考察③住み分け
軍事マニアには様々なジャンルが存在すると述べたが、趣味にせよ仕事にせよ多面性があるのは当たり前の事なのだ。軍事だけが例外ではない。
しかし趣味でしている人間にとってはどうでもよかったりもする。
手当り次第に調べる者もいたり、ある程度の方向性を定めて調べていく者もいる。
しかもその方向性というものも大体が好みだったりする。
別に大学で論文を発表する訳でもないのでとっ散らかっても問題はない。
しかし何人かの軍事マニアが集まるとそうはいかない。
あえて稀で極端な話しを例えにするが、矢じりや石斧を武器にしていた縄文時代が好きなマニアと「Nintendo war」と呼ばれた湾岸戦争で使用された精密誘導兵器のマニアが話しをしても噛み合わない感じがするだろう。
両者の例えは極端すぎるが解り易くする為の例えだ。
恐らく一般的な軍事マニアからすると縄文時代は最早「歴史マニア」の範疇だろう。軍事ではない。と判断を下す者もいるだろうし、単純に好みではない。という者もいる。
しかし軍事マニアで戦史好きにとっては興味の湧く事かもしれない。
この様にちょっとした例えでさえ苦慮するのをみてもらえれば分かるとおり、軍事というものは奥が深く簡単に割り切れるものではない。
ゆえに軍事マニアが集まる時は大まかにジャンル分けをしている場合が多い。
軍事マニアから少し遠のくかもしれないがエアー(ソフト)ガンで打ち合う「サバイバルゲーム」などを例えに出せば普通の人には解りやすいかもしれない。
野山を駆け巡りそれなりに用具を揃えなくてはいけないサバイバルゲームに戦艦関係の書物を持って行ったところで意味はなさない。
そしてマニアというものはだいたい似たような者しか集まって来ないから自然と住み分けが出来てたりする。
この住み分けは比較的簡単に出来るがそれでも大雑把にならざるをおえない。
一つは先ほども述べたサバイバルゲームに代表される様な
「アウトドア派」
こちらの派閥は兎に角動き回るのか好きでそれがこうじて自衛隊を志願するものもいる位だ。
中には手に入る範囲で軍用品を買い揃えその装備でキャンプをしたりするものもいる。
普通の人からみれば戦争映画のロケか?と見まごうばかりの出で立ちでキャンプを満喫する剛の者もいる。
しかし格好とやっている事の一部を除けばアウトドアなので比較的取っ付き易いかもしれない。
格好が格好なだけに周囲への配慮も怠らないし、一人では出来ない事も多々あるので比較的社交的な者が集まり、その規模もそれなりのものになる場合が多い。そしてその解りやすさと親しみやすさ故に軍事マニアのビギナーが良く集まるのも特長といえよう。
で。それと対極的な者が集まるのが
「インドア派」
別名に「資料系」などと言われたりもする。こちらは書物を読み漁ったり博物館へ通ったりする者達だ。
比較的内向的な性格の者が多く、アウトドア派と違って集団で行動するよりも個人で動く者が大多数だろう。
そしてビギナーより上級者的な趣きのある人間やより専門性の高い知識を得ようとしている人間が多いように見受けられる。
そして、こちらの方の好きがこうじてなる職業の一つに軍事評論家というものがあるがこれらは大変狭き門なので、大体は純粋に趣味として楽しんでいる場合が多い。
が、内向的な性格と趣味の内容からしてあらぬ誤解を受ける者も中にはいる。
以上、長々と書いたが軍事マニアにも目に見えない派閥のようなものがあると思って頂ければそれで構わない。と思う。