プロローグ26 【9月23日/部活見学6日目】1/【芳一】、関西人に絡まれる1
夜が明けて、9月23日となった。
今日は火曜日だ。なので普通に【バイト】がある日だ。
軽く朝食を済ませて、仕事に行く準備をすると見慣れない高校生がアパートのドアの前に立っていた。
【芳一】が、
「あの、どちら様ですか?」
と聞くと、その男子高校生は、
「俺か?俺の名前は【大門 隼人】や。
【浪速の最強クリエーター】っちゅうんは、俺のことや」
と言った。
【芳一】は、
(知らない、知らない、全然、知らないから)
と思いつつ、
「あのぉ、僕はこれから仕事なんで、ご用があるなら、手短にお願いできませんか?」
と言った。
ちょっと気が強そうな感じの男子に見えた【隼人】を悪戯に刺激してもめ事になると【バイト】に遅刻すると思って、やんわりと言った。
【隼人】は、
「お前が【3人目】かい?なんや、おっさんやないかい」
と言った。
年上に向かって【お前】と言う言動に正直ムッとなったが、ここは大人として、
「よく、意味がわからないな。人違いじゃないかい?」
と言った。
「いいや、人違いやあらへん。お前やお前。
思っていたよりも若作りなんやな。
お前、ほんまに37歳か?
年齢10歳以上、さばよんでへんか?
どう見ても10代やで?存在自体が怪しいやっちゃなぁ。
そやけど、お前、【ちょいちょいちょいな】やろっ?調べはついとんねん」
「どういう事かな?」
「何でお前が【3人目】なんや?納得でけへん」
「【3人目】って意味がわからないから。僕は仕事があるからもう、行くよ。
じゃあね」
と言って、そのまま【アルバイト】に言った。
【バイト先】では、同僚達に、
「何か、関西人に絡まれたよ」
と言った。
「何かしたの?」
「君のファンじゃない?」
「対応を誤ると後が怖いよ」
などと言われたが、【芳一】としてもどう対処したら良いのか解らずモヤモヤしてバイトをしていたのだった。
そんな感じで半日の仕事を終え、アパートに戻ってみると、【隼人】がドアの前で仁王立ちして待っていた。
まさか、ずっと待っていたのか?と思っていると、
「こっちは【学校】サボってわざわざここまで、来とんねん。
お前も俺につきあえや」
と威嚇してきた。
このまま、【ストーカー】ですとして、警察を呼ぶと言う手もあったが、それだとこの【高校生】は納得しないでまたやって来るかも知れないと思って、午後は【隼人】に付き合う事にした。
【昼飯】くらいは奢って、納得して帰ってもらおうと思ったのだった。
とりあえず、近くの店は【顔なじみ】で、【芳一】の味方になってくれる人も多いが、【隼人】が暴れると店に迷惑がかかるとして、【コンビニ】で弁当を買い、【大きな公園】で話す事にした。
【芳一】は、弁当代を出すと言ったのだが、【隼人】は、
「お前なんぞに借りを作ってたまるかい。俺の分は俺が出す」
と言って聞かなかった。
ライバル意識がモロだしで、【弁当】も【芳一】の買った物より、値段の高いものを香って、
「ふふんっ、どうや?」
と勝ち誇っていた。
そう言う所がまだ子供だなと思ったが、とにかく、彼が何に対して憤っているのか、聞かねばならない。
なるべく、怒らせない様にしないと行けないなと【芳一】は思ったのだった。
「【大門 隼人君】だったよね?君は僕の何が気に入らないんだい?
とぼけても君は調べが付いているって言ってたから正直に話すけど僕は確かに【ちょいちょいちょいな】として【クリエーター活動】をしているけど君を怒らせる様な事をしたかな?
盗作とかは全くしていないハズだし、もし、ネタが被ったと聞いたら、僕はその作品をすぐに排除する。
色んな作品を作ってきたから、何処かしらは被る事もあると思うけど、基本的に僕が作った作品は他では聞いたことのない作品を作っているつもりだよ。
だから、盗作とかは」
「誰が盗作の話をしとんのや?俺は、【3人目】がお前やと言う話をしとんのや」
「その【3人目】と言うのは【盗作】したのが【3人目】って話じゃないんだね?」
「当たり前や。誰が【盗作犯】に文句言うためにあんなボロアパートまで来るんや?
【盗作野郎】なんぞ、相手にもしとらん。そんな奴はすぐに淘汰されるやろうが。
俺が言いたいのは、何でお前なんやって事や」
「だから、その【3人目】って言うのは何の【3人目】なんだ?
主語が無いから話の内容が解らないんだよ、こっちは」
「とぼけとんのかい?」
「とぼけてないよ。解らないから聞いて居るんだ」
「俺に言わすのかい?」
「言いたく無いことなの?」
「認めとうないんや。口に出したら俺が認めた事になる」
「意味がわからないから」
「俺が【3人目】や。そこは譲りとうないんや」
「じゃあ、君が【3人目】ってやつで良いから。それで説明してよ」
「ほか?そんなら話してもえぇ」
と言う話になり、ようやく、【隼人】が重い口を開く事になったのであった。




