歴史・科学技術関係
歴史は第一部のプロローグとほぼ同じです。
科学技術
超光速航行は超空間航行を移動することにより可能。1パーセクを1日で移動できるが、1回のジャンプで可能な距離は最大10パーセク。
超光速通信は存在しない。星系間は連絡船による情報交換が最速。
重力制御技術は存在。
遺伝子工学は倫理上の問題から2000年代程度レベルまで衰退。ごく限定した範囲でしか使用されていない。ゾンファでは遺伝子工学の復活を目指しているという噂がある。
サイバネティクスは存在するが、人体改造に対しては忌避感が強い。
エネルギー関連は、対消滅炉(単にリアクターと呼ばれることが多い)と質量-熱量変換装置(略称MEC)により小型で高効率のエネルギープラント(両方をあわせてパワープラントの略PPで呼ばれることが多い)が存在。出力1GW程度から最大10TWまでのバリエーションを持つ。1GW級が1000m3、3000t程度。10TW級は100,000m3、300,000tのサイズ。
宇宙船は星系内航行船と星系間航行船に分けられる。
星系間航行船は超光速航行機関(通称ジャンプドライブ)を持つため、最小のものでも全長100m3万トンクラス、最大のものは全長1000m100万トンクラスにもなる。
星系内航行船については、リアクターなしのMEC+推進装置の組合せが最少で20mクラスの連絡艇から大型タンカーである10km以上の長さを持つ連結型など様々な形の船が存在する。
歴史
西暦2000年代に人口増加、環境破壊に悩まされた人類は、2100年代に入り、太陽系進出を果たした。
月、火星を始め、木星衛星群など、様々な天体から物資を供給し始めた。
2200年代初頭、物資を供給し続ける木星や土星などの外惑星の衛星群と地球-火星連合の間で内戦が勃発した。
武力に劣る外惑星側の敗北という結果で、僅か3年で内戦は終了した。
だが、この内戦は科学技術発展を促し、超光速航行原理と対消滅システムの開発がなされた。そして、内戦後の復興需要により、人類は太陽系外を見据えるようになっていった。
超光速航行はFTLドライブシステム(FTLD)と呼ばれ、単にジャンプ航行と呼ばれることもある。
FTLDは星系内にあるジャンプポイント(JP)を用いて隣接する星系に移動する超光速航行方法であり、最大移動距離10パーセク(32.6光年)を10日間で移動できる画期的な移動方法であった。
JPは各星系の外縁部にあるため、星系内を亜光速移動する必要があり、これにより、数日間の移動時間が掛かるが、太陽系に縛り付けられていた人類にとっては、何の障害にもならなかった。
2300年代初頭、アルファケンタウリ星系に進出を開始。
その後、シリウス星系などオリオン腕の各星系に次々と進出していった。
2500年、50の星系に進出した人類は統合政体として、銀河連邦(USG)を設立。2501年をもって西暦(AD)から宇宙暦(SE:Space Era)に切替わった。
その後も植民星系が一定の基準を満足するごとに参加星系が増加し、SE300年頃には加盟星系100を超え、総人口は1000億人を超えていた。
SE700年頃、USGの主体である太陽系連合に対立する形でアスタルト星系において、独立運動が勃発。次々と追従する星系が現れ、第一次銀河動乱と呼ばれる大動乱が勃発した。
100年もの歳月をかけ、アスタルト星系側の勝利を持って終結。
アスタルト星系の執政官アクラム・ハーディにより、後に第一帝国と呼ばれる銀河帝国(GE)が成立した。
年号もSE801年に改められ、帝国暦GC元年となる(以下は混乱を防ぐため、SEも併記する)。
動乱により総人口は300億人程度まで減少したが、第一帝国の初期は比較的寛大な政策が多く、科学技術の発達とオリオン腕の開拓に力が注がれた。
GC500年(SE1300年)頃まで復興と拡大の世紀が続き、GC508年(SE1308年)に超光速航行の革命的な発明、ハイパーゲートシステム(HGS)が実用化された。
従来の超光速航行ドライブシステム(FTLD)は理論上、最大移動距離10パーセク(32.6光年)が限界であったが、HGSは距離にしてFTLDの十数倍、移動時間では最大数百倍の速度で移動できるシステムであった。
HGSは移動元と移動先にゲートの設置が必要であったが、一度設置されれば、100パーセク(326光年)以上の長距離移動も可能であった。
更に超空間内の移動速度も10倍程度になることから、HGSネットワークが一気に形成されていった。
GC1100年(SE1900年)頃、人類はオリオン腕から4000光年離れたペルセウス腕に進出を果たした。
総人口も銀河連邦の最盛期を越える2000億人に達していた。
1200年にも亘る第一帝国の支配にも陰りが見え、GC1200年代(SE2000年代)に入ると、オリオン腕側で内乱が勃発した。
皇帝アミール7世が暗殺され、各星系が群雄割拠する戦国時代に突入した。200年にわたる戦国時代により、HGSは寸断され、HGS技術の維持が困難になっていった。
GC1400年(SE2200年)頃、ようやくタラニス星系の軍人リシャール・デュムランがオリオン腕を統一し、のちに第二帝国と呼ばれる新銀河帝国(NGE)が設立された。
第二帝国は帝政を敷くものの各星系が藩王国となっていたため、皇帝の権威は数十年で小さな物になっていった。
第二帝国は常に藩王国の反乱に悩まされ、オリオン腕での勢力を保つことに腐心する状態が数世紀続いていった。
一方、ペルセウス腕では、進出から二世紀程度と惑星の地球化(テラフォーミング化)が終わったばかりの状態で、オリオン腕から切り離されることになった。
更に悪いことにHGSネットワークが寸断されたことから、ペルセウス腕内でもシステムが維持できなくなり、藩王国とは直接関わりのなかったペルセウス腕内でも数百パーセク離れた星系同士の連絡が困難になっていった。
このため、多くの惑星がテラフォーミング化の途中で放棄され、また、移民が入った惑星も多くが滅んでいった。
SE2500年頃、何とか命脈を保っていた第二帝国が遂に崩壊した。そして、オリオン腕では再び戦乱の世となっていった。
長期に亘る戦乱の末、SE3000年頃、再び復権を果たした太陽系連合により、第二銀河連邦(USGⅡ)が設立された。しかし、長引く戦乱のため、総人口は最盛期の十分の一にも満たない200億人になっていた。
USGⅡはHGS技術の復活を始め、様々な科学分野の復活を目指した。だが、兵器以外の技術レベルは西暦(AD)を用いていた頃にまで低下しており、特に基礎理論に関する分野は壊滅的な打撃を受けていたため、寸断されたHGSネットワークが元に戻ることはなかった。
USGⅡ、特に太陽系連合は人類の種としての保存を目指すため、地球に残っていた各民族を移民団として、ペルセウス腕に送り出した。
HGSネットワークが不完全な状態であり、オリオン腕からペルセウス碗への移動は困難を極めたが、SE3300年頃、数十箇所の星系に移民たちは根付いていった。
SE3500年頃、HGSが機能しないUSGⅡは統合政体としての機能を失い、遂にはオリオン腕内で分裂し崩壊していった。
USGⅡ崩壊から1000年、未だ人類を統合する政体は現れていない。そして、僅かに残っていたオリオン腕とペルセウス腕の連絡は長きに渡り途絶えたままとなった。
SE4500年代のペルセウス腕外縁部がこの物語の舞台である。