発明品
その者は迷っていた、道に迷っていた。
その者は新聞記者であった、特集「奇人変人大集合」担当の記者であった。
その者は待ち合わせをしていた、時間はとうに過ぎていた。
「おかしいな、確かにここの筈なんだが・・・」
その場所は広い公園だった、誰もいなかった。
「あまり遅いから帰っちゃったのかな?」
誰もいないといってもあえて言えば黒い怪しげなワゴン車が1台止まっていた、そのワゴン車には変なパラボラアンテナが付いていた。
「そこの君!危ないから退きなさい!!」
その者(記者)は驚いた、その忠告は後部ドアの開いたワゴン車から聞こえてきた。
「あなたは…」
忠告の声とワゴン車の持ち主はかげんそうに言った。
「私は坂間だ、一方的に呼び出しておいて来ないという無礼を犯した新聞記者のために退屈をし、今まさに暇つぶしの実験をしようとしていたところだ。
記者の肩身は狭かった、当人の目の前で遅刻の文句を言われたという何とも不思議な・・・・。記者は気まぐれから身分を明かさなかった、それが今後役に立つことになる
「あなたは此処で何をしているのですか?」
「私か?私は趣味の研究をしているだけだ。」
記者はワゴン車の中をそっと覗いてみたがとても趣味の研究とは思えなかった。そこには十数台余りの電子レンジが所狭しと並べられていた。
「失礼ですがワゴン車の中を見させていただいても・・・」
「君は私の研究を盗むつもりかね?」
記者は焦った。
「いえ、そんな」
坂間は記者をじろじろ見ながら言った。
「良いだろう、入るがいい」
記者は驚いた、十数台の電子レンジだけでも驚いたがそれらの電子レンジはどれも本来の使い方はされていないようだった。 全ての電子レンジからは数えられない配線が外に張り巡らされていた、すべての配線は追っていく限り中央の真空管のような機械につながっているようだった。
「どうだ素晴らしいだろ、これが最新の通信システムだ!」
「どうやって使うんですか_?」
「此処には見ての通り14台の電子レンジがある、これ等の電子レンジから発せられるマイクロ波を中央の真空管のような機械で調節し上部のアンテナから発する、さらに受信はアンテナに引っかかったマイクロ波をこの電子レンジ(穴が開き見るも無残な電子レンジ電子レンジを指差した)に転送し熱量をテープに記録して行う」
記者は感動した。
その後2人は驚愕の事実を知ることになる!