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第5話 遊び人

「てめぇーらふざけんな! 」


 若い男の声が酒場に響き渡る。

 そっちの方を見ると、僧侶が立ちあがって怒りに震えていた。


 その僧侶の前には、男勇者と男戦士と男武闘家、そしてローブを着て杖を持っている150㎝ほどの女の子が立っていた。


「ふざけてない、ラグレイト。もうお前はいらないと言っただけだ」


「ドマーニさん、俺が何かしたか? 」


「ハハハハハ、何もしてないさ」


 ドマーニと言われた男戦士は笑いだす。


「だったらなんで? 」


「単にラグレイトが必要無くなったという事だ。要は用済みだ」


 男武闘家が笑いをこらえるように言い放つ。


「ゼストさんどういう意味だよ、仲間だろ、用済みって」


「紹介するぜ、この子は賢者のオルティアちゃんだ! 意味がわかるだろ? 僧侶でしかないラグレイトよりも価値が全然違うって事がだ!? 」


 男勇者がオルティアと呼ばれた女の子を後ろから抱きしめて紹介していた。

 女の子は少し苦しそうにしながらも、微笑みを浮かべる。


「初めましてオルティアです。ラグレイトさんの代わりにパーティーに入れてもらう事になりました。」


 オルティアは少し勝ち誇ったような顔をして、ラグレイトを見つめる。


「オルティアちゃんは遊び人から賢者になったばかりのほやほやの賢者だからレベルが1しかないけど、これからは俺達が手取り足取り腰とりでいろいろ教えてあげるからよ」


「セイバーさん! その目的でか!? 」


 ラグレイトがあきれるように叫ぶ。


「当たり前、この子がいたパーティーにいくら払ったと思う。お前にはその価値がないけどね。ラグレイト、レベルの低かったお前をここまで育ててもらった恩を感じろよ」


「そんな……。 」




「ねえ……あれはどういうことなの? 」


 俺がラグレイト達の会話の方を集中して見ていると、ミレーニアが聞いてきた。


「あーあれは転職の裏ワザって奴だ」


「裏ワザ? 」


「いて~放せ」


こいつ(プロシード)うっせーな会話してんのに……闇よ弓よ汝のこの世の風よ音を喰らう者よ魔法封じ(マホシャウル)


「あっgtt@」


 テーブルに押さえつけているプロシードが苦しくて、まるで呼吸ができないかのように口をパクパクしだす。

 魔法封じ(マホシャウル)の魔法は本来は敵の魔法を封じるために使う魔法だけど、こうして相手を黙らせることが出来る魔法だ。


「あっすごい魔法封じ(マホシャウル)が使えるのね、しかも呪文が早い」


 ミレーニアが感心したように俺を見る。仲間のプロシードがこんな目に合っているのに、全く止めずに関心するって笑えるな。

 ちなみに呪文が早いってのは、俺のレベルが高いせいだけではない。

 呪文を噛まずに早口で言う事がテクニックだ。もしこの世界にアナウンサーの仕事があるとしたら、俺は一流のアナウンサーになれる自信があるぞ。


「レベル42にもなればこのくらい朝飯前さ、裏ワザって言うのは通常なら賢者に転職はできないって知っている? 」


「えー知らない」


 ベリーサが可愛く首を振る。

 うん可愛い! プロシードを押さえつける腕に力が入る。


「聞いたことがあるわ、賢者自体レア職業だから、ダンジョン50階にある『転職のオーブ』が無いと転職が出来ないとか」


「流石、可愛いのに賢いって最高!」


 ミレーニアが可愛く答えたからプロシードにキメている関節を、もっとヤバい角度に持っていく。


「遊び人って無能な職業があるだろ? 就職の儀の時に絶対に選んでは駄目って言われているやつだ。 それをあえて選ぶ奴がいたって事だよ」


「それはなにゆえ? 」


 ペルソナが俺に聞いてきた。

 さっきは助けようとしたプロシードが苦しんでいるのに全く止めないとか……。

 まあ戦士の職業を選ぶと知能が下がるからな。


「それが裏ワザ。 遊び人でレベル20になると賢者に転職出来るようになる。」


 ボクッ

 おっと力が入りすぎた。関節が外れた痛みで、口から泡を噴出して気絶したな。

 ゆっくりと自然な動作でプロシードから手を離す。

 良かった3人に気づかれてない。


「えーすごい! それなら私もそれをすれば良かった! 賢者って攻撃魔法に加えて回復呪文も唱えれるし有能なんでしょ? 」


 ミレーニア少し残念そうに言う。


「確かに賢者は有能だが、あまりおすすめは出来ないやり方だな」


「なんで?」


 ベリーサが可愛く首を捻る。


「遊び人があまりにも無能だからだよ、レベル20に上げるのにかなりの苦労をしたはずだ」


 戦闘能力のない遊び人がレベルを上げるには、パワーレベリングしかない。

 たった4人しか組めないパーティーに無能が一人。

 実質3人で戦う……それも遊び人を守りながらだ。


 それをするって事は、遊び人をよほど大切に思っていないと無理だ。

 仮初のメンバーでは安心してパーティーを組めないだろうな。

 つまりは他のメンバーの心を繋ぐような事を、常にしていたという事だ。


 男では絶対に無理だったろうな。

 それが賢者になった途端に金で買われて他のパーティーに入るって事は……。かなりツライ思いをして遊び人から賢者になったはずだ。


 俺が女でも絶対に出来ない。どんなに賢者になりたくともだ。


まあ女の子の遊び人がパーティーに寄生するために、男の仲間達からどんな扱いを受けていたかは18禁な想像してください。


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