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私の小失敗の本質  作者: リノキ ユキガヒ
報告「新生マルハチ会」
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マルハチ会=私

マルハチ会の活動は色んな方の協力により存続する事ができるようになった。

この撮影スタジオで会合を行うというアイディアは久我山編集長の提案だ。撮影というのは以外と空き時間がある。それを使わない手は無いとの事だ。

それと雑誌の写真撮影は状況に応じて色んなスタジオやロケ地を点々として行われる。つまり神出鬼没なので場所を特定されづらい。

悪質なマスコミ対策として非常に都合がいい。

それと今まで固定されていた日時もメンバーの都合に合わせて組めるようにした。

私のマネージャーさんにキチンとマネジメントしてもらうのだ。

「モデルのメンタルまでマネジメントしてこそのマネージャーです」

マネージャーさんはそう言ってマルハチ会のマネジメントも快く引き受けてくれた。

こうしてマルハチ会は新たに生まれ変わったのだ。

そして私の趣味は公私共に軍事マニアとして認知されていった。


「ほんと、惚れ惚れする美しさね。米軍が攻撃するのをためらうのも解る気がするわ」

「確かに大和型戦艦は綺麗ダナ」

「んぁ。隊長も少しは見習いなよ」

「大きなお世話様」

「でもあれダナ。日本の兵器はナゼか美しいのが多いナ」

「んぁ。たしかに」

「日本人の美的センスが鋭敏って事ね」

「そうかも知れないけど、隊長。べつにポーズはとらなくてもいいダヨ」

「んぁ」

「なによ。トップモデルがポージングしてるのに無視するの?」

「んぁ。何がトップモデルだよ。普段はジャージにドテラのクセに」

「チョット!不用意に私のプライベート晒さないでよ!」

「モデルなのに気取ってないから隊長は皆んなに好かれるんダヨ」

「んぁ。そーだな。ノトヤが似合うトップモデルなんてそうそういないぜ」

「ったく。褒められてるのかしら?」

「最高の褒め言葉じゃない」

「ちょっ!久我山編集長まで!」

「皆さん盛り上がってるわね。」

「どうもデス」

「んぁ。あー編集長。ウチのカミさんが『ノトヤ』の特集面白かったって言ってましたよ」

「ウフフ。地元の人に言ってもらうと嬉しさもひとしおね」

「ん゛んっん!!んん!ンッ!!」

「んぁ。なんだよ隊長」

「カネコさん。隊長の事も褒めてあげないと…」

「んぁ。隊長なんて只服着て突っ立ってるだけだろ?」

「貴様ーーッ!!まだ言うかぁーーー!!」

「んぁ。冗談、冗談」

「ったく…」

「いいわね~。仲間って」


久我山編集長は私達マルハチ会のやりとりを微笑ましく見守っていた。

そこへ一人の編集者が久我山編集長に「編集長。お客様がお見えになってますよ」とドアノックをしながら言ってきた。

久我山編集長は「はーい」と返事をするとメイクルームを後にした。

久我山編集長は忙しい人なので何かと動き回っている。なのでその行動が特に気になる事はなかった。私達は相変わらずそのまま喋り続けた。

暫くしてメイクルームをノックする音がした。メイクルームのドアは常に空きっぱなしだ。

マルハチ会のメンバーは一斉に音の方へと顔を向ける。

そこには見覚えのない初老の男性が立っていた。

その後ろに久我山編集長。

初老の男性はスーツの内ポケットから名刺入れを取り出すと一枚を私の前に差し出した。

「初めまして私。こういうものです」

と穏やかな口調で話しかけてきた。

私はアパレルメーカーの偉い方が挨拶に見えたものだと思い慌て立ち上がり挨拶をした。

そして差し出された名刺に改めて目を通した。そこには


月刊 丸


と、書かれてあった。

「まる…」

聞いたことの無いブランドだな…。と思いながらその名刺を受け取った。

私は「丸」というアパレルメーカーの名前を必死に思い出そうとした。

その「丸」の男性は小川さんとカネコさんにも名刺を渡そうとしたので私は慌て止めようとしたが少し遅かった。

小川さんは既に手にしており名刺をマジマジと見ていた。しかし、様子がおかしい。うめき声みたいなものを発している。

「あ…。おぉ…。ま…」

頂いた名刺を手にしたまま固まってしまったようだ。

カネコさんも似たような感じだ。

一体名刺に何が書いてあるのか気になり再度改めて名刺に目を通した。

「丸…って。変わった名前のブランド名ね…」

思わずそう呟いてしまった。

「た、隊長…。なんて事言うダヨ。丸の編集長だよ。その方」

そう小川さんが慌てた様子で私に寄って来て震えた声にならない声で私に言って来た。

「あー。雑誌の編集長さんかぁ!どーりで聞いた事の無いブランド…えーーーーっ!!!」

久我山編集長が必死に笑いを堪えているのがその編集長と思われる男性の影に見える。

「あっはっはっは!もうダメ。リタちゃん鈍感過ぎ!!」

「そうだよ隊長!謝んナヨ!」

「んあ!」

「すみませ~ん」

その初老の男性はなんとあの老舗軍事雑誌「丸」の編集長だったのだ。

丸の編集長は苦笑いを浮かべながら私に

「いつも楽しく拝見してますよ。コラムの方」

と、優しい口調でそう話しかけてきた。


以上。






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