仮公開文二ー11
私はライチェル・スカーレク。とりあえず最近の目的としては創造主に直接会うこと。…なんだけど、ある程度働き掛けてみても創造主が直接来る気配は無い。…何時でも見に来て良いよとは言った物の、全然そうしている気配も無い。私に魅力が無いのだろうか?と思い調べてみたら、ある女神が創造主にある事が原因で助けを求めに行って、創造主にとりあえずの応急措置を取って貰えた上で、それを継続する必要が有ったので、対価としての協力関係を築けた事が有るのだそうだ…が、その女神が自分でそれを何とか出来る状態に成った途端にその状態を打ち切りしたらしい。
…前提となる戦争真っ只中の状況で創造主に助けを求めるなんて普通好意なり何なりとが無いとし無い状況なのにそれを無視して、だ。
…つまり、基本的にそう言う事に対して拒絶反応でも有るのだと見た方が良さそうな状態って訳だけど、…さて、どうしてやりましょうか。
一先ず、その女神とやらに話を聞いて見るのが良さそうな気がするわ。
問題はその女神が何処に居るか、だけど…。ランキング機能に参戦してたら挑む形で会いに行けるとは思うけど、その女神の能力の関係上、ランキング機能に参戦する旨みが無いと思うのよね。
ならどうやって見付けるか…。
…よし。とりあえず、その応急措置を行っていた場所に行ってみましょうか。
其所に居るかも知れないしね。確か、始まりの世界のシミュレーション施設の内の一つを使って居たのよね。
しかし、応急措置の内容としては、その女神は創造と破壊の女神だから、強力な創造衝動と破壊衝動に常に順番で苛まれる状態に成っていて、せっかく創造衝動で造った物を自分の破壊衝動で壊してしまうサイクルに成っていたのを、幾らでも壊して良い場所を与える事で破壊衝動を安全にぶつけられる場所を与えたって訳らしい。…本当に特別待遇よね…。
でもその状態って徒労系の拷問受けてるのと似た状態だったわけだし、羨ましいとは思わないけれど。
手当たり次第に資料に目を通して居ると、世界とは定義上創造主の体で有る場合が有ると言う記述を発見する…ああ、そう言う事。…それが正しいなら…創造主の世界の中に私達がいる限り、創造主は私達とそう言う事をやったとしても、扱い上は自慰行為でしか無いのだ。
だからこそ俺の場所まで上がってこいと言った訳ね。
つまり、俺の体の一部の扱いから脱却してくれ。そうじゃなきゃ意味が無いから。…って所かしら。
…ふざけてるわね。…個々の意思が創造主から自立して居るのも考慮しないつもりなのかしら?
でもその場合の私達の立ち位置ってどうなるのかしら?
更に調べる。
ふむ。タルパ。又は人工精霊。曰く、自分の脳の一部を何かに明け渡し、其所を基盤に人格を成立させた者。
秘匿された方法には精神的にだけで無く、物理的に顕現する方法も存在するとされる。
…これだっ。これを創造主に創らせてしまえばそれを媒体にして直接会えるはずっ。
…けど、問題としてはその方法が秘匿されてる事ね。
私が知っていても創造主がそれを知らないと意味が無いし…。
さて、どうした物か。
そして更に調べる。
そして条件を照らし合わせる。
…駄目ね。タルパとはつまりは制御下にある統合失調症。…つまりやるには精神をある程度変質させなければ成らないし、創造主の場合は世界創造の関係上で既に精神的領域がある程度歪んでしまっているから、ニュートラルの状態を前提とした方法を使える状況から外れてしまっている。
次を探しましょうか…。
ん?秘匿されてる方法はともかくとして、その方法は要は思念を物理的に変換出来れば良いのよね?…なら精神的に操作出来るエネルギーを集合体を創るに足るレベルを一定時間以上出力出来て、それを体と扱いそれに精神的に憑依出来れば…?
…行ける…かも?問題は集合体として耐えうるレベルまでそのエネルギーを、例えば気功とかを常に出すと始まりの世界でみたようなのの亜種の集合体が発生するかもだから、そいつの精神を乗っ取れば良いのよね?
問題はそんなに感情依存の気とか気功とかの大出力を頻繁に出して大丈夫なのか、と言う事。確か、気功は極めきらないと命削る原因に成るとか言うしね。
でも、高いレベルの気功を簡単に使えるなら苦労はし無いし、感情依存の気だからと殺気や怒気で顕現するのも嫌よね。それで会えるとしても会える時は創造主は基本的にブチ切れてる事に成ってしまうし。
…それに、感情の塔の関連の事も有るんだったわね。基本的にその手法は世界に取って害に成る…か。やめやめ。
ん?世界とは創造主の体。でも様々な手が加えられているから通常は別物として扱う。
…なら創造主のエネルギーを世界から抽出してそれを摂取すれば?
…よし。やってみる事にしましょう。先ずは何から抽出しましょうか。…私自身から行ってみましょう。
私自身に【抽出】を…。
そして出て来たのはダークサファイア色の小さな宝石。よし、当たり。これを舐めれば創造主の分泌物を舐めた事に…。
手が振るえる。それを掴む。それを舐めよ…。
『ちょっとストップゥゥッ』
創造主の声が来て止められ宝石も消えた。…どうやら当たりだった様で。
「なんですか創造主様?私は宝石を舐めようとしただけですよ?」
『解ってて言ってんだろ?それは絶対解ってんだろ?』
そこで敢えて肯定はせずに。
「宝石を舐めてみたく成っただけなのよ?それが何か都合の悪い事でも有ったかしら?」
『…なんで舐めたくなったんだよ…』
「例えば琥珀なら漢方で使われますし、そう言った効果でも有るんじゃないかしら?」
『なら何を抽出したつもりに成っているんだ?』
「自分自身ですが何か?自分自身を自分で舐めるのに何か問題でも?」
『…邪魔したな。好きにやれば良いよ』
「そうさして貰いますね」
計画通り。そしてまた自分に【抽出】を掛け、出て来たそれをついに舐める。
っ。もう最高っ。
そして創造主の声は消えた。帰った様だ。
ふふふ。毎日これやってやろっと。
これ、アクセサリーにでも加工しようかしら?…あ、でも自分から抽出した物なんだし、もう喰って置いて、別の物から抽出した物を持って置いた方が良いかもね。…問題は何から抽出するか、だけど、…手頃なのが無いし、別の物から抽出した物を舐めようとすると大義名分も無くなるわね。
じゃあそのままアクセサリーとして加工しましょうか。
そう言えば、この宝石の性能は何なのかしら?
能力で宝石を調べてみる。…へぇ。名称は共振石。使い方としてはエネルギーのブースター。但しブーストする対象が限定的では無いので、敵がこれにエネルギー系の攻撃を当てたらそれも強化する。と。ハイリスクハイリターン的な性能に成るわね。
…指定した情報を得る能力なんてネットの検索エンジンと似たような物だから、手当たり次第に全く知らない情報や色々な情報が欲しい時には向かない訳だけど…。一先ず調べるのはこれくらいにして、始まりの世界に行くとしましょうか。
そして事務室へと移動し、始まりの世界に行く事を伝え、ゲートを開いて貰い、帰り用に一人に同行して貰う。
さあ、行くとしましょうか。