仮公開文二ー2
そして習得の為の空間へと転移する。
事前情報通りの説明を聞き…自分のミスに気付く。
…手に入れるのいわゆる目のフォーカス合わせの高速化の力なのにそれをやるための基礎訓練をやるのを忘れてたのだ。
ええい。ぶっつけ本番でやってやる。
……。駄目でした。
因子の結晶が自分から弾き出されたのでそれを回収しようとしたら係の人に回収された。…成るほど。奪う系で奪った所で試練を突破出来なきゃ強制アンインストールで弾き出されてそのまま奪われる可能性が有るわけだ。
訓練場への案内を受けたので其方の方に行く前にライチェルさんの方に行く事にする。
…すると試練は難航しているようでまだ試練の最中だった様だ。
何時もは自分一人で習得していたので、習得中の奴を見た事は無かったが…。
…。試練の間体が無防備に成るなら長い時間の掛かる試練なんて戦闘中でやる羽目に成るならかなり厳しいのだが…。
ちょっとそれはやばいのでは?と思い見たら何か先には無かった物が有ったので目を凝らしてみる。
…どうやら試練中は因子エネルギーでシールドが張られて居るようだ。それがどう言う性質を持つかまでは流石に解らないが、試す訳にも行かないか。
戦闘中にはやれない様な感じに成るならそれはそれで有りではある…その場合は能力強奪系が能力を奪えば奪うだけ戦う時に隙を晒す羽目に成るわけだしね。
しかしライチェルさんは恐らく精神的な意味での転移先で戦闘中なんだろうし、実質の不死相手なんだからそう簡単には終わらなさそうだが、此処で先に訓練場に行くのは流石にアレだろうので、ある程度は待って、それでも終わらなかったら訓練場に行くが行った事の伝言を係の人に頼むことにしよう。
そこで係の人に話し掛けられる。
「この人随分時間掛かってますね。まあ挑戦してる内容的に仕方ないんですが、精神的に時間加速されてる空間でやるからちょっとやそっとでは其所まで時間掛からないのですが」
「へぇ」
「でも前例と言うか、所有者は居る奴ですし、…試練の難易度を上げる変わりに獲られる因子の性能を上げろとでも要求したのでしょうか?」
「時間が異常に掛かってるって言うならそれも有りそうですね」
そして更に待つ事約十分。
ライチェルさんが戻ってくる。
「やってやったわ」
「クリア出来たのですか。おめでとうございます」
「なら試練どんな感じだったんですかね?」
「…獲られる因子の性能向上を要求した結果だけど、【回帰】の試練なのにそれの欠点を幾つかの因子能力でカバーしてて倒すには一個一個能力を崩していく必要が有った。…多分やれるとしても知識チート的な物が無いともっと掛かったはず」
「…えげつないですね」
「獲られた性能はどれほどかい?」
「…自分の全部に常時掛けしたら自分が行う遠距離攻撃はある程度進んだ所で自分の所へと戻ってきちゃうわね」
「…駄目じゃ無いですか」
「其所を細かく設定させれば問題無くは有る。…まあ常時全部掛けをやるなら近接戦闘主体じゃ無いとやってらんない事に成るわね」
「でも例えば戻るタイミングを調整出来れば撃った弓矢を敵に当ててから回収とかやれるんじゃ無いですかね」
「採用。戻るタイミングを調整出来れば確かにやれるわ。魔法でもやれるかは要検証だけど」
「…多分、魔法でやれたら魔法を撃つ前の状態に戻るから結果としてMP消費無しで魔法が撃てるのではないでしょうか?」
「言えてるわね。…まあ要は元の状態に戻す能力だからエネルギーが満タンな所を基準値にすれば何度も使えるブーメラン的に魔法が運用出来るはず」
「手に入れたのは何より。でもそれ以上会話するなら脇に避けな」
「…ああ、ですね。なら訓練場に行きましょう。ちょっと事前準備し損ねてやれなかったんで其方でやる必要が有りまして」
「把握。付き合うわ。早速行きましょう」
歩きつつ思った事を率直に言う。
「…実際【回帰】性能酷すぎませんかね?」
「手に入れるには性能相応の試練が用意されてる訳だし、要は入手難易度の高さでバランスは取れてるわよ。因子の獲得の試練が難しい試練に成れば成るほど獲られる因子の性能も良くなる。…それに何らかの要因で産まれた時から因子能力を持ってる奴が一定数居るのだけど、試練が無理ゲーな物の因子能力を獲てる場合も存在するのよね」
「それはえげつないですね」
「因みに【破壊】は貴方は持ってたわよね?」
「ああ、はい」
「それが有れば基本的に相手がどんな機構を組み立てようがその機構を壊す方向に力を振るえば良い。…って単純な話だけど、それで全てに通用する訳でも無くて、中には機構なり何なりが壊れるなり停まるなり何なりとされる事を前提に能力が組まれてる場合が有る。設定次第では【回帰】もその一つね」
「うへぇ。能力を出力する部分を壊すのが手っ取り早いのにそうされても問題無い奴も居る訳ですか。でも能力自体を壊せば解決では?」
「…否定。一般規格的な能力ならそれで良いんだけど、独自性が高すぎる結果、どう壊せば壊れたと言えるのかが解らないパターンも有る。因子結晶を粉々に砕けば絶対能力を失う訳では無いし、幾つか例を上げると【回帰】、【復元】、【再生】、【逆再生】、辺りは普通に粉々にされても復帰してくるわね」
「他の三つはともかく【逆再生】…ですか?全体を巻き戻ししてもまた同じ事に成るだけかと思いますが」
「要は一部だけを巻き戻しすれば良い。それなら巻き戻しをしたからと全く同じ結果には成らないから」
「ふむ」
「そう言えば、要約すると無から有を産む能力と言う物が有るとするけど、理論的には可能らしいわね。流し見した奴に載ってた内容だから良く覚えてないけど」
「無から有を産み出す、ですか。…それだと質量保存の法則は何処行ったって話ですよね」
「正確には条件は厳しいが原子が無から生じる事が有る。ならそれを揃えきり何度でも出来る様に能力で持って行ってしまえば良い…と言う理屈ね」
「…またトンネル効果を無理矢理実現させるぜ。…的な理論ですね…」
「肯定。でもそれは一定以上の確率調整系の能力が有れば案外簡単ね。それが起きる可能性を今に適用すれば良いだけなんだから」
「ふむ…」
「さて、着いたわね。頑張って来なさい」
「はい」
そして暫くの間灯りが点滅を繰り返す部屋の中でエネルギーを目に宿らせて目のフォーカスの動きを補助しながら灯りへの対応を試みて二十分くらいで物にする事が出来た。
「…よし。これなら行ける」
「終わった?でも【明暗視】を取るなんて、閃光弾にでも嫌な思い出でも有るのかしら?」
「いえ、闇系の因子の試練対策ですね。」
「そう。…確かに一定以上の闇の中で一定期間以上居続けろ…とか、闇の中でも普通に行動出来る様にする能力が有れば楽勝な試練には成るわね。で、その回答としての【明暗視】、と。…だったら完全な暗闇でも使える赤外線カメラ的な能力の方が有用な気がするのだけど、彼方は彼方で対象が絶対零度以下の温度に成ったら見えなく成る欠点が有るらしいから悩ましい所ね」
「いや、絶対零度以下の温度で動ける奴は基本的には居ないと思うのですが」
「否定。例えば原初の龍の内の一龍には動ける奴も居るらしいわよ」
「へぇ。また原初の龍が出て来ましたね。他にはどんなのが居るんでしょうか?」
「うーん。原初の龍はいわゆるプロトタイプに成る。だから創造主が創るのに自重をしてない性能に成ってる奴は成ってるが、然程強くない奴も居る。例えば氷獄龍は広範囲疑似絶対零度を使えるらしい」
「ぶっ飛び過ぎてませんか?理屈的にはどんな感じで?」
「理屈的には範囲内の温度を一定温度分下げる。それだけ。でも常温帯からなら絶対零度へ到達するには最低三、四百度程度下げれれば十分では有る。まあ炎系とか高エネルギー体などを相手にするならそれ以上が必要だけど、下げられる上限値は不明」
「ふむ。疑似絶対零度を名乗るのに必要な下げる温度がたった三、四百度程度で良い。ですか。要求される能力の規模的にはやれる奴は結構居そうですね。数千度、数万度下げるとかになると話は別でしょうが」
「肯定。疑似で有るならばやれる奴はそれなりに居る事に成る」
「おっかないですね…」
「但し、氷系の因子を育てれば育てる程低温でも行動出来る様に成る。逆に炎系の因子の場合は高温へと対処し易くなる感じ」
「…だから最初に取得させられたわけですか」
「多分そうなんじゃ無いかしら…まあこの話だけ聞くとチート過ぎる様に聞こえるけど、体温が仮に一万度超えてる奴に数百程度体温下げる能力使っても意味はほぼ無いから、それしか使えないなら全勝は無理と言う塩梅になるわけよ」
「…同一効果の重ねがけ無効で良かった。同じ効果を多重に重ねがけされたら常温が一定以下の奴はあっさりやられかねないし。でも数千度や数万度下げれる奴が居たらちょっとやそっと耐性を付けたくらいでは対処出来ない気がしますね」
「肯定。…本来なら温度を操るとする所を下げる側限定にする事で、上げる側に使っていた能力容量を下げる側に割り振り、結果として下げる事に一点特化している。だからそれなりに高性能でも不思議では無い。もしそれでも仮に百度下げる能力にしか成らないのだとしても通常の人間なら耐性の無い奴は百度下げれれば軽く死ねるはず」
「まあその規模でも相手はマイナス数十度の世界ですしね。耐性を無い物として考えるならそりゃ死ねますよ」
「…実際範囲を重視しても星の地核を冷やしきるレベルの下げる温度量は出せるらしいけどね」
「星を冷やしきる。ですか、何度くらいなんでしょうか?」
「地核は確か六千七百度前後辺りは有ったはずよ。…つまり範囲を重視してもそのレベルを冷やしきれると言う事ね」
「範囲重視で最低でもそれですか…でも、炎系の上位には余り効かなそうでは有る範囲ですが」
「…星を冷やしきる。つまり効果範囲も相当な物に成る。それを凝縮したらそれなりに冷える温度量も増えるだろうし、原子停止能力も持ってる。あくまで制御では無い、が、故に特化しているわね」
「何というか、酷いですね」
「創造主が世界を創ってほんの少し経った頃から侵略受けまくってたからね。毎回創造主が対処するのもアレだったから創った奴等な訳だし、創作ならシナリオ的に回答を出す必要が有るけど、そう言ったのを軒並み潰す方向性で色々と創ってた結果らしいわよ」
「へぇ…」
「細かい事情はともかくとして、そう言った存在を大量に産み出さなければやってれない事態に成ってたのは確かね。結果としては何とか処理しきった様だけど。」
「初期って大変だったんですね…」
「まあ基本敵は雑魚ばっかだった。…って創造主は思ってる筈よ。実際一部の例外以外基本的にあっさり倒してるし。まあそれをやれたカラクリも大体予想はつくけど…おっと。」
其所で天井の一部が剥離して落ちてきたのをライチェルさんは避ける。
「ああ、はいはい。黙っとけ…ですか。…しかし優しいのか厳しいのか。もっと直接的な事をしてもあくまで自分の管轄の世界を自分で管理してるだけなのだから世界を少し弄るくらい咎める奴は居ないだろうに」
「…創造主への挑発は辞めた方が無難かと思うのですが」
「仮に創造主が暴君だった場合他が創造主を潰そうとするのが正論に成るから、最強でも無きゃ格上に寄ってたかってやられる事に成るだろうし現実的じゃ無いのよね。…だから結果としてこれはからかいみたいな物なのだけど、当然乗ってはくれないわよね。このヘタレが」
「…いや、ちょっと、なに言ってるんですか」
「反応無し…ね。つまらないわ」
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「いやいやいやあんた創造主に何されても良い的な発言したの解ってる?それはやばいって」
「どうせ乗らないって解った上で言ってるのだから問題無いわよ」
「…そう言えば俺も昨日似た方向性でからかわれたけど、…流石にそれはやばいですって」
「実際創造主ってエロい事に興味無い訳じゃ無いけど、創造主を求める発言をする際に他人の名前を使われると萎えるらしいわよ?まあ、つまりそう言った行為をする際にそもそも相手に自分として見られてないと認識するかららしいけど、寝取り好きなクズならそのままやっちゃいそうな物なのにやらないのは実際高評価では有るわね」
「…あはは。他人に向けられる筈だった物を奪って誤認させて享受するとか吐き気する行為だと思いますし、同意は出来ますけど。だからって誘わなくて良いのに…」
「創造主の魂の神格か何かが此方より高い可能性は高いし、そうならばそう言った行為に出られたらそれ相応の利点を獲られるのだけどね」
「…つまり創造主の魂の一部を取り込む事で魂的に進化したいと?」
「それはどうでしょうね。教えてあげないわ」
「からかいですかそうですか」
…これ、創造主の分体が来る検案な気がするんだが、…来ないな。来れない条件が揃って…は無いな。もっとキツい場所に普通に来てたし。どう言う理屈で来れてるのか…。
「何で分体すら来ないんですかね」
「創造主本人へのからかいで分体が出るのはなんか違うんじゃないかしら」
「そんなもんですかね」
「まあ、エロい事に対しては創造主からしてみれば今更なのかもね。だって、世界からエネルギーを吸い取って生成された木の実とかの食べ物食うのも捉え方的にはアレだし」
「あはは。流石にそれは男にも誤爆するので無いとは思いますが」
「まあそりゃそうよね…小細工したら余裕で分別出来る気がするけど」
「うぉいっ、アウトォー、アウトですからそれは…」
そこに分体が現れた。
「…それをやってるとしたら色々とやばいからな?やばさ的には食べ物に髪の毛とか精液混ぜる様な物だからな?…もしやるにしても合意くらい取るから」
「あら、これには反応するの?」
「…犯されたいのかてめぇ…」
「さあ、どうでしょう」
「…形式上仕方ない話として済ますならともかく、それを意図してやってると成ると犯罪的な行為と同等な話に成るんだよなぁ…やだよ。格上の断罪系の神と事構えるの。…第一、創った世界にそう言った行為を求めたいなら自分の欲求が満たされ続ける様な内容の世界を創ってしまえば良いのだから、欲求の捌け口として創って無い時点でそれなりに察して欲しい」
「ジャンナの類似世界を創っといて何言ってるのかしら?」
「…需要が有ったから創っただけだろうよ。犯罪なり何なりを完璧に抑圧し過ぎても抑え込まれた物が溜まり貯まって結果として大きな火種に成るなんて創作のお決まりの展開の一つだしな」
「…いわゆる発散場所はある程度創って置かないと不味いから創った。…そう言いたい訳ね」
「同様な意味で他の世界群で広く共用されている概念は敢えて世界から排除していない。…色々な他の世界から他の世界の奴がやって来る環境を想定するなら基礎的な概念の欠落はむしろそれを使われた際の対処が厳しく成るしな」
「…【存在欠落】なんて何に使うのかと思えばそう言う事だったのね。要は何らかの力に対して使って力を使われたと認識出来ない様にして対策をしようとすらさせない為の能力…か」
「確かにそうだが、それは独自性の高い能力用だな。既存の一般的な奴で使っても対策を既にされてれば意味が無いし。その能力の目的は新しい能力を適宜得て対処しようとする奴にその行動自体を封じる的な狙いの能力設計だ」
「メタ的な能力ですね。でも要は耐性を用意されてたら駄目だ。ってだけな気がするんですが…」
「そうだな。他に聞きたい事は?それが終わったら帰るが」
「うーむ。ライチェルさんはなんか有ります?」
「残り一つと言うなら特には無いわ」
「なら此方が。貴方方はどうやって普通侵入不可能な場所に普通に平然と顕れてるんですかね?」
「詳しくは言えないが、世界の専用の仕組みを利用しているだけだな。仕組みを理解さえすれば他の奴にも使えるだろうから詳しい仕組みについては黙秘するが」
「つまり【転移】で移動してる訳じゃ無かった訳ですか…」
「さて、これでしまいだ。じゃあな」
そして分体は帰って行った。
「…実際、私が聞きたかったのは質問一つじゃ足りなかったのよね。答えを聞いたらその内容から更に聞きたい事が出来そうな感じだから」
「何聞きたかったんですか?」
「創造主の行動って歪なのよね。大胆なくせにヘタレと言うか何というか」
「…酷い言われようですね」
「さっき言った魂を混ぜると…って奴は…それなりな数の前例が有るのよ。創造主がこの世界の人間に対してそれをやった場合は色々な力を得た上で羽根が生える変化が有るらしいわね」
「へぇ。それがどうしたんですか?」
「子供を創る行為って愛の証だ。って言う人が居るけど、実際、存在として間接的に一人に成るための行為だ。…って捉えればその主張も解らなくは無い。…でもね。そう考えるなら、魂を混ぜる行為ってそれの上位互換と言えてしまうのよ。自分の中に好きな相手の一部が物理的処か存在その物のレベルで混ざってる様な物なんだから」
「…つまり存在その物として一つに成るための行為の一例と言える。…と」
「そうなるわね。…まあ、システム的に組んだだけらしいから、世界の人間側が創造主の魂を混ぜたとしてもそいつを余り構わないらしいけど」
「それは酷くないですかね?」
「あんたね…創造主を対象にする場合世界の魂的なエネルギーを取り込むだけで良いから、基本的にほぼ面識無い相手から勝手にそうされる可能性も有るのよ?…つまりそれって例えるなら逆レイプされてる様な物なんじゃ無いかしら?そんなのまともに相手するのを基準になんてするわけ無いでしょうに」
「あはは。…そうなりますか…でも自分でそのシステム創ったんですよね…?」
「なに?じゃあ性欲に任せてやりまくってるって方がお好み?これはあくまでそう解釈出来ると言うだけよ」
「…解釈の問題…ねぇ。ちょっと解釈的に気になる事が有るんですが良いですかね?」
「何よ。言ってみなさい」
「では、…漫画とか小説とか映画とかの創作で他ので実在する作品のネタが使われたり、出て来たりする事が有るじゃ無いですか。…アレってそれを創った人が知ってるからそれを創作に織り込んだ。…と、言うのは解るのですが、創作された世界が実際に有るとする場合、作品の中で扱われる他作品ってどう言う理屈で実在してるんでしょうかね?」
「…また、難しい話を…でも元の世界の作者と同義の存在がその世界にも存在しているとすると同じ物を考え付くのも別におかしくは無いわ。…問題としてはそう言った辻褄合わせを必要とする引用をされればされるほど、創作世界の中身と作り手側の存在その物かそれに類する何かが増殖するような気がする。まあ要約するに、辻褄合わせをしようとしたらその世界にその作品の作者と同義の奴が居るのが手っ取り早いけど、それは色々とやばい事だと言う話ね」
「ふむ。ならこんなのはどうでしょうか?作者と創作される世界を別物と考えてみると、創作世界を自分で考えたつもりに成ってるが、似た思考回路の同義の別世界の奴もそれを考え付いたので結局は世界を超えて存在する的な物に成った。的な」
「…作者が知ってるから書き加えました。で済ませて良い話題とは言え、それを世界の中で辻褄合わそうとすると色々とアレだわね…」
「ついでに更に言えば、未来予知で寸劇を見た結果、誤解したのだとして、未来予知を防ぐ為に行動して、それを知ったから寸劇を行った。…未来予知をして行動を起こす迄はむしろその寸劇が行われる理由が基本的には無いなんて話に成る。対象が役者とか俳優とかなら話は別ですけど、仮に此方の行動も全て織り込み済みで未来予知してるならどんな行動をしても基本的には無駄に成るんですよね」
「未来予知をそれ一回しかしてないならその可能性は有るけど、他にもやってその未来予知を覆せたならば話は変わるわ。第一自分の行動依存の結果の未来予知をしたなら自分に対して強制力が働いてるなんて事に成りでもし無きゃある程度の未来予知を覆せて当然よ」
「うーん。未来予知をして、対処の為に行動し無ければ対処すべき事は起こらなかった。…その場合その未来予知は自分の為にと言うより世界の辻褄合わせの舞台装置的な物になる気がします。そもそもその未来予知をし無ければそうは成らなかったのだから自分の意思でその未来予知をする必要性がそもそも存在し無い訳ですし」
「なら自分の力でやってる場合、それは明らかに不必要な力の行使に成るわね。…その未来予知を自力でやったと言えるなら、少なくとも変えなければ成らない何かが有ると見るべきって事よ」
「問題は事細かに未来予知で知れるのでも無ければ、その変える必要な何かも解らないと言う事ですね」
「要約するに、相手に寸劇をさせる為に未来予知した。…なんて力の無駄遣い過ぎてアレだし、基本的に寸劇は対象が俳優とか役者とかじゃ無ければ有り得ないと見て良いのかしら」
「…何も問題無い演技をわざわざ見るってのもアレなんで無いとは思いますがね」
「第一、未来予知をやった結果の対策でむしろ未来予知の結果に成るようならそもそも未来予知をする段階で其所まで見えているはず。だって能力自体は其所までの過程も読み切ったからこそ未来予知が出来たのだから」
「…つまり基本的には未来予知が此方の行動が織り込み済みでは無いなら未来予知をした時点で未来予知をした奴の行動に対してある程度の保障が有るって事ですかね?」
「つまりはそう言う話に成るわね。そうで無ければ見るべき物が違うもの」
其所に声が響く。
『あのさぁ。色々と考えてくれるのは有難くは有るよ?でもさぁ。内容的に好き勝手言われすぎて聞く人が聞けば風評被害出まくりだと思うんだ。まあ、此方もシステム的に色々と受け取れちゃう関係上、強くは言えないんだけどさ』
「…珍しいわね。まさか創造主様?」
「…ちょっえっ。基本的には干渉してこない方針なはずでは?」
『まあちょっと好き勝手言われすぎなのをそのまま放置ってのもアレだしね。意図的にちょっと問題を背負って貰うよ』
「そんな事より結局貴方はヘタレって事で文句は無いのかしら?」
『…どうしてそんな行動を取ったかとかの此方の感情の機微を細かく説明する気は無い。ただこれを言わせて貰えば、例え君ら相手にこの世界に分身体とか創ってそう言う事をやったとしてもセーフティ的な意味で此方に直接的な快感は基本的には来ない。…つまり肉欲的な意味で君らを見る意味が無いんだよ』
「“基本的には”…つまり例外が有るように聞こえるのだけど?」
『…ごくごく稀にセーフティを飛び越える場合も無い訳では無いだろうからだな。後、別に君ら側のみが快感を得る様な行為について此方が感覚を制限する理由は無い、が、それを延々とやるのも何だか此方が奴隷みたいな形に成るし、基本的には遠慮させて貰うが』
「…つまらないわね」
『…最後に、…そんなに犯されたいならそれ相応のシステムが有るはずだが?』
「アレは世界にで有って貴方にでは無いわよね?」
『…だったら俺の領域にやって来い。そしたら考えてやる』
「それはやれるもんならやってみな。的な発言に聞こえるのだけど?」
『…まあそうだな。じゃあ分体擬き一体に其所を襲わせるから対処してみせろ』
「ちょっ」
『…ではこれで切り上げる事にする。じゃあまた会う日まで』
そして声は沈黙し、先に言っていた問題とやらが発動した。