学力検査3
3日目
「…昨日はトルアさんに悪い事したな」
「アメリカ支部に緊急搬送だろ?」
「何でも、鬼神のごとき骸瀧先輩に殴り飛ばされたんだとか」
「僕の嘘が本当だったなんて…」
「トルアさんの代わりは誰がするんだろ?」
「さぁ?」
ガラララ
「お待たせしました」
「亞幹璃!?」
「え-、トルアさんが諸事情によってアメリカ支部に帰られたので、私が代役を務めさせていただきます」
「科目は予定通りの英語です」
「亞幹璃、英語は出来るのか?」
「はい、得意ですよ」
「I am an English teacher(私は英語の先生です)とかね」
「おお-!凄いな」
「「私は会長のコスプレ趣味が私の私服には反映され出すのを恐れています」は?」
「I am afraid that the costume play hobby of the chairperson begins to be reflected to my plain clothes…、ですね」
「おお!凄いな!!」
「どうも」
「では、授業を始めます」
キ-ン、コ-ン、カ-ン、コ-ン
「…終わった」
「どうした?竜山」
「何事もない授業って…!素晴らしいなぁ…!!」
「そ、そうだな…」
「今回は撃たれない!爆発もない!何もない!!」
「ああ!最高ッ!!」
「良かったな…」
(何もないのが普通なんだけど…)
「では、キチンと予習してくださいね?秋雨さん、竜山さん」
「ああ、勿論だよ」
「なぁ、亞幹璃」
「何ですか?竜山さん」
「お前、英語なら会長にガツン!と言えるんじゃないか?」
「!!」
「幾ら会長の頭が良くても、あんな英語は解らねぇだろ?」
「た、確かに…!!」
「やめた方が良いと思うけど…」
「大丈夫です!!」
「毎回、お仕置き室でコスプレばかりさせられてるんですから、これぐらいの事で罰は当たりません!!」
「何の話かしら?」
「か、会長!!」
(噂をすれば何とやら、だな…)
「会長…!言いたい事があります!!」
「何かしら?」
「あ…、A chairperson is a woman without the elegance!!」
(言った!!)
「…何が言いたいのかしら?」
「The hobby is strange, too!!」
「Cannot you do anything!?」
「…」
「Please stop it!!」
「This wonder woman!!」
(結構、言うな…)
「はぁ…、はぁ…」
「で?結局、何が言いたかったの?亞幹璃君」
「な、何でもありません!!」
「…そう」
「亞幹璃君、ちょっと…」
「え?」
連れて行かれる亞幹璃
「…流石だな、風華会長は」
「鬼怒さん!」
「授業だったんですか?」
「ああ」
「何が「流石」なんですか?」
「春白に唯一、勝っている科目が、だよ」
「毎回、100点だ」
「…まさか、とは思いますが」
「英語ですか?」
「ああ、そうだ」
「よく分かったな」
「…ッ!!」
「竜山君」
「はっ、はい!?」
(いつの間に…!?)
「少し…、来て頂戴」
「え!?いや-、後で…」
「今よ」
「…すいませんでした」
「亞幹璃君を唆したそうね?」
「いや、アレは---」
「言い訳を聞いてるわけじゃないわ」
「さぁ、来なさい」
「…はい」
連れて行かれる竜山
「竜山ッ…!!」
「…お仕置き部屋へ直行だろうな」
「お仕置き部屋って、どんな物が?」
「俺も見た事はない」
「ただ…、歴代の女会長に受け継がれてるそうだぞ」
「…行きたくないですね」
「当たり前だろう…」
「あの部屋に行ってロクな目にあった人間は居ない」
「ですよね…」
大きくため息をつく秋雨と鬼怒
「で?勉強は捗っているのか?秋雨」
「はい、どうにか」
「鬼怒さんは?」
「お前と同じだ」
「そうなんですか…」
「秋雨君~!」
「水無月さん!どうかしましたか?」
「勉強のしすぎで頭が…」
「大丈夫ですか?」
「体調には気をつけた方が…」
「うん…」
「…俺は邪魔のようだし、行くか」
「鬼怒さん、誤解を招くような言い方をしないでください」
「浮気か?」
「GLが怒るぞ」
小さく笑う鬼怒
「だから…」
ゾクッ
秋雨の背筋に寒気が走る
「…浮気?」
「私の水無月ちゃんに手を出したのか…?」
「…ち、違いますよ」
「骸瀧さん…」
「なら、良いんだよ!!」
「アハハハ…」
(トルアさん…、トラウマ物だったんだろうな…)
「鬼怒、白刃之会長が呼んでいたぞ」
「ん?ああ、そうか」
「私も椿姫会長に呼ばれているから、もう行くよ」
「じゃぁね、水無月ちゃん」
「うん!バイバ-イ!!」
歩き去っていく鬼怒と骸瀧
「僕も行こうかな…」
「もう行くの?秋雨君」
「はい、今日の料理は僕が作りますから」
「…寮の?」
「はい、そうですよ」
「…相談があるんだけど」
「何ですか?」
「勉強会…、しない?」
「え?」
「私の寮で…、今日の夜」
「か、構いませんけど…?」
「やった!じゃぁ、今日の夜7時に来てね!!」
「は、はい…」
ダダダダダ!
走り去っていく水無月
「…完全なる「誘い」だな?秋雨」
「竜…山…?」
「コスプレって…、どんな物か知らなかったんだ」
「でも、今日で知ったよ」
鎧を纏い、背中に日本刀を背負っている竜山
その姿は異世界の騎士のような姿である
「…脱ぎたい」
「脱げば?」
「会長に監視されててな」
「脱いだら重りを10㎏ずつ、追加するそうだ」
「…自業自得だな」
「まぁ、トレ-ニングだと思うさ」
「で?先刻の水無月先輩の誘いだよ!!」
「アレがどうかしたのか?」
「お前…、鈍いにも程が有るだろ」
「夜、勉強会、お泊まり…」
「この3つから導き出される答えは?」
「…成績UP?」
「違ぁあああああう!!」
「R-18だ!!」
「それは無い」
「い-や!間違いないね!!」
「秋雨と水無月先輩が…」
メキィ…
「…どうする、と?」
「…え-と」
竜山の鎧が凹んでいる
「その…、ね?」
鎧を素手の握力で凹ませている骸瀧
「椿姫さんの話が終わって、水無月ちゃんを探しに来てみれば…」
「「R-18」?」
「竜山君は死にたいんだね」
「いや、ジョ-クですよ!ジョ-ク!!」
「アハハハハ…」
メキメキメキ…
「秋雨君、彼を少し借りるよ」
「え?あ、ちょっと…」
ズルズル…
「あ、秋雨ェェェエェエエエエェェェエェ!!」
「…僕には無理だ」
「竜山を…!救えない…!!」
「じゃ、そう言うことで」
「諦めるな!おい!!」
「頼む!頼むから!!」
「まだ死にたく…」
バタン
静かに閉まる扉
「…ゴメン、竜山」
その日、気絶した傷だらけの生徒が保護されたそうです
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