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種族 人形 はチートだった  作者: 天漏り
第一枚  人形 と 出会い
6/6

 人形 の 独り立ち

「ちょっと待てよ!!」

「ええい、やかましいわ!さっさと入らんかい!」

 

 世界樹内部。

 今現在、人形と青年が口論をしている。

「あああああ、うっさいのう!精霊王精霊王と――――――!」

「は?精霊王は精霊王様だろうが!ほかに何があるってんだよ!」

「フン、知りたいか、儂にも立派な名前があるのじゃ」

―――――というイカス名前が―――――――――――、と話したところで、青年は口を抑える。

 口封じのように、青年が、人形を箱の中に押し込む。

 勿論、只の箱ではない。”転移ボックス”という魔法器具である。

 中に入れた物を、のぞんだところに運ぶ、一方通行のワープゾーン。そんなかんじだ。

 そして今、二人の勝負が決した。

 青年が、人形を箱に入れ、蓋を閉じたのである。

 彼が念じた先は、大陸の最南端の森、”キノコの森”。魔物も弱く、西に30キロ進んだ先には”大地の都ガイア”がある。

 

 大陸の中心、世界樹に抱かれた王都”ユグドラシル”で、一人青年は呟く。


「また、アイツが暴れてる。…近々、一動乱くるかもな」

――――――――――――――制止力として呼んじゃったけど、なるべく巻き込みたくなっかたから。

 彼は、誰にも明かさない弱音を、心の中で吐いた。



「なんだアイツ、ここはどこなんだ?!」

そう、精霊王(あいつ)に箱に入れられたとこまでは覚えている。

 そこまでなのだ。

「まさか、自分の名前を聞かれたから、口封じをせねば、とか思って、急に強引になったのかな。」

 教えたくないほど恥ずかしい名前なのか、と聞かれると、そうでもない。

 ”エント”。

 それが奴の名前だ。

 恥ずかしくもないし、むしろいい名前じゃないか。

 それにしても―――――――――

「なんでこうなった?」

 今の俺の状況を知るには、少し時を遡らねばならない。



「ところで、なんで俺は呼び出されたんです?」

そう。これこそが、一番の謎なのだ。

 ゲームが親友、だったはずの情けない男に、なぜ転生という道を与えたのか。

 問いかけてみたのだが…

「さあな?それより、{かわいい子には旅をさせよ}が、儂のポリシーでな。甘く育てるつもりはない。」

 華麗に無視された。

「まあ、いい感じのフィールドまでは送ってやるから、安心せい」

 安心なんてできるわけねーだろ!! という俺のツッコミは、またしても無視。

「儂のム…、・・・魔女でも尋ねるとか、目的をもってこの世界になじんで来い。」

 何を言おうとしたのかわからないが、とりあえず・・・

 ”魔女を探せ”

 こういうことだろう。

「どこにいるんだ?」

「たわけ!そんなの、自分で探すに決まっとろうが」

 そうだよな。さすがにそう思うが・・・

 聞いてみる。

≪魔女はどこにいるんだ?≫

≪プライバシー・ロックがかかっています。≫

 クッ。

「それでは、いい感じのフィールドまで送ってやるから・・・」

「ちょっと待てよ、精霊王様!自分の能力すら知らねえんだよ!」

「そんなの、自分で確かめればいいだろうが!」

「ちょっと待てよ!どうやって確かめるんだよ!」

「向こうで試せばいいじゃろうが!」

「ちょっと待てよ!精霊お・・・」

「ええい、やかましいわ!」

  

そして口論になり、箱に入れられどんぶらこ~、というわけである。

 マッタク、ひどい王様である。

 そう思いつつ、タブレットを起動する。

≪ねえねえ、俺って何ができるの?≫

 回答はこうだった。


 ≪能力  (限界突破    体力が許す限り魔粒子を限度無く操れる)

      (タンク     酸素、または食料のエネルギーで生きることができ、体内に水やエネルギーを貯めることができる。)

      (トネリコの加護 損傷部分に水をかけると治る。周りの環境の影響を無効化するが、過酷であればあるほど体力を消耗する。)

      (メルト     魔粒子を物質に浸透させ、その物質の性能も上げる。)

 魔法   (ドレスアップ まわりの物質を衣類に変える。)≫


 ・・・・やばくない?

 絶対(限界突破)とかやばいスキルだって。

 これを聞く限り、必要なのは体力ですよね。

 どうやってつけるんだろ?

 タンク の食料?が気になるな。

《食料でも体力はつきます》

 予想通りのようですね。

 さっそく、俺はその辺にあったキノコを食べた。

 食べた後に、毒キノコだったらどうしよう?という不安が俺の心を巣食った。

 しかし、もう遅い。

 俺は、強烈なめまいや頭痛に襲われ―――――――

―――――――――――――――――――――――なかった。

 ブッッッッ

 代わりに屁が出た。

「なんだ、毒キノコじゃないみたいだ。」

 そう思い、俺は辺りにあったキノコをむさぼり食らう。

 そして、噛む度に屁が出る。

 まって?これ、もしかして・・・

――――――毒物を食らうたび、毒素が屁としてでるんじゃないだろうか?

《技・放屁(ブースト)を獲得。》

 獲得しなくていいわあ!!

 かっこよくもないからね?

 これ、ばれたら恥だからね?

≪この媒体は身分証明書としても使用できます。同時に魔法、技、種族も公開しますので、確実にばれます。≫

 無慈悲な一言がタブレットから聞こえる。

 身分証明書なんて、どこで使うんだよ!!と思ったら、すぐそばに、身分を証明する必要がありそうな小屋を見つけた。

 小屋の前の看板には、{旅のステーション キノコの森支店}と刻まれている。

 中からは、男性たちの豪快な笑い声が聞こえる。なんだか、酒場のような雰囲気である。

 いいな!俺も入りたい!

 足が入り口に吸い込まれていく。

 

 そのとき、何かに首元をむんずとつかまれた。

 誰だ?

 ゆっくりと後ろを見る。

 そこには・・・

≪魔女”シノブ”が作成した、人形です≫

 ここで魔女の名前が明らかに!ってそうじゃない。

 人形は、冷たい目で俺を覗き、定型文を発する。

『ここは全国で2000店舗を展開する、旅のステーション、キノコの森支店です。』

『対象を認識…できませんでした。会員、または冒険者でない可能性…100%』

『カードを発行します。身分証明書を提示してください。』

 ヤッパリな、使うと思ってたぜタブレット!

 ただ、相手は人形である。恥ずかしがる必要はない!

 しかし、旅のステーションとはなんなんだ?

『シノブ一人が運営する、大規模な旅人援助機関です。旅のステーションでは、宿泊、食事、仲間の結成支援サービス、武器やお金の預かり、引き出し。また、回復アイテムの販売や武器の販売なども行っております。販売のみ、有料です。』

『食事は、300yで提供しておりますが、食材の持ち込みでただとなります。』

 まさに、旅人の味方のような場所である。

 それにしても、こんなのを一人で2000店舗行っている魔女というのは・・・・・・恐ろしいものである。

 早速俺は、タブレットを差し出した。

 人形が、クスリと笑ってから、カードを発行してくれた。

 …ん?わらった・・・だと・・・?

『私の感情は全てマスターとリンクしております。』

 

 先に言って欲しかった!!

 これで魔女に会えても、変な目で見られるだけではないか!!

 アーア、やらかした。

 しかし、憂鬱な気分は、扉を開いたとたん吹き飛ばされるのであった。


 目の前で繰り広げられるは、まさに居酒屋そのもの。

 パーティが組まれては酒が頼まれ、新しい仲間とグラスをぶつけ合う。

 綺麗なおねーちゃんを誘い入れたパーティには、嫉妬の目が向けられていたが…。

 老若男女、パーティ問わず、笑いあえる空間。

 たまらなく、心地よかった。 

 そして、新たな出会いを描いて、俺は心を躍らせ、その空間へと足を運んだ。


だんだん書いてる方も楽しくなってまいりました。

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