仮公開文二ー7、8
そして皆が中間地点の小部屋で、少し休んでる間に、バフを切って貰う。
精神負荷が一気にやばく成ったが、これだけで能力取得が出来るならこの現象は防壁と言うより能力の取得手段に成ってしまう。…だから今から無茶をしよう。
そして道を少しだけ外れ、奔流の中に入る。精神がまるで嵐の吹き荒れる海の上に居る小舟に乗っている様な状態に成るが、それを【絶対感覚】で抑え込もうとする。最初は上手く行っていたが、徐々に更に精神負荷が増していく。ならばと、此方も最近言及してなかった【拡張】を【絶対感覚】へと重ねがけする。…よし。だいぶ落ち着いた。少しこれで待機…。
「なんて事をやってるのよっ」
…やる内容を詳しく説明するのを忘れてました。
…結果、奔流から引っ張り出されて少しの間叱られました。
なので事情を説明し、お許しを貰う。…ってか、今大丈夫な時点で大丈夫なのは解ったから好きにやりなさいと言われた。…まあそりゃバフ補正有りでやばい雰囲気出る環境だし、能力バフ無い状態なら本来は洒落に成らんはずだったんだしな。
そして精神干渉を一定量以上常に受けながら三十分程その奔流の中で待機する。
…よし。因子結晶が自分の中に産まれた感覚が出て来たので、鑑定系で見て貰って、使い道を聞く事にしよう。どんな能力が産まれてる事やら。
「お疲れ様。どうだった?」
「成功です。ですが使い方が解らないので見て貰おうかと」
「把握。見せなさい」
「ではどうぞ」
「…大当たり。【ダメージ判定基準改編】。使い道は攻撃や防御等の判定を改編する。つまり、Aの攻撃をしたのにAが影響を及ぼした部分がBによるダメージとして判定され、計算される能力。ぶっちゃけ、Bの指定出来る基準範囲次第で一つの力で範囲の広さの分だけの種類の力を持つ事に成るかも」
「ぶっ壊れ来たっ」
恐らく、精神干渉を抑え込む関係上、此方の都合の良い精神状態に強制的に持っていくのを繰り返したから、精神の判定改編扱いされて、それの上位互換としてそれが精神以外へも使える様に成ったのだ。
「何やったらこんなぶっ壊れが出て来るのよ…」
「秘密です。これは自分の専売武器に成り得る内容なんですから」
「なら因子結晶をある程度成長させた後で良いから、結晶の一部を因子の保管庫の方に納めなさいよ?保管庫を利用した以上、拒否権なんて無いんだから」
「うっ。…まあ、ですよねぇ…」
「いや、忘れてたわ。防御にも有効判定が有るみたいね、常時発動…はこれからに期待するしか無さそうだけど、…例えば敵の攻撃を、自分の完全に耐性の有る力のダメージ扱いすれば、大抵の攻撃は耐えれそうだけど…」
…そう言えばそうだった。防御も言ってたのに聞いてなかった。防御の手法で得たのに攻撃手段の能力のみが手に入るとか流石に無いわな。
「それはありがたいですね」
…異常状態を起こす攻撃扱い出来たら異常状態を相手に起こさせる事も可能かな?
それは一先ず後で試してみる事にしよう。…後、もう一つ。攻撃食らうのを回復系食らった扱いにすれば良くね?…過剰回復が気になるから、常にそれにはせず、程々にするけども。
そう言えば、【破壊】の因子は大量の破壊衝動をねじ伏せて御する事が条件だったが、今回のは精神干渉の量と内容が違うだけの物と考えると、量を考慮し無ければ要求自体の難易度やカテゴリは同程度だろう。二つの違いは精神干渉の量と要求される時間が違う事なのだが、…一定以上レベルの精神干渉を一定時間以上受け続けろ。…が、簡単に見えるのは、それの対策の能力を既に幾つか所持しているからに過ぎない。
だから難易度設定的には対策能力が無ければ無理ゲー。的な物には成っては居るはずだ。
恐らく、メタ的な都合上、誰にも基本的に一切クリア出来ない試練を取得条件に設定してしまうと、その能力を造った意味が無くなってしまう訳だし、基本的に対策能力の獲得等の手順を踏めば手に入る物ばかりなはずだ…。…まあ、敵が上澄みだけコピーしようとした場合、その前提を満たせてないだろうから、試練は普通にクリアは無理と言う塩梅なのだろう。
…ん?これじゃまるでゲームのスキルツリー的な考えが前提に有る気がする。特定能力が無いと取得不可能ですって能力が大量に有るわけで、スキルツリーの先の能力を獲る為の選択肢が大量に有る代わりに、選択肢が秘匿されているだけなのだ。…まあ幸い、その能力手に入れたい能力使うのに必要あんの?的な意味不明な条件は今の所無いので、有りがたい所だ。…まあ、そう言う奴が有った方が創作上のオレツエーには繋げやすいのだろうけど、システム開発的には明らかにミス検案だしな…。
「さて貴方の順応が済み次第帰るとしましょうか」
「ですね」
そして休憩する事にする。
…そう言えば、ジャンナの改良版とかなんとかが有るからとか聞いた様な気がするが、…何処に有るか聞くのは止めた方が無難か。後でジャンナについて調べてみよう。
そして解散後一人で資料室に行き、調べてみた。
要約すると、ジャンナとはイスラム教的な天国又は楽園で、男一人につきフーリーと呼ばれる七十二人の金髪の処女の乙女に性的に奉仕をされる権利を獲る場所。
…で、幾らそう言う行為をやってもフーリー達は元の処女へと戻る様に成っている、と。……それが巻き戻しか何かなら、そう言う事をやった意味無くなってねぇかこれ…フーリーは子供産むの無理ってことだろう?
…まあ一言で言おう。人数設定的にこんなのは実現不可能だ。フーリー達が人間扱いに成るなら男の人口×七十二人も必要なのだから人口が一定数を超えている環境でそんなのはコストなり何なりとの理由で普通に無理だろう。
だがジャンナを改良したのを造ったとか話してたよな?どう言うことだろう?
ええい、更に調べるとしようか。
…で、ある程度更に資料を漁る。
…ふむ。
要はフーリーの立ち位置の奴を、利用者の魂の一部を利用して造るシステムを造った。だから後はお好きにどうぞ。でも酷い事を彼女達にやったら回収させて貰うよ。
と言う事らしい。…対価に魂の一部を差し出せと来ますか。
…コストを考えると数人程度が限界かもね。
…魂を差し出せだから、嫌な予感するし、やらない方が無難だろうけど…。
例えば、対価の魂の貰う量を造るのに必要な分より僅かに増やしていた場合とか、己の魂が枯渇した場合とかやった場合のやばめなパターンが幾つか有るからなぁ…。
そりゃ性欲に従うならやりたいかも知れないけど、…これって材料が自分自身の魂なんだし、要は単なる自慰行為の豪華版なんだよなぁ…。
それはなんか違うって気がする。
まあ多分男女逆転版がセットで有るなら、魂を一定量貯めて置いて、入れた分だけの魂を異性側から出し生成するとすりゃ、やりようは有るのだが…。…その場合、フーリーの立ち位置の奴は沢山の奴の魂のキメラと同意義な物に成るかもだし、間接的に自分の嫌いな人とやってた。なんて事態も有り得るんだよな…。
それはそれで何だかなぁ…。いや、構成物の一部が一緒の物だから無理…とか言ってたら、一番始めに遡ると全員始まりは同一だね。…的な話に成ってしまう。だから、これは気にする様な話では無いのだろう。構成成分が一緒だから嫌だと、だから拒絶するとか言ってたら、同じ種族内での話なら自分自身も拒絶対象に成ってしまう。
…そう考えると、気にしたら負け的な内容なのかも知れない。
ええい。其所辺りの解釈がどうなってるかも調べたいが、一先ず今は能力の実験が先だ。
人が居ない所に行かなきゃ…。
そして移動して、手頃な場所を見付け、実験を開始する。
…それで解った事は、この能力はあくまでダメージ判定基準の改編を行っているだけなので、変えた先の能力を持っている訳では無く、また、改編先の能力としての駆動もしない。
故に光の攻撃能力判定にしても、攻撃は光速には成らない。
結果として改編先の能力の細かい設定をやるのが難しく成ってしまっている。
問題点は命中率と、攻撃スピード。
つまり、当てなければ攻撃自体は通常の改編前の攻撃と大差ないのだ。
光の能力を得て、光速に色々な能力を付与する。と言うのも悪くないが、前に聞いた入手条件的に、それはかなり厄介な事に成りそうなので見送るとして、ならば前に聞いた【必中】なら試練も今ならやりようは有るから、其方を狙うとしよう。
…でも今取りに行くと、今回の因子結晶の欠片を要求されるのは目に見えている。
だから後回しにするとして…。……ん?創造主の世界創造がこの世界の法則で説明出来る物なら、細かい設定が出来ないとは言え、世界創造を出来るか?
いや、待て、落ち着け。そんなのやったらどうなるか解らん。
今すぐ試すのは止めた方が無難か。
創造主の世界創造の初期の流れと、世界創造をした奴の前例とその扱いを調べてからでも遅くない。
資料室へ行く事にしようか。
そして取り急ぎ資料室へと向かう。
…が、時間的に既に施錠されていた。
明日までお預けか。飯食いに行くか。
そして飯を食って自室に戻り横に成り休みつつ考える。
仮に世界創造に特殊な力その物が必要なら、造る上で何らかの不都合が生じる恐れは普通に有る。この力は要は力がどう扱われるかを変える能力なのだから、必要な力を更に変換して…とかになったら、その力を想像するのは難しい。…前例が有ったり、ガイドラインが有ったり指導者の元でやれたりするなら、それを元にそれに合わせた力の扱いを変化させていけば良いが、…要するにザックリと言うと、このままではヒントすらないので、世界創造に必要な手順が解らないのだ。…だが、それで直接他の人に頼る訳にも行かない。それでもし造れたとしたら、面倒事に成る気配しかしないのだから。
…うーん。世界と呼ぶに最低限必要な物を造って世界扱いするか?
世界特有の性質とかを望める状態では無いしな。
仮にゲームで考えると、物理演算処理システムと、空間と、物質とそれらを動かす大量のエネルギー(電気)。
…どうすんだこれ。自分の力でのみで、生きたスパコン組み上げろってか?
自分の居る世界の延長線上の世界の創造が難しい理由ってこれかね…。
…ああ、いや、何も零から造る必要も無い訳だ。基礎的な物理演算処理システムは今居るこの世界の物を流用すれば良いだけなのだし。問題としてはそれはテンプレートのコピペだから、自分自身で造ったと言えなくなりそうな状態な訳で。後、それをした場合、その流用元がそれを造った奴に、都合の良い構築がされていたら、それも引き継いでしまうんだよな。
まあそれは微調整すれば良いんだろうが、結構な作業に成りそう。
…まあ、零から物理演算処理システムを組む寄りかはマシだろうけど。
その上での問題点は物理演算処理システムをどうやって流用するか、と、それの作り手に都合が良い物を全部見付けて改編したら世界の構築上のバランスが崩れないか?だ。まさかそんなのオープンソースにしてる訳無いだろうし…。
世界の性質をそう言うのに対応出来る様にするか?安置に世界の性質をトレースや、コピーとかにするとか。世界のバランス崩すレベルで修正が必要な物が無いことを祈るとしよう。
でも全く同じではわざわざ造る意味が無いと言うのは有るからな。だから何かしら手を加えないとアレなんだがな…。
…参考にしようにも、創造主のあの世界はカオス過ぎてよく分かんないし…。全然周り切れて無いだろうからまた行かないと…。
…ん?まさか、…風水とかの関連の場所の配置を表向きに出さない、世界の仕様書隠しの為のカオス配置…とかじゃ無いよな?
…まあ、流石にこれは深読みし過ぎかもな。
普通にスルーしたけど何でも創れる設備とか色々とアレだしな。…質問を大量にする事で設計図を造る手間は省いていたが、…設計図を読み込む形の方が速い気もする。…読み込ませる為に設計図を持ち込むとかしてる最中にスリに盗られるなんて事態を想定するなら設計図なんて使うのは危険なのだが。
そう言えば上空にも何か有ったけど、そちらも余裕が有ったら行く事にしようか。でもその為には上のエリアに行く手段から見付けなきゃだしな。何処かにエレベーターでも有れば良いが…。
さて、明日は通常のシフトに戻る事に成るが、何と戦わされるんだろうかね…。
一先ず、おやすみなさい。