The later story7
南の国
城
「失礼しま-す…」
「避けろ!秋雨!!」
「え?」
カァ---ン…
秋雨の横顔に薄く刃傷が付く
「…ッ!!」
「大丈夫か?」
「城牙さん…」
「コレは…?」
「ツバメと少しケンカをな」
「夫婦喧嘩?」
「…まぁな」
「もう結婚は認めたんですか?」
「離婚届を書くつもりはないだろう、ツバメは」
「この世界でも離婚届は必要なんですね…」
「システムや文明の未発達を除けば、向こうの世界と大して変わらん」
「そうなんですか…」
「…ゼロの皆は元気か?」
「はい、元気ですよ」
「扉研究施設で頑張ってます」
「そうか…」
「城牙ぁ-!!」
「む!!」
ガガガッガガガ!!
秋雨と城牙の背後に大量のナイフが刺さる
「コレってケンカの域ですか!?」
「毎日、こんな物だ!!」
「有り得ないでしょう!!」
「現に有り得てる!!」
ガガガガガガガ!!
大量のナイフから走り逃げる秋雨と城牙
「私のプリン-!!」
「え?」
「…俺の分だと思ってな」
「下らない!果てしなく下らないですよ!!」
「…巻き込んでしまうかも知れん」
「もう巻き込まれてます!!」
ガガガッガガガ!!
「モミジお姉ちゃ-ん!!」
ガガッ
「帰って来たか!!」
「城牙さんの妹さん!?」
「そうだ!」
「ツバメを止める唯一の手段を頼んだんだよ!!」
「何ですか!?」
「プリンだ!!」
「…」
「…プリンだ」
「…はぁ」
「美味し~!」
「俺が悪かった」
「今度のプリンは私が貰うからね!!」
「ぐっ…、解った」
「で、秋雨は何をしに来たの?」
「モミジに会おうと思って」
「モミジ姉さん?」
「部屋に居るよ」
「うん、解った」
「ありがとう」
「気を付けろよ」
「え?」
「まさか…」
「その「まさか」だ」
「…」
3階
ピピピピピピ!!
「またトラップ-!?」
ガガガガッガガッガガッガ!!
「うわわわわわ!?」
ダァアアン!!
モミジの部屋に転がり込む秋雨
モミジの部屋
「はぁ…、はぁ…」
「死ぬかと思った…」
「う…ん…」
ベットで眠っているモミジ
「寝てるのかな…」
「モミジ-?」
秋雨がゆっくりモミジへと近づいていく
「寝てる…、な」
「起こすのも悪いし…」
「…秋雨?」
「!」
体をベットに寝かせたまま、秋雨を見つめるモミジ
「どうして…」
「こ、こっちの世界に寄る用が有ったから」
「そう…」
「学園での生活は?」
「楽しいよ」
「…そうなんだ」
「うん」
「よいしょっ…」
モミジがベットから起き上がる
「---!!」
それと同時に視線を逸らす秋雨
「どうしたんだ?」
「…それはマズイって」
「え?」
徐々に自分の体に視線を落とすモミジ
「…」
段々と顔が紅く染まっていく
「み…」
「見るなぁあああああああ!!」
「み、見てないよ!!」
真っ赤なモミジと白い下着
「ど、どうして下着なの!?」
「暑いから…」
「下着で寝てたのを忘れてた…」
「「忘れてた」って…」
「…ゴメン」
「…」
その一言を最後に2人の間に沈黙が訪れる
「…」
「…」
「…」
「…秋雨は」
「え?」
最初に口を開いたのはモミジ
「…上手くいってるのか?」
「?」
「GLと」
「う、「上手く」って!?」
「…こういう言い方も何だが」
ガバッ!!
秋雨の首に手を回し、ベットに押し倒される形でモミジが秋雨を押し倒す
「も、もも!モミジぃ!?」
完全にパニック状態の秋雨
「私は…、今でも秋雨が好きだ」
「GLと上手くいかないのなら…」
「私に…、私に乗り換えても良いんだぞ?」
「モミジ…」
「私は…」
「…駄目だよ」
秋雨が優しくモミジを突き放す
「僕はGLが大好きだ」
「告白もした」
「大好きだよ」
「…そう」
「も!勿論、モミジも大好きだよ!?」
「アハハハハ…」
「解ってるよ」
「え?」
「もし秋雨が、この場面で私を襲うようなら殺してた」
モミジの懐からナイフがこぼれ落ちる
「う…」
「一度、心に決めた女性を捨てる奴なんて大嫌いだからね」
「…うん」
「…そろそろ離れてくれるかな」
「重い」
「も、モミジが押し倒したんじゃないか!!」
「そうだったかな」
「フフフフ…」
「モミジ?」
「秋雨は変わらないね」
「え?」
バタァアアアアン!!
「人の妹に何やってんだぁあああああああ!!」
「シャ-クさぁああん!?」
「秋雨ェエエエエ!!」
「も、モミジ!シャ-クさんを止めて!!」
「嫌だ~」
「モミジ~~~~!!」
「フフフ…」
部屋の中を逃げ回る秋雨と全力で追いかけるシャ-ク
そして、それを見て微笑むモミジ
「楽しいね…」
「だから…、私は今でも…」
「お前が大好きだよ…、秋雨…」
読んでいただきありがとうございました




