兵器・艦隊戦の考え方
兵器
主砲:
・陽電子加速砲:
通常物質と対消滅を起こす陽電子を発射するため、最も大きな攻撃力を持つ。最小でも五百メートル加速空間が必要で、通常は重巡航艦以上の大型戦闘艦に搭載される。対消滅炉から直接陽電子を取り出し、加速器で加速させるため、主機関の作動が必要。出力は15TWから最大100TW。
射程は100TW級で40光秒、25TW級で30光秒、15TW級で25光秒。
・中性子砲:
中性子を光速付近まで加速するため、直進性が高く、出力の割に射程が長い。軽巡航艦の主砲として主に採用されている。起動用核融合炉を使用するため、主砲を使用しても主機関への影響がなく、連射性に優れる。出力は5TWから10TW。理論上は10TW以上も可能だが、起動用核融合炉の出力に依存するため、通常は5TWが標準となる。
射程は出力に依存せず、15光秒程度。
・(荷電)粒子加速砲:
電子や陽子などの荷電粒子を加速する。ごく稀にα粒子(ヘリウムの原子核)を加速する重粒子加速砲もある。加速空間の大きさが出力に比例することと、直線状の加速器でなくともよいため、コンパクトにできる。このため、小型艦や大型艦の副砲や艦尾迎撃砲に採用されることが多い。電子を加速する場合は、MECからのエネルギーを供給することで発射が可能。出力は通常10TWまで。理論上は10TW以上も可能だが、
射程は電子加速砲で、1TW級5光秒、2.5TW級8光秒、5TW級10光秒。陽子加速砲や重粒子加速砲は出力より加速空洞の形状に射程は依存する。
対宙レーザー砲:
硬X線をレーザー化し発射する。連射性に優れ、射角の変更が容易であることから、ミサイル迎撃用に用いられることが多い。標準的な出力は10MW。射程はスペクター級の大型ミサイルに対しては0.5光秒、ファントム級の中型ミサイルには0.7光秒、小型のレイス級に対しては1光秒程度。
ステルス機雷:
アルビオン軍では中型のファントムミサイルをベースに、光学監視系、重力波監視系などのパッシブセンサーとレーダーによるアクティブセンサーが強化された自動ミサイルを言う。ゾンファ軍でもユリンミサイルをベースにしている点が異なるだけで基本的には同じ機能を持つ。
最大加速度20kGであり300秒で0.2光速に達する。推進剤は400秒分あり、追尾機能とあわせて、破壊以外に回避する方法は存在しない。
ジャンプポイントに敷設されることが多く、アルビオン軍のマニュアルでは一つのJPに百万個以上敷設されることになっている。仮に百万個を敷設した場合、一兆立方キロメートル(一辺1万km)当たり、約3個となる。ちなみに3光秒進むには最大加速で約100秒の加速、1万km(0.033光秒)進むには最大加速で約10秒が必要。
あまりに遠い艦船を攻撃することは非効率であるため、群単位でAIが制御しており、近くの機雷が反応して攻撃を行うシステムとなっている。
機雷敷設艦もあるが、通常の輸送艦から射出しても自動的に最適な配置になる。
レールキャノン(カロネード):
アルビオン王国軍でのみ採用されている質量兵器。円筒状散弾容器と呼ばれる容器に“散弾”と呼ばれる金属球が詰め込まれ、電磁加速装置により撃ち出される。相対速度差が小さい場合は回避される可能性が高いため、すれ違いざまなどの相対速度がある場合に使用されることが多い。
撃ち出す散弾の量により区分され、巡航戦艦の三百トン級からスループの二トン級まで様々な大きさのカロネードが存在する。
艦隊戦の考え方
艦隊戦においては集中砲火によって、単艦の防御スクリーンではすぐに過負荷に陥ってしまう。このため、防御スクリーンを効率的に使う必要があり、戦艦などの防御力の高い艦を密集隊形にして、防御スクリーンによる”壁”を作る必要がある。
また、光速の数%以上の速度を出すと、星間物質との反応により防御スクリーンに余分な負荷がかかるため、必然的に艦隊戦前には星間物質との相対速度を下げる必要がある。これは敵味方双方に掛かる条件であり、例え劣勢であっても、速度を落として密集隊形にせざるを得ない。つまり、艦隊戦では射程距離に入る前に減速する必要があるため、最大戦速は光速の1%未満になる。
追撃戦と防御スクリーンの考え方
ある程度の速度を持った戦闘艦同士の戦闘において、追撃側は非追撃側に比べ、圧倒的に有利になる。これは追撃される側は星間物質からダメージを防ぐため、敵がいない前方にも防御スクリーンを展開しなければならないのに対し、追撃側は敵がいる前方にのみスクリーンを展開すればよいからだ。もちろん、追撃側も星間物質がスクリーンの負荷になりうるが、星間物質の濃度は均一ではなく、受けた攻撃と同時に星間物質が衝突しなければ、スクリーンは十全の能力を発揮できる。一方、追撃される側はいつ星間物質との衝突が起きるか判らないため、常に前方にスクリーンを展開しておかなければならず、戦艦等の大型艦であっても最大巡航速度である〇・二Cにおいては、スクリーンの能力のほぼ半分を前方に割かなければならない。つまり、スクリーンの能力が半減した状態で戦闘を行うことになる。
右舷・左舷・上方・下方
艦隊運動では惑星の公転軌道に対し、反時計回りを基準とする面を仮定し、上下を設定し、進行方向に対し、左右を設定する。
単艦での行動では自艦を基準とし、Aデッキ側を上方、右側が右舷、左側が左舷とする。