The later story31
「…兄弟揃って馬鹿だな」
「柳舞を殺したも同然の俺に生き返らせる方法を聞け、と?」
「はい」
「イトウさんなら知ってるでしょう?」
「…知らない事は無い」
「だが、危険だ」
「止めた方が…」
「柳舞さんは、そう言って止めましたか?」
「この馬鹿共が…」
「…良いか、今から言う事を、よく聞け」
「はい」
「柳舞を生き返らせるのに必要なのは体の細胞」
「まぁ、コレは用意しよう」
「君達が用意するのは…、情報だ」
「「情報」?」
「その人物の情報」
「生きていた時代のね」
「…誰から集めれば?」
「彼に親しい人物だ」
「風華会長…」
「鬼怒さん、白刃之さん、椿さん、鏡燕さんね」
「他にも居るが…」
「君達には彼の情報を集めてきて欲しい」
「解りました」
「では、行って…」
「待ちなさい」
「?」
「…君達に確認を取っておきたい」
「体が出来たとは言え、その体は作り物」
「エネルギ-は無くなるし、そもそも成功するかも解らない」
「しかも実験の途中に闇が発生する可能性も有る」
「ヘタをすれば、君達は闇に飲み込まれて死ぬ」
「…ここまでのリスクを犯してまでも、彼を生き返らせたいかね?」
「「当たり前です!!」」
「…そうか」
「行ってきなさい」
「はい!!」
バタン!
「…行ったわね」
「舞桜ちゃん、君には柳舞君の血族として細胞を作って欲しい」
「構わないかな?」
「ええ、良いわ」
「記憶も必要でしょう?」
「ああ、頼むよ」
1年寮
「竜山!!」
「ど、どうした!?」
「頼みが有るんだ!!」
「落ち着け、って!秋雨!!」
「GLは!?どうなっ…」
「説明するから!落ち着いて!!」
「お前が落ち着け!!」
「…そうか、柳舞さんが」
「今、GLは異世界に行ってるんだ」
「城牙さんやヴァトラさんに会いに」
「…解った」
「で、俺に頼み、ってのは」
「…海外支部に行って欲しいんだ」
「僕は大学部に行く」
「…任せろ」
「…うん」
「それじゃ、よろしく」
「…秋雨!」
「何?」
「GLとは仲直りしたのか?」
「今は、それどころじゃないよ!!」
「…そうか」
ダダダダダダ…
「後でメタルさん達にお礼を言っとかなきゃなぁ…」
空港
「お待ちしてました」
「クラウン!」
「事情はスカルさんから聞いてます」
「お乗りください」
「ありがとう」
飛行機内
「…柳舞さんは一能力のためにどうして、そこまでしたんでしょうか?」
「…僕にも解らないよ」
「でも、あの人はGLが大切だった」
「皆が大好きだった」
「幸せになった欲しかった」
「ただ、それだけなんじゃないかな…」
「…似ていますね」
「何が?」
「僕の父さんに」
「え?」
「僕の父さんは大道芸人…、ピエロでした」
「人を笑わせるのが大好きで、毎日毎日…、練習をしていましたよ」
「でも、そんなに芸が上手いわけでもなく…、2流でした」
「それでも、父さんは頑張った」
「頑張って頑張って頑張って…」
「そして、死にました」
「…!」
「過労死でしたよ」
「元々、稼ぎは少なかったし、息子は亜種です」
「母さんは早くに亡くなっていまして、僕を引き取ってくれる人は居ませんでした」
「しかし、僕は父さんの知り合いに引き取られました」
「その知り合いが能力開発研究所の一員」
「僕は能力開発を受けて…、この特殊の能力を身につけました」
「地獄の日々です」
「読んでも読んでも終わらない特殊資料」
「苦痛漬けの実験」
「正直…、死にたかった」
「…辛い人生だったんだね」
「はい」
「しかし、研究所を抜け出してからロックさんに出会った」
「スカルさんに出会って、ミナモに出会った」
「ロ-ブやトルア、ガットさんやニックさん」
「レイドさんとボルトさんにも」
「今は楽しいですよ」
「…良かった」
「アナタは?」
「秋雨さんは楽しいですか?」
「…楽しくはないよ」
「でも、楽しくなる様に頑張ってる」
「…そうですか」
「頑張ってください」
「楽しくなる様に」
「うん!」
「間もなく--」
「そろそろ到着ですね」
「降りる準備を」
「解った」
「…クラウン」
「何ですか?」
「悲しくなったとき…、クラウンはどうする?」
「…僕はですね」
「好きな人を思い浮かべます」
「「好きな人」?」
「…はい」
「迷ったときは、自分が信じられる物を信じます」
「僕が信じられるのは仲間」
「そして、ミナモです」
「…そっか」
「ありがとう」
「秋雨さんも頑張ってください」
「楽しい未来を…、ハッピ-エンドを目指して」
「うん」
「自分の信念を貫き通すよ」
「柳舞さんの信念を、ね」
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