮 雛鞠】6歳の事を指していた。
この姉妹は、【芳一】がネットで公開している色んな【作品】の【大ファン】であり、彼が【メジャー】になる事を何より望んでいた。
だが、【悪徳出版社】に騙されて、彼の【メジャー】への道が絶たれたと思って、我が事の様に絶望したのだ。
そこで、【道立夢異世界部活学校】の理事長に導かれたのだ。
【芳一】が裁判などで疲弊している間に、誘われて、彼より先に、【道立夢異世界部活学校】に通う様になったのだ。
奇妙な話だが、【芳一より年下の先輩】と言う事になる。
姉の【美彩】の才能は【超天才】/【能活】の保証書付きの折り紙付き。
妹の【雛鞠】の才能は幼すぎるため、姉ほどではないが、将来、姉をも超えるのではないかと言う才能の片鱗を見せている【超絶天才の卵】となっている。
2人は同時に、【芳一】が絶望の淵に立たされているとしり、絶望したのだ。
それで、通う様になったのだが、実は、【天宮 能活】も同じ立場にあった。
彼も、【横浜県立夢異世界部活学校】に通っている。
【神宮姉妹】と同じ様に、【芳一】の作品に触れ、自身の【想像力】を高める糧にしていたが、【芳一】が正統に評価されなかった事に絶望した。
【能活】の親は今時珍しい転勤族であり、今まで、全国を転々としていた。
また、空想が趣味だったため、なかなか、友達が出来にくく、一人で過ごす事が多かったが、ネットで【芳一】の作品に触れ、救われたと言っていた。
彼の才能にすり寄る上辺だけの友達はたくさんいたが、彼が本当の友達だと思えたのは、北海道に転校した時、同じ感性を持っていた【神宮 美彩】だけだった。
大阪にも行ったが、【大門 隼人】とは心からつながる様な関係にはならなかった。
彼女とは【芳一/ちょいちょいちょいな】の【作品】で盛り上がっていて、今でも連絡を取り合っていると言う。
お互い、【夢異世界部活学校】に入校している事も知っている間柄となっている。
そして、【隼人】にライバル視されている【能活】は、彼の口から【ちょいちょいちょいな】の住んでいる場所は、【東京都】だと聞かされて、【横浜在住】で【都内】の学校に通っていた【能活】は、【神奈川県立夢異世界部活学校】から【都立夢異世界部活学校】への【転入届】を提出した。
【能活】も、【神宮姉妹】と同じように【初等部4年生】から【次の学年】へと進級を控えていたが、例え僅かでも【一緒】に慣れるならと希望を持って【転校】してきていた。
また、【転部】では無く、【転校】なので、【同じ部活】を選択している限り、【留年扱い】にはならないと言う事を付け加えておく。
ちなみに、【能活】の現在の【部活】は、【ゲーム制作部】である。
偶然か?【芳一】が【初等部4年生】で【入部】しようと思っている【部活】と一緒である。
【芳一】と【能活】が一緒に居られるかどうか?運命がつながっているかどうか?それはまだ解らない。
【能活】が【次の学年】で例え、同じ【ゲーム制作部】を選択したとしても、学年が違うから同じ活動は出来ない。
つまりそれは、【芳一】が【能活】の進級前に【ゲーム制作部】を選択出来るかどうか次第ということになっている。
だが、何となく、運命の大きな力が働いているかの様に感じる事でもあった。
【神宮姉妹】と【能活】の話はそれくらいで切り上げて、本題に戻ろう。
【芳一】とアイドル2人は【部活見学】を続けるのだった。