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種族 人形 はチートだった  作者: 天漏り
表紙  俺 ト 冥王 ト おじいちゃん ト
3/6

1 冥王と俺とおじいちゃんと そのに

 樹は今までの人生を振り返る。

―――――思えば残念な人生だった。


 大学3年の22歳。それが俺の年齢であり、(享年)となった。

 七階建てのアパートの6,7階(管理費を抑えるため、6階に住む人には7階も与えられる仕組みだった)に住み、親はいない。捨てられっ子だったっぽい。

 端から見れば<イケメン>と言われるルックスの俺だったが、自他ともに認める<残念イケメン>だったのだ。

 趣味はゲーム。特技は太鼓●達人あだ名は太鼓の変人。

 俺の青春はゲームに捧げてしまった。だから、年齢=彼女いない歴なのはしょうがないのだ。

 むしろゲームが嫁なのだ。 そうでも思わないとやってられない。

 また、運動はまあまあできるものの、球技がまるでだめなのだ。必殺技は、顔面キャッチだった。そのため、球技の授業があった日には、自動的に保健室のベットの予約が入っていた。


 次に思い出すのは、鮮明な死の記憶。

 俺が死んだあの日、俺は、友達プレイステーションを電化製品店から迎えに行くつもりだったのだ。 二階(七階)でジャージに着替え、黒のウエストバッグにスマートフォンを放り込み、外に出るべく自宅の階段を下りた。しかし、財布を忘れていたことに気が付き、再び駆け上った。

――――――――――――――――――――――悲劇はそこでおこった。

 

 憧れのバーチャルに気を取られ、目の前の段差の脅威に気づかなかった。

 踏み外した。

 あっ、と思った時には遅かった。

 ゴッッッ―――――――――――――――――――

 俺は脛を強打した。

 急いでいたために、いつもより足を運ぶスピードが速かった。

 それはもう、感覚がなくなるほどの衝撃だった。

 生まれて初めての痛みに、悶絶した。

 意識が朦朧とする。

 体を揺らして、その痛みに対抗しようと、がむしゃらに暴れた。

 体が、近くの高い棚に当たった。棚から、何かが落っこちてきた。

 それは、複雑な処理も可能とする、重量、質量ともに、俺の所持しているなかでも最大の・・・


 ゲーム機だった。


 おれは、ゲームにすら裏切られたのだ。


 か―――――――――――ン・・・


 いい音が響く。しかし、意識すら奪うその痛みに贖いきれず、俺は命を手放した。

 なにせ、金的に当たったのだから。


「どうせなら、頚椎けいついにでも当たってくれればよかったのにな。最後の最後で”男”って称号も亡くしたのか・・・・・・・・・・・・流石に同情するぜ。」

 回想にふけっていた俺は、その言葉で帰ってきた。思い出した途端、ゲーム(裏切者)に対する恐怖がこみあげてくる。

 声の方に目を向けると、冥王が股間を抑えて、憐れみを込めた視線をおくってくる。余計なお世話である。

 というか、冥王も男だったのか。性別なんてあるんだな。

「あるにきまってるだろ?!」

「え、聞こえてんの?!」


 そんな会話をしながら、俺は「霊界」に入るための手続きを進めていた。


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