第3話 インタビュー
おやおや、電話ボックスの前に人がいますよ。
ゾンビじゃないようですねぇ。
「助けてくれ! 頼むから乗せてくれっ」
どうしますか、婦警さん。
あの人、困っているようですよ。
乗せてあげますか?
「当然だ。一般市民の救助も警察官の責務だ」
かっこいいですねぇ。
では後部座席に入れてあげますか。
近くにモンスターはいないようですし、今のうちに拾いましょう。
こんにちは。
あなたの名前を訊かせてくれますか。
「お、おい。何だアンタは? どうして撮ってるんだ。というかそのマスクは……」
細かいことは気にせずに。
ゾンビやら何やらが追いかけてきますからね。
細かい話は後回しでいいでしょう。
「そうだな。すまない、発進してくれ!」
改めまして、あなたの名前を教えてください。
年齢とご職業も知りたいですねぇ。
「えっと……俺はダドリーで五十四歳だ。仕事は警備員をしている。なあ、この質問に意味ってあるのか?」
大いにありますとも。
映像記録において大切な部分ですからね。
リアリティーを追求したインタビューは良い資料になります。
ダドリーさんはなぜあそこに立っていたのですか?
だいぶ慌てていたようですが。
「なぜってそりゃ、化け物だらけの街から逃げようとしてたんだ! 電話も繋がらないし、車も壊れて参っていたところにアンタらが来たんだ」
なるほど。
ちなみにお怪我はされていますか?
「家を出た時、妙な奴に引っ掻かれたな。でも掠り傷だ。もう血も止まっているから問題ない」
ふむふむ。
それはよかったです。
特に体調の変化は感じませんかね?
「ああ、大丈夫だ。強いて言うなら、走りすぎて疲れたくらいだな。やっぱり運動不足は良くないと思ったぜ」
運動は大事ですよねぇ。
僕もそう思います。
日頃から身体を動かしておくと心身の健康になるそうですし。
ところでダドリーさん。
あなたを噛んだ生物について何か知ってますか?
「いや、生物ってただの人間だろ。パニックで噛み付いちまったんだろうな。痛かったがもう許しているよ」
とても優しいのですね。
心底から尊敬しますよ、ええ。
……あなたはゾンビという存在を知っていますか?
「映画とかに出てくる奴だろ。ホラーは観たことないから詳しくは知らんな。それがどうかしたのか」
ゾンビって、噛んだり引っ掻いた相手をゾンビにしてしまうのですよ。
ウイルス感染が主な原因ですね。
そして、ダドリーさんを噛んだ方もおそらくゾンビです。
この意味が分かりますか?
「うぅ……オァ? いえ、げぇと、ととと、まいな」
うーん、症状が悪化してきたようですね。
残念ながらダドリーさん、あなたはもうゾンビになるみたいです。




