The later story37
「はぁ…!はぁ…!!」
(腕が痺れる…)
(頭が真っ白になってくる…)
(この感覚は…、本部の時の…)
シュゥウウウ…
(…まだ柳舞さんは生き返らないのか)
(いつになったら…、生き返るんだろう…)
(長い…)
「キシャァアアアアア!!」
「!!」
(闇が…!!)
「させるか!!」
ダァアアアアアアアン!!
「鬼怒さん…!!」
「お前は作業に集中しろ」
「闇は俺達が封じる」
「…はい」
ジュゥウウウウ
「!?」
「秋雨!!」
「手がっ…!!」
「イトウさん…、ありゃ、何だ?」
「秋雨の手から紅い蒸気が…」
「…血だ」
「血ぃ!?」
「血の蒸気…」
「エネルギ-増量剤の副作用か…」
「何で血が…!?」
「体内の血が入るスペ-スが無くなるほどのエネルギ-が作られているんだ…」
「…待てよ?何故だ?」
(それ程のエネルギ-が作られているという事は、エネルギ-が消費されていないという事)
(常にエネルギ-を送り続けなければならないはず…)
(柳舞君の肉体は9割方できてる)
(足りないのは…)
「イトウさん?」
「…そうか」
「そういう事か!!」
「どうした?」
「メタル!鬼怒!GLを起こせ!!」
「柳舞君の魂はGLの中に有る!!」
「何!?」
「どういう事だ!?」
「…?」
「柳舞君の肉体を生成するのにはエネルギ-が必要になるが、それ以上に必要なのは魂の復活!!」
「しかし、今の秋雨君はエネルギ-が過蓄状態にある!!」
「つまり!エネルギ-を消費できていない!!」
「それじゃ…、魂は?」
「地獄の中に有るのは間違い無いが…」
「地獄から現世までを封じている壁の役割をしている物が2つ有る!!」
「それがGLの体か…」
「GLの体を構築している際に、柳舞君の魂が流れ込んでしまったんだ!!」
「そして…、もう1つの扉は」
「闇だ!!」
「…何!?」
「もし、柳舞君を復活させたとしても無能力者の柳舞君は闇に食われてしまう!!」
「それ以前に、魂だけの状態である柳舞君は食われる!!」
「つまり…!!」
「…全部の闇をブッ殺さなきゃなんねぇのか」
「そういう事だ…」
「だけどな、イトウさん」
「アンタも解ってると思うが…」
「…ああ、俺達だけじゃ不可能だな」
「全ての闇を殺すなど…」
「結界を解け」
「…何を言う?」
「自分が何を言っているのか理解できているのか?白刃之」
「外の人間…、風華達や金田達に協力して貰うしか有るまい」
「何の為に保健室を世界から隔離していると思っている!?」
「被害を最小限に…!!」
「最小限に納められる状況か?コレが」
「秋雨の体は限界だ」
「アンタの体もな」
「イトウさんが!?」
「…気付いてないと思うなよ」
「その白衣の下、すでに血で真っ赤に染まってるだろ」
「…気付いていたか」
「結界も張っているのは1つじゃない」
「俺達、GL、秋雨」
「そして保健室」
「計6つの結界を張っているな」
「…そうか」
「最初の攻撃以外、闇が俺達を簡単に襲わなかったのも納得できる…」
「だが、そこまでのエネルギ-消費が…」
「だから飲んだんだよ」
「エネルギ-増量剤を」
「!?」
「そんな事をすれば…!!」
「死ぬ、な」
「秋雨と違ってエネルギ-増量剤の作用が変換できるワケでもない」
「…どうして、そこまで」
「…己の信念のため、と言っておこうか」
「先刻は聞きそびれたな」
「貴様の信念は…」
「救える者を救う」
「己の可能な限り」
「己の身が朽ち果てようと、骨肉が爆ぜようと」
「己が生きている限り!救う!!」
「…どうして、そこまで人を救おうとする?」
「医者だからだ!!」
「…アンタは教員の中で最も頭が回ると思っていたんだがな」
「全員、馬鹿さ」
「己の信念の貫き通し方しか知らない、大馬鹿者共だ」
「…だが、最も強いのは」
「信念を貫き通した者」
「そうだろう?」
「…ああ」
「さて、行こうか」
「イトウさん、お仕置きはオキナにでも回してくれ」
「何?」
ゴッッ!!
「がぁっっ…!!」
バタァン!!
「…無理矢理、気絶させなくても良かったんじゃないか?」
「この人が簡単に結界を解くと思うか?」
「時間の短縮だよ」
「…フン」
「だが、解ってるよな?」
「イトウさんが結界を解いたって事は、俺達にも闇が襲いかかってくる」
「何を今更」
「百も承知だ」
「…馬鹿ばかりで大助かりだよ」
「さて、やるか」
「キシャアアァアアアアアア!!」
「こっからは手加減無しの全力だ」
「保健室が吹っ飛ぼうが、学園が吹っ飛ぼうが関係ねぇ」
「外に出たら、仲間に任せる」
「背中は仲間が守ってくれる」
「俺達は前だけ見て、闇をぶっ飛ばせば良い」
「やるぞ」
「ラスボス戦と洒落込もうじゃねぇか!!」
読んでいただきありがとうございました




