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私の小失敗の本質  作者: リノキ ユキガヒ
報告「マルハチ会結成」
22/41

羽毛布団≠名前

 ◯月◯日定例会の日だ。例の如く変装に近い格好で参加する。

 会合も中盤に差し掛かったころに小川さんがふと呟いた。

「この会合になにか名前が欲しいダヨ」

 それに同調するようにカネコさんも答える。

「んぁ。なんかあった方がイイかもしんねーなー」

 私は読みかけの雑誌「丸」をテーブルの上に置いてふと外を見た。

 心の中で「名前かぁ」と呟きながら。

 その仕草が小川さんには何か考え深げに見えたのか?私に話しかけてきた。

「あ、隊長。何かいい名前ないカ?」

 私は少し驚いた。なにせ普段は着せ替え人形みたいになすがままに仕事を進める人間だ。何かを提案するなどした事がない。

 思わず言葉に詰まった。

 しかし、カネコさんが追い打ちをかけるように

「んぁ。隊長なら何かイイ名前思いつきそうだな」

 そう言ってきた。

 私のどこをどうみたらそんな考えに至るかは解らなかったが、二人の期待に満ちた表情を見てると何か言わねば。という使命感から思わず

「マルハチ会…」

 という言葉が口をついて出た。

 言った後で内心「しまった!これじゃぁ羽毛布団じゃないか」と思ったが後の祭り。

 慌て向かいに座る二人を見るが何やらうつむいて考えこんでいる様子だ。

 しばし沈黙が続く。この場から逃げ出したい気分だ。

 私も恥ずかしさからうつむいてしまう。

 するとカネコさんが口を開いた。

「んぁ。イイんじゃねーの」

 続いて小川さんも後を追うように話し始める。

「ひょっとして隊長。マルハチって、ヒトフタマルハチから?」

 私は出まかせから出た言葉に二人がこんなに喰いついてくるとは思わず顔を上げた。

 二人の表情はまんざらでもないようだ。

 小川さんの問いかけに私は半ば条件反射的に

「そう…。そうよ!ニイタカヤマノボレ1208からとったの。私達が出会った記念すべき日でもあり、新しい戦術が花開いた歴史的な日よ!」

 そう拳を降りつつ力説すると、カネコさんはいつもは眠そうな目を思い切り見開いて

「おぉ!!」

 と感嘆の声を上げた。口癖の「んぁ。」じゃないから相当なインパクトがあったらしい。

 オマケにカネコさんの専門は航空機だ。真珠湾攻撃は航空機と空母による世界初の大規模作戦だ。

 名前の由来に絡めて本人としても嬉しかったのだろう。

「由来といい、会合の目的といい、これは文句の付けようがないダヨ。この会合の呼称は『マルハチ会』で決まりダヨ!!」

 思いもよらない二人の反応に少し戸惑いはあったが、まぁヨシとしよう。

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