プロローグ27 【9月23日/部活見学6日目】2/【芳一】、関西人に絡まれる2
【芳一】は現在、ちょっとやっかいな人物に絡まれている。
【関西弁】の男子高校生、【大門 隼人】だ。
彼は、学校をサボって、【芳一】に会いに来た。
仕方なく彼と話すことにした【芳一】は弁当を買って、公園で、話をする事にした。
なかなか、本題に入ろうとしない、【隼人】に対して、意味がわからないながらも、彼が気にしていた【3人目】とやらは【隼人】と言う事でかまわないと言う事を言ったら、ようやく彼は話をするつもりになったのであった。
【隼人】は、
「なら、お前にも解る様に説明したるわ。
お前、【天村 能活】は知っとんな」
と言った。
【芳一】は、
「は?知らないよ。どなた?」
と答えた。全く話が見えない。
「なんや、知らんのかい?どうりで俺の話にも反応しなかったっちゅう訳か。
納得いったわ。【天村 能活】っちゅうんわな、奴自身があまり表立って行動せぇへんから、まだそれほど有名にはなっちょらん奴やが、その才能はピカイチや。
若手の間じゃ、誰もがその圧倒的な才能を認め、ライバルになりたいと思うちょる。
俺もその一人や」
「ほぅ、そう言う人が居るんだ?何か凄いね」
「【能活】は普段から、言うとる台詞があんねん。
それは、【自分】と同じ【才能】を持った人間が居たらもの凄く怖い。
それは、【自分】が作り出した【作品】を簡単に塗り替える事が出来るから。
だと言うとる。つまり、【自分自身】以外は怖く無いっちゅうこっちゃ」
「凄い自信だねぇ」
「ところがや、奴は言うたんや。
この日本に、【自分】と同じ【能力】を持った怖い人が2人居ると」
「【2人】?」
「そうや、【1人】は、【北海道】に居る【超天才美少女】、【神宮 美彩ちゃん】や。
この子が【2人目】や。この子は超可愛いから文句はあらへん。
認めたっても良い」
「意外とげんきんなんだね、君」
「うっさいわ、ぼけっ。ほんで、【3人目】がお前やお前。
奴は言うとった。
【3人目】は、同じ【能力】を持っている上に、年上だから多くの経験も積んでいる。
【才能】があっても多くの経験は望んでも出来ない。
そう言う意味では、【2人目】よりも怖い。
【彼】は今、不幸が重なって足踏みしているのでその間に、自分もスキルアップしてどうにか優位に立ちたいと思っている。
まだまだ、彼の足下にも及んでいない。だから、もっと力を付けるまでデビューは出来ない。修行する。
と言うたんや。明らかにお前を意識しとるやないかい。
こんなムカツク話があるかい」
「いや、僕に言われても」
「あの、【超天才】が認めたんやぞ。俺なんか相手にもされてないっちゅうのに。
さぞや、凄い奴かと思うて来てみれば、こんな冴えないおっさんやと思ったら、怒りがこみ上げて来たんや。
解るやろっ?」
「いや、解らないよ。完全な言いがかりじゃないか」
「お前には、【3人目】に選ばれたと言う自覚が足りんのや。
お前なんぞに認められても俺は満足できひん。
【天村 能活】、奴に認められてこそ、初めて価値があるんや。
ほんまは【天村 能活】に逢いに、【東京】に乗り込んだんやが、まずは、お前に文句言うたろ思うて、こっちに来たんや。
それに風の噂じゃ、【美彩ちゃん】もお前の事、認めとるらしいしな。
【美彩ちゃん】のちっこい妹が、自分の事えらく気に入ってて、大好きなお姉ちゃんとおっさんの事、くっつけて親戚になろ、思てんのは有名な話やで」
「いやいやいや、その子達も知らないから」
「なんで、こんなボケカスがちやほやされんのや?
納得できひんねん」
「いや、僕に言われても。それに、君は信じないかも知れないけど僕は、出版社に騙されて落ちぶれている状態だ。
君がうらやむ状態じゃない」
「あぁ、それな。お前が盗作されたっちゅう話やろっ?
わかっとるがな。知っとるか?盗作した奴ら、2作目以降を発表しとるが大ゴケしとるらしいで。
1作目と作風が違ごうとると大不評の様や。
当たり前やけどな。盗作しても続編は名作にならへん。
名作を作った本人やないと名作は生まれん。あの出版社の悪評は有名や。
そこら中で噂されとる。その内、潰れる思うで。
苦し紛れで、【社名】を変更したらしいが時間の問題やな。
俺達はあの【出版社】の【作品】は絶対に買うたりせぇへん。
解る奴には解るで、ほんま」
「そっか、ありがとう。そう言ってくれると少し気持ちが落ち着いたよ。
本当にありがとう」
「何言うとんのや。俺は文句を言いにだな」
「ありがとう、ありがとう。本当にありがとう」
「なんや、泣いとんのか、おっさん?ほんま調子狂うわ。
ほらっ、唐揚げやるさかい泣きやみぃな。これじゃ、俺が虐めた見たいやないかい。
良い年して、泣くな」
と言う話になった。
最初は迷惑な【高校生】だなと思っていたが、実はよい子だったと言う事が解った。
【隼人】は、
「興が冷めたわ。また来るから、予定空けとけや」
と言って去っていったのだった。