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私の小失敗の本質  作者: リノキ ユキガヒ
報告「久我山とRita」
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Rita≠連山だったはず…

 私は恐る恐る久我山編集長の顔を見た。

 久我山編集長は私を見ると全てを悟ったように目で合図して来た。

 前にも言ったように私の趣味仲間の寄り合いであるマルハチ会の事は言ってはいる。

 が、具体的な活動内容のようなものは言ってない。

 それとハタから見ればマルハチ会は男女が只の単におしゃべりをしてるようにしか見えない(?)から、聞き覚えのある声を聞いて思わず話しかけたのだろう。

 因みに久我山編集長はモデルをする前の私を知っている。彼女の前ではこの容姿はカモフラージュの意味を成さない。

 電車の中でギリースーツを着ているようなモンだ。

 しかし、バレてしまってはしょうがない。

 私はこの場をなんとかしようと必死に思考を巡らせた。

 だが、解決策は見出せなかった。

 ここは久我山編集長が静かに立ち去る事を祈るしか無い。

 しかしなぜファッション雑誌に興味の無い二人が久我山編集長を解ったのだろうか?

 男性用ならともかくJ&Jは女性用だ。彼女のテレビ等への露出も無い事もないがニュースのトピックス位だ。

 私は少々疑問に思ったがその答えは彼女の名前にあった。

 そう、久我山。

 旧軍マニアで察しの良い方なら御存知かもしれない。

 一撃でB29を二機同時に撃墜した伝説の高射砲。五式15糎高射砲。


 通称・久我山の15センチ高射砲


 テレビか何かで聞いた編集長の久我山と高射砲の久我山がダブりそれで記憶が刷り込まれたのだろう。

 事にマニアというものは関連づいた語呂を見るとスンナリと受け入れてしまう傾向にある。

 かくゆう私も久我山編集長のお名前は高射砲と関連づけて憶えた。

 と、なると私の名前もヤバい。

 最近、そっち方面の露出が増えてきているから彼らがどこかで私の芸名であるRitaを聞いていれば、冒頭で述べた爆撃機「連山」のコードネームとダフらせて印象に残っている可能性がある。

 天に祈った。どうか私の芸名を思い出さないで…。

 と、思った矢先に

「んぁ。そーいやーリタってモデルいなかった?」

 と、思い切りカネコさんが口火を切ってしまった。

 それと同調するように小川さんが

「なんだか連合軍のコードネームみたいダナ」

 と追い打ちをかけた。

「んぁ。連山ね。それで憶えてたんだよ」

 恐れた事はアッサリと起きてしまった。

「あら、ウチのリタを御存知で」

 しかも、久我山編集長は嬉しそうに二人の反応に応じる。

 こうなってしまってはどうにもならない。

 まるで爆撃機が爆撃コースにのった状態だ。

 爆弾を投下するまで、対空弾幕を突き進まなければならない、なすがままだ。

 幸い私の正体はまだ二人にはバレていないが、ドミノ倒しのようにアッという間に絶対防衛圏だ。





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