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私の小失敗の本質  作者: リノキ ユキガヒ
報告「定例会について」
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周りの目≠楽しさ

 時計の針は10時頃を刺している。

 ファミレスの駐車場に一台の軽バンが滑り込んで来た。

 その軽バンは小慣れた感じで駐車すると二人の男性が降りてきた。

 一人はメガネをかけておりカッターシャツにネクタイを締めてスラックスを履いている。そして作業着っぽいものをその上に羽織っている。

 解りやすくいうと工務店の営業マンのような趣きだ。

 真ん中から分けた清涼感溢れる短い髪型がそれっぽい。

 もう一人の男性はジーンズにパーカーといういたってラフな格好で長髪。

 長髪もオシャレで伸ばしてるという雰囲気ではない。簡単に後ろで縛ってるだけだ。

 アゴに生えている無精髭がそれを物語っている。

 コケた頬にトロンとした目つきが特徴的だ。

 そしてその二人は同じ位の大きさのカバンを小脇に抱えている。

 二人は駐車場を横切るようにして私の所へと寄って来た。

 メガネの男性が私に気付くと開口一番。

「相変わらず隊長が一番乗りダヨ」

 続いて長髪の男が

「んぁ」

 と短い相槌を打つ。

 私は二人の反応を見るや否や

「遅い!!これが状況中なら部隊は全滅だ!!」

 と怒鳴り散らした。

「まだ時間にはなってないダヨ~」

 メガネの男はそうニヤけながらボヤく。

「隊長が早く来すぎてるだけだろ~」

 長髪の男もそれに同調する。二人の少し困った顔を見ながら私は回れ右をしてファミレスの自動ドアを潜った。二人も後へと続く。

 一連のやり取りを終えてから席に

 着くと、私は小脇に抱えた雑誌「丸」を二人に手渡した。

 するとその二人の男性は私への礼もソコソコに貪るように読み始めた。

 私もそれにならうようにページを捲っていく。新書ならではのインクの香りが鼻腔をくすぐる。

 そう。これが定例会の内容だ。

 雑誌「丸」の販売日に集まって読みふける。という至極単純な内容の会合だ。

 普通の人からすれば「なんだそりゃ!?」と言われかねない珍妙な集まりかもしれないが、当人達にしてみれば意気投合した仲間と同じ時間を共有できる事は、物凄く楽しい事なのである。

 勿論雑誌を読むだけでは終わらない。この後雑誌の内容に関して解らない事があれば質問し合うのだ。

 ここに居る面子はむしろそれを楽しみに集まっていると言っても過言ではない。


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