第60話 正義の覚悟
私は私の正義を信じる。
チョイスとは一時的に結託しているだけだ。
利害が一致しただけで、別に仲間と言えるほどの関係ではない。
いずれ事態が解決すれば、奴を必ず逮捕する。
「そりゃ無理な話だと思うがね。あいつは立派なミーム使いで、対するあんたは一般人だ。偶発的にミームを使えるようだが、チョイスに比べれば天と地の差がある。敵対すれば一瞬で負けるだろう」
今のところはそうだな。
チョイスは急激に強くなっている。
お前の説明を信じるなら、殺人ゲームとミームを最適な形で融合させているようだ。
ほぼ無限の銃火器も扱える以上、まともに太刀打ちできないだろう。
しかし私は諦めない。
奴の逮捕にミームが必要なら死に物狂いで習得してみせる。
だから私にコツを教えてくれ。
「おいおい、よりによって俺に訊くのかよ。交渉するにしてもストレートすぎやしないか。もっと言葉巧みに誘導するとか頑張ってくれ……」
私はそういう話術が苦手だ。
遠回しな表現や前置きは使わない。
それに、こちらの要求はしっかりと伝えた方がいいだろう。
「じゃあこっちの要求も聞いてくれるのかい?」
聞かない。
お前達はどちらにしても死ぬ。
なぜならチョイスが捕えているからだ。
勝手に逃がせば私が殺されるだろう。
「そっちの要求だけ一方的に呑めと言うのか。さすがに身勝手すぎるんじゃねぇか」
じゃあコツはいい。
私は自力でミームを習得する。
チョイスには魔術師をイメージするように言われたから、それを参考に練習する。
お前達との戦いでよく分かった。
これからはミームという能力が必須になる。
ただの警察官である私は足手まといにしかならず、自分の目的さえ満足に果たせない。
私はもう何度も己の無力に苛まれている。
それもそろそろ終わりだ。
お前達やチョイスのように狂った人間に負けない力を身に付けてやる。
世界を……正義を、舐めるんじゃないッ!
これだけ好き勝手にしていいわけがないだろう!
法律を何だと思っている!?
いいか、私は死ぬまで抵抗するぞ。
このクソに溢れた世界を守り通してやる。
「大層な演説だ。感動したよ。ハンカチをくれ、涙を拭きたい」
勝手に言ってろ。
チョイスが帰ってくるまで、お前の身体でミームの練習をする。
無事を祈りながら感動していればいい。




