第34話 婦警の覚悟
……くそ!
トラックが急加速してきた!
しかも通行人を躊躇いなく轢き殺しているぞッ!
「ほう、それは効率的ですねぇ。ところで婦警さん。もういじけなくていいのですか?」
うるさい。
拗ねている場合じゃないのは分かっている。
私とお前が死ねば、人々を救える可能性が減ってしまう。
だったらなんとか生き延びなければならない。
そうだろう?
「おっしゃる通りです。いいですねぇ、冷静になってきたじゃないですか。この調子でどんどん成長していきましょう」
褒めている場合じゃないだろ。
モブ化しているとはいえ、相手は大量殺人者だ。
きっと私達のことも容赦なく殺すだろう。
「それはそうでしょうね。じゃあこっちも通行人を轢きながら進みますか。パトカーの小回りの良さを利用すれば逃げ切れるかもしれませんし」
ま、待て!
さすがにそれは不味いだろうっ!
「大丈夫ですよ。彼らはただのモブです。また時間経過で蘇るでしょうから」
確証がないだろう!?
無闇に命を奪っていいわけがない。
どうにかしてそれは避けて逃げ切るんだ。
「まったく、無茶な注文をしますねぇ……では、うにょろうにょろさん。何か案はありますか?」
「こぉこぉでぇ、自殺すれぇば、殺されないんじゃなーい?」
「なるほど。確かにトラックに殺されることはなくなりますね。貴重なアイデアをありがとうございます」
最悪なアドバイザーだな。
そいつはもう捨てた方がいいんじゃないか。
きっとトラックの奴の味方だ。
同乗させておいたところで損しかない。
「うもうもさんは情報源です。ここで逃がすつもりはありませんよ。それより婦警さんならトラックを破壊できるのではないですか。武器ならたくさんありますよ」
あのスピードのトラックを壊すと通行人を巻き込む。
やはり私にはそんな方法は……。
「鬱陶しいことを言っていないで、さっさとチャレンジしましょう。あなたが逡巡する間にどんどん轢殺されていますよ」
「べぇべえべべべべべべ! 早く殺した方がいいにょーん」
「ほら、ふにゃふにゃさんもこう言っていますから」
…………分かった。
犠牲者を出す罪は私が背負う。
彼らは必ずミームで生き返らせる。
不気味な能力に頼るのは嫌だが仕方あるまい。
そのためにも、ここは生き延びるんだ!
「よく言ってくれました。では早速トラックを破壊しましょう。きっと映像的に見栄えが良いですよ。今から楽しみです」




