第18話 深い闇
あー、ようやく映りましたね。
車が揺れた拍子に録画を停止させてしまったみたいで、良いシーンを撮り損ねてしまいました。
仕方ないので口頭で説明しましょう。
警察署から地下鉄に逃げた僕と婦警さんは、線路を辿るように移動しました。
群がるゾンビや巨大ヒルやらワニやらケルベロスを避けて進むのは苦労しましたね。
ちょっとビデオの確認をしている余裕がなかったです。
撮影者としては失格ですね。
申し訳ないです。
まあ、こうして停車して撮影できていることから分かるように、僕達は無事です。
今はトンネル内にパトカーを停めて休憩しています。
前方を列車が横転して塞いでいるので立往生してますね。
婦警さんは隣で眠っていますね。
とてつもなく熟睡です。
「起きている」
あ、起きてました。
かなり疲れた顔ですね。
命がけのドライブは楽しめませんでしたか。
「当たり前だ。何度も死を確信した。こうして生き延びたのは運だ」
いやいや、運だけではないですよ。
この世界は人間の想像力が反映されやすくなっています。
ピンチの場面では、僕が色々と思い込むことで突破してきました。
婦警さんの発想が役に立つ場面もありましたが、逆にモンスターを呼び込むことが多かった印象ですねぇ。
感謝してほしいですよ。
「思い込みが現実になるわけがない。それこそお前の思い込みだ。ついに手遅れになるレベルで狂ったか」
狂ったのは世界です。
根本では不動を貫いていた世界が、突如として牙を剥いたのです。
順応できない人間から淘汰されていきますよ。
「うるさい、黙れ……私は信じないからな」
婦警さんは随分と疲弊していますね。
もう精神的に限界なのでしょうか。
ここで心が折れてしまうと良い"ゲーム"ができなくて残念なのですが。
まあ、放っておけばすぐに復活すると思います。
婦警さんのメンタルはそこそこタフです。
一時的に挫けそうにはなりますが、なんだかんだで戻ってくるはずですよ。
彼女には生きる意志が見えます。
僕の"ゲーム"を生き残る人間に多いタイプですね。
ネットで見ましたが、依然として世界規模のパニックが起きています。
無政府状態は当然として、いくつかの国が吹き飛んだみたいです。
情報が錯綜しているので断定はできませんが、たぶん真実でしょうね。
今の世界なら何が起ころうと不思議ではありませんから。
これからさらに世界は狂っていくでしょう。
恐怖する人間は、きっと滅びを想像すると思います。
集団の想像が重なれば、きっと反映される力も強まっていく。
どうにかしないと、本当に人類は滅亡するでしょうね。




