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The later story28

「方法は簡単だ」

「GLの体に柳舞のエネルギ-を流して、体の細胞を作る」

「秋雨の能力が有れば、細胞は出来るはずだ」


「しかし、その細胞の量数は…」


「異常数だろうな」

「体の細胞組織を一から作るんだ」

「さらに、GLの能力としての体も変換しなければならない」


「そこで、秋雨君の強制変換ですか」


「いや、秋雨のエネルギ-を「直接」流せば、GLは拒絶反応を起こし…」

「消滅する」

「しかし、柳舞君は元能力者…、言わば血族」

「輸血と同じだ」

「柳舞とGLのエネルギ-質は、ほぼ同じ」

「いや、全く同じだ」


「しかし、エネルギ-量が足りない…」

「そこで、秋雨君の強制変換を柳舞君が無理矢理取り込む…」

「そういう事ですね?」


「ああ」


「そんな事をすれば…、エネルギ-同士が反発し…」

「柳舞君は体の内側から破壊される」


「まぁ、そういう事ですね」

「秋雨君とGLの間に俺がパイプ役として入ります」


「秋雨も大量のエネルギ-を消費するが、危険性はない」

「だが…、パイプ役の柳舞は…」


「完全に致死量のエネルギ-消失ですからね」

「死ぬでしょう」


「皮肉な事に、それが最も安全で確実だ」

「本人が決めたのなら、文句は言うまいよ」


「異世界でも能力を人間にするなど、前例がありません」

「月神でも、「入れ物」と必要としていました」

「月神の様に体を代行する事は不可能なんですか?」


「無理だ」

「生きてる人間に入れれば、拒絶反応」

「死んだ人間は身体機能が停止しているから、入れるだけ無駄」

「その人間の機能が全て受け継がれるからな」


「八方塞がりですか…」


「いえ、開いていますよ」

「先刻の方法がね」


「…駄目です」

「許可できません!!」


「スカル、一応は貴様の耳に入れておこうと思ったんだが…」

「やはり駄目か」


「当たり前です!!」

「校長として、清掃員を見殺しにするなど…!!」


「「校長として」か」

「コイツは「元能力者として」秋雨とGLの問題を解決してやろうとしてる」


「他の方法が…!!」


「無いんだよ」

「GLは自分が能力で在る事を完全に否定してる」

「言葉でどうこう出来るモンじゃない」


「…駄目です」

「誰が何と言おうと…」


「…スカル」

「お前が尊敬した男達は大切な物の為に命を賭けた」

「「強さの為」と「愛した女性の為」」

「その根底に在る「想い」の強さに優劣を付ける事は出来ない」

「だが、今…、柳舞が抱いている「想いの強さ」は「それ」に値する物のはずだ」

「俺は「義務を守る校長としての貴様」に聞いてるんじゃない」

「「1人の男としての貴様」に聞いてるんだ」


「義務ではなく、自分の考えを言え…、と」


「そうだ」


「…それでも反対です」

「確かに「想い」は解りました」

「ですが…」


「…スカル校長」

「誰かの「想い」の為に俺の「想い」を貫き通すんです」

「「想い」は「信念」でもある」

「どうか…、俺の信念を貫き通させてください」

「お願いします」


「…」


「スカル、貴様なら解ってるはずだ」

「「想い」を、「信念」を貫き通そうとする者の馬鹿さと強さを」

「説得するだけ無駄だ」


「…解りました」


「ありがとうございます」


「今回の一件については特例」

「イトウさんには完全黙秘をしていただきますよ」


「当たり前だ」

「それと…、もう1人」

「確認を取っておくべき人物が居るだろう?」


「…はい」

「私達は席を外します」


「どうも」


「行きましょう、イトウさん」


「ああ」


ガタッ


バタン




プルルルルル


ガチャッ


「もしもし?」


「舞桜か」

「少し、話が有る」


「何?改まって」






「…本気?」


「ああ」


「…また消えるの?」

「私達の前から」


「…すまない」


「この馬鹿兄貴…」

「どうしてトイレの清掃員になって貰ったと思ってるの?」

「兄さんを戦闘から遠ざけたかったから」

「居なくなって欲しかったからよ?」


「…本当に、すまない」


「謝ってばかりね」

「私は反対」


「…ああ」


「だけど、「どうしても」って言うんでしょう?」

「止めはしない」

「実の兄貴の覚悟を否定できるほど、出来た妹じゃないわ」


「…ありがとう」

「不出来な妹を持って幸せだよ」


「ありがと」

「…兄さん」


「何だ?」


「馬鹿兄」


「…ああ」


「次は天国で会うかもね」


「お前が来るまでには生まれ変わってるかもな」


「ジョ-クが下手ね」

「…秋雨君とGLちゃんの問題、解決出来なきゃ殺すから」


「それまでに死んでなかったからな」


「…鬼怒君と白刃之君、鏡燕君と椿さんには?」


「…事が終わってから頼む」

「死ぬ前に、アイツ等に殺されちまうからな」


「それもそうね」

「それじゃ」


「ああ、じゃぁな」

「…舞桜」


「何?」


「俺も…、お前が大事だ」

「任務のしすぎで体をこわすなよ」

「じゃぁな」


ガチャッ



「…ゴメンな、舞桜」




大学部


庭園



「舞桜、この資料なんだが…」

「…舞桜?」


「馬鹿兄…」


「…どうした?」


「何でも無いわよ」

「で、どうしたのかしら?白刃之隊長」


「…いや、後で良い」


「今で良いわよ」

「大した用事は無いし」


「…なら、俺から用事を与えてやる」

「涙を拭け」

「話はそれからだ」


「…そういう時は黙るべきでしょ」

「本当…、私の周りには馬鹿が多いわね…」

「本当に…ッ」


「…俺は「拭け」と言ったはずだ」

「誰が流せと言ったんだ」


「うるさいわよ…」

「馬鹿…」

読んでいただきありがとうございました

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