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第6話

また謁見の間に戻りわたしも先程のバルコニーに戻った。


「変化は?」


「誰かが45年前と同じだと言ったら国王がすごい目で第二王女を見た。何があったか知ってる?」


なるほど、やっと気づいたのか。


「45年前、先代国王が婚約者を捨て銀髪の子爵令嬢と婚姻した。」


「えっ、今と似たような状況じゃん。」


「そうだ。現国王は阿婆擦れの下賎な血が入った王子と見下されて育った。

前王妃は男に媚を売る能無しで現国王も出生を疑われた。先代が保証したから皆口を噤んだがな。」


今更気づいても遅い。

アラミスの息子と王妃が姫に王族に残れと言い出した。

あの息子も面の皮が厚いな。

姫を手元に置いとかないと安心できないからな。


お、若が茶番に参加しだした。

第二王女も阿呆な発言をしてるな。


「あの王女、どんだけ阿呆なんですか?」

「世界は自分を中心に回ってて周りは自分に合わせるのが当然、いや、そんな事も意識してないんだろうな。

生まれた時からそういう環境(・・・・・・)で育ってるから。」


だから国王に王女の義務を言われても何を言われているかわかってない。


国王も何もさせなかったのに何を言っているんだ。


しかもアラミスの息子に脅しをかけてるぞ。


「この茶番いつまで続くんですかね~。

堂々巡りじゃん。」


姫も同じ事を思ったのか強引に話を戻した。

姫も強くなったなぁ。

思わずほろりとなったが感傷に浸ってる暇はない。


「若達が出てきたらこの手紙を持って三手に別れてスードを目指せ。

追ってに捕まりそうになったら手紙を捨てて兎に角逃げるよう伝えろ。そしてお前も別のルートでスードに帰れ。」


「了解!」


手紙は白紙だ。スード側がこの後に早馬を出したという事が重要なのだ。

すぐに脱出出来ない、または捕まった時に備えておかなければならない。


わたしも謁見の間の扉近くに行き若が出てくるのを待つ。


程なくして若と姫が出てきた。

姫はあまりに危機感がないようだ。急ぐ若の近くに行き目配せして離れる。


これで早馬を出したと伝わった。

第二王女が近づいてきたので、そのまま姫のバルコニーで待機した。


第二王女の後にはアイシェバールの三男か。

この男の目は暗いな。姫に執着しているだろうが、良くない部類のものだ。

身内贔屓でなく、まだ若の方がいい。


姫もなんでこんな男を好きになったんだ。

フィルフェ様から5才のお披露目で優しくされて一目惚れしたとか聞いたが、ちょっとチョロすぎないか。


姫の男の趣味がわからん。


次は王妃が来た。

そして国王にも呼ばれた。


あーー!

これじゃあアラミスに時間を稼がせてるようなもんじゃないか!

最初のすぐ脱出作戦は潰れた。

後は若のお手並み拝見といこう。



国王の執務室から出てきた若に、近づく。


「国王にユリィを隣国の叔母上の養女にして娶ると言った。

国王もやっとアラミスを警戒し始めたから道中の奇襲があった時は近衛騎士団を出し、アラミスの犯行だった時は交渉材料として使えと言っておいた。」


十中八九、狙って来るでしょうね。

スードに入ったら手を出しにくい。

それこそ謀反をでっち上げ、国とスードの内乱になるが、今回の件で王家の威信は地に落ちた状態で、東の国境を守ってきたスードを敵に回しても得がない。


姫を再び手にできても国の為に働く気はないとわかりそうなものだ。


アラミス側も王家を動かせればスードとやり合うのも意味があるが、国王がアラミスを警戒してしまったからには思うように動かせないだろう。


「皆に1戦か2戦はあると伝えとけ。後ーー」


姫の部屋の前でいきなり言葉を切った。


侍従長と話しているようだ。

姫と侍従長?

どんな繋がりだ?


侍従長は今まで姫と接点を持つような事はしていない。


相手は悔いているようだが、王城の中で何人かは同じようなものだろう。


その考えはすぐに覆された。


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