The later story6
「う-ん…」
「見つかったか?」
「居ないみたいです…」
「誰を捜してるの?」
「ユウリ様!!」
「秋雨君、元気?」
「はい!元気です」
「ユウリさんは倒れたって…」
「何だか解らないけど、急にスッキリしてね」
「何でだろう?」
(元凶が去ったからです…)
「で、誰を捜してるの?」
「…彼だったら、鬼面族の村に挨拶に行くって」
「つい先刻、出て行ったよ」
「入れ違いになったんですね…」
「じゃ、行ってきます」
「陸までは俺が送ろう」
「ありがとうございます、ヴァトラさん」
「あ-、秋雨」
「はい?」
「俺からも頼みがあってな」
「後で南の国に来てくれ」
「え?」
「モミジに会ってやって欲しい」
「寂しがってるからな」
「…はい」
「じゃ、俺は一足先に南の国に戻ってる」
「次は漂流するなよ」
「当たり前だ」
サ-フボ-ドを担ぎ出すシャ-ク
「じゃぁな」
「飛水!」
ザァ---ン…
「…俺達も行こうか」
「はい」
鬼面族の村
「お久しぶりです、秋雨殿」
「リュド-さん!」
「お変わりないようで」
「はい!」
「でも、敬語は…」
「…慣れませんか」
「はい、ちょっと」
「解った」
「か、変わりが早いですね」
「順応力が高いと言って欲しいね」
「で、何の用だ?」
「…確かに居たんだが」
「カンパニ-に行く、と」
「また入れ違いですか…」
「まぁ、少しゆっくりしていくと良い」
「疲れただろう?」
「そうさせて貰います…」
「…1つ聞きたいのだが」
「アメ-ル様は?」
「五神三聖の本部で会いましたよ」
「僕より先に行ったはずですけど…」
「あ!学園に戻れって言われて…」
「そうか…」
「また、いつ会えるか…」
「リュド-!!」
「そう、こんな風に…」
「また、いつ優しく呼んでくださるか…」
「あ、アメ-ルさん」
「何だと!?」
「久しぶりだね!リュド-!!」
「な、何故!?」
「学園に戻られたのでは!?」
「挨拶しておきたくて…」
「父さん、居る?」
「ハッ!いらっしゃいます!!」
「久しぶりだな、リュド-」
「貴様を呼んで覚えはない」
「あぁ!?」
「落ち着いて、アオシさん…」
「って、ファグナちゃん!!」
「元気!?」
「はい、御陰様で」
「あの時はお強かったですね…」
「俺だからね」
「…?」
「…まぁ、困惑するだろうな」
「少しばかり、状況を説明してやろうか」
「お願いします…」
「昔の話だ」
「我らの跡継ぎが絶えてしまってな…」
「え?」
「この村には女性が少ないのだ」
「故に子供も多くはない」
「そうなんですか…」
「外の人間との血を混ぜるわけにはいかない」
「我等は我等で跡継ぎを作るのが掟だった」
「…そこで、外に旅立った女性を連れ戻す事にしたのだ」
「それが…、アメ-ルさんですね」
「そうだ」
「初めは簡単に連れ戻せたんだが…」
「あの2人が追いかけてきてね」
「オキナとアオシだ」
「勿論、返り討ちにしてやったさ」
「あの2人を…!?」
「族長と俺達でね」
「あの2人もアメ-ル様を心配して手加減してたみたいだが…」
「本気でも結果は変わらなかっただろう」
「その後が問題だった」
「え?」
「奴等が助っ人を連れて来てね」
「凄まじい強さだったが…、妙だった」
「当たり前だ」
「アオシさん…」
「あの時、俺達は依頼した」
「奴等は「手助けするが、条件がある」と言ってきた」
「「条件」だと?」
「何だったんだ?」
「「俺達はテメェ等を邪魔する雑兵を相手してやる」」
「「だが、アメ-ルはテメェ等が助けろ」ってな」
「それで、か…」
「奴等が族長と戦わなかったのは」
「そうだ」
「コレで納得が着いた…」
「…そうでなければ、貴様等が族長に勝ったと言うのが信じられなかったからな」
「オキナとアメ-ルだろ」
「俺はファグナちゃんの相手で精一杯だったぞ」
「女だから手加減してただろ」
「俺と戦ったメタルは?元気にしてるのか」
「当たり前だろ」
「そう簡単に死ぬような奴でもないしな」
「ハッハッハッハ!確かにな」
「何か…、凄いですね…」
「…我等は「和解」という形で終劇した」
「アメ-ル様が旅を続けるのには私は今でも反対だ」
「良いじゃねぇか」
「今は学園に居るんだし」
「…ヤグモとの戦闘から遠ざけたそうだな?」
「何処から情報を得てるんだよ…」
「それについては感謝している」
「…フン」
「だが、我が村の女性2人に手を出すのは…、どうか?」
「2人?」
「アメ-ルと…」
「りゅ、リュド-兄さん!!」
「どうしたんだ?ファグナちゃん」
「何でもありません!!」
「?」
「…意地悪すぎませんか?」
「ファグナは女にして族長も認める実力」
「だが、それ故に女らしさを失ったのだ」
「少しは恋たる物を知った方が良い」
「そうでしょうか…?」
「…と、ウェリアの助言だ」
「ウェリアさんが?」
「そうだが?」
「何だか…、意外ですね」
「奴も堅物そうで意外と不真面目な面もある」
「掴み所の無い奴なんだよ」
「へぇ…」
「何を話している?」
「ぞ、族長!!」
「アメ-ルとの話は終わった」
「アメ-ル様は?」
「村人と話をしておる」
「…解りました」
「アオシ」
「何だ?」
「そのバ…、オキナを起こしてはくれないか?」
「別に良いぜ」
「オキナ!起きろ」
「ぐぅ…」
「オキナ!!」
「ぐぅう~」
「飯だぞ!!」
「何処だ!?」
「…」
「…」
「…嘘かよ」
「ぐぅ…」
「寝るなよ!!」
「何だよぉ~」
「起きろ」
「…何で、お前が?」
「あれ?鬼面族の村…?」
「貴様と話がしたい」
「来い」
「へいへい…」
「飯は?」
「少しだけならくれてやる」
「ども-」
(まだ食べるのか…)
「オキナさんの胃袋って…」
「知らぬが仏だ」
「う、う-ん…」
「お前、アイツを捜してるんじゃなかったのか?」
「あ!そうでした!!」
「でも、その前に南の国に行かないと」
「おう、行ってこい」
「お気を付けて」
「借りは、いつか返す」
「それまで、な」
「はい!」
「行ってきます!」
読んでいただきありがとうございました




