俺の友人がガチで危ないやつだった件
「だから、我の左手には…くっ!…落ち着くのだ、我が左手に宿りし悪魔よ……悪魔が宿っておるのだ…」
……こいつは俺の…できれば他人でいたかった、友人だ…………なぜ俺とつるむようになったのだろう?
~回想~
「…おい…貴様が我が下僕になるべき喜ばしい人物なのか?」
…………は?…中2病か?
「くくく…よかろう。我が下僕にしてやろう」
そんな身勝手な(棒)とでも言っておけば満足するのだろうと思っていた。
~回想終了~
で、今。
「我が下僕、次に征服すべき領土はどこであるか?」
………こんな聞き方だが、次の授業の内容と場所を聞いているのだ。…全くもってわかりにくい。
「次は現国だ。教室のな」
「そうか…では征服する準備をせねば…」
…俺はなぜこいつの中2言葉を訳せるようになったのだろう?…しかも、勝手についてくるようになってから1ヵ月。全く素を見せないのだ。俺の他に一緒にいるやつは見たことない。だから、すぐ素を見せると思っていた。
「…どうした、我が下僕。さっさと準備しろ。時間が限られているのだからな」
…大事だと思うからもう一度言おう。こいつはなぜ俺とつるむようになったのだろう?
「落ち着くのだ、我が左手に宿りし悪魔よ。我が本気を出せば貴様などどうとでもできるのだからな。消えたくなくば大人しくしていろ」
…なんとも言えない言葉を放って、あいつは席へと戻っていった。……あいつが勝手についてくるせいで俺まで中2病のやつにクラスメイトから見られている。………迷惑な話だ。
とある日。いつもと同じようにこいつが俺についてきて、俺に迷惑をかけている…そんな日だった。
「…もうついてくるな」
と、切り出した俺に、珍しくきょとんとした顔を見せたこいつ。「なにを言っている?下僕が我についてくるのだろう?我が、ではなく貴様が我についてくるのだ。」
…はあ?そんな訳ねーだろっ!と、切り返すつもりだった。…突然、口が自分の思う通りに動かなくなったのだ。
「は…はい。…御主人様…」
!!こ、この言葉は間違いなく俺の声で言われたもので。俺はこういうことを言うつもりではなく、口が勝手に動いた…そう言うしかない出来事がたった今、起きたのだ。
「うむ、それでよいのだ。しかし…貴様をコントロールするのになかなか手こずったな…む、もしや貴様…我より早く魔界征服をしようと企んだ魔界の者だな…」
…こいつは何を言っているんだ!?しかも、口だけじゃなく、体の自由も利かなくなってきたぞ!?
「…本来なら、我が浄化させてやるのだが…我の下僕として、よく動いてくれたのを湛え、我の仲間にしてやろう…さあ、選ぶがよい…我の仲間になるか、それとも…死にたいか?」
…寒気がおさまらない。なんなんだ!?口を利けないのだから俺の意思なんてわかるわけねーのに…なぜかそんなことを考えた………
…ん?ああ、夢か…
「くくく…我が下僕やっと目を覚ましたか。さあ、魔界征服に向けていざ、出発しようではないか」
……………ああ、俺の平凡な生活はどこか遠くに行ってしまったのだろうか…?
魔界へれっつごー…fin