学園新聞16
食堂
戦闘によってボロボロの状態の食堂だが、肝心の調理人達は無事なので営業している
「…」
「…」
その食堂にピリピリとした空気が張り詰める
「…何かな?」
「…確かに誘ったんはワイ等や」
「ほなけど…」
「何でお前等が来るねん!?」
食堂のテ-ブルを囲むようにして座る挽我、、毀棄梨、此所羅
「ヴァトラに言われたんだから、仕方ないだろう」
「「学園と一時的な停戦をしたんだから、親睦を深めてきても構わない」と」
「他の奴等は!?」
「凩と白珠は入院中だし…」
「城牙は城牙で、帰って来たと思ったら何処かに行くし」
「柳舞は居ないし」
「暴祖は「散歩」とか言って、何処かに行ってしまうし」
「って、事で僕達が来たんだよ」
「凩を傷付けた奴を殺しにいこうとしたら止められてね」
「行けなかったんだ…」
「そりゃ、そうでしょ」
「毀棄梨なら暴走しすぎるから」
「そう?」
「当たり前だよ…」
「この前なんて、凩を「デカ物ノッポお兄さん」って笑った小学生の女の子達の身ぐるみ剥いでたじゃん」
「アレは仕方なかったんだよ」
「凩が「やめろ」って止めなきゃ、どうなってたか…」
「たぶん、全身を刃物で斬りつけて…、両親を脅して…」
「それから…」
「それぐらいしたかも知れないね」
「ダ-クト-クを繰り広げんなや!!」
「お前等、ちっとは周りの目を気にせぇや!!」
「ああ…、年下の男の子達が私を見つめてる…」
「ウフフフフ…、ゾクゾクするわ…」
「恨まれてる…」
「この後で「うるさかったんですけど」とか言って、カツアゲされる…」
「うっさいねん!!」
「少し静かにせぇや!!」
「ふぅ…、仕方ない」
「それで?何の用?」
「いや、取材をやな…」
「「取材」?」
「好みは年下の男の子、5才以上かな」
「お前のタイプは聞いとらんわ!!」
「僕は白珠一筋!!」
「聞いとらんって!!」
「…それにしても」
「彼は?」
「はぁ?」
「彼だよ!彼!!」
「寺冬君!!」
「来てないのかい?」
「置いてきたんや」
「えぇ!?どうして!!」
「お前が手ェ出すからや!!」
「寺冬の身の安全を考えれば当たり前や!!」
「そんなぁ…」
「それじゃ!白刃之は!?」
「白刃之さんは治療中や!!」
「恐ろしいスピ-ドで回復しようらしいけど…」
「それはそれは!お見舞いに行かなくては…」
「何や!律儀な所も有るねんな」
「当たり前だ!」
「私が白刃之を看護してやろう…」
妙に息の荒い毀棄梨
「…ちょっと待て」
「何で息を荒げとんや?」
「ハァハァ…、え?」
「いや、看護のためにはズボンを脱がすのも仕方がないだろう?」
「そうしたら、白刃之のアレが見えても仕方ないと…」
「行くなや!この変態!!」
「白刃之さんの看護は椿姫さんが着きっきりでしとるわ!!」
「お前の出る幕は無い!!」
「…チッ」
「椿姫だかツベキだか知らないが…、私の白刃之に手を出すとは」
「お前の違うわ!!」
「第一なぁ!噂じゃ、白刃之さんと椿さんは…!!」
ガッ!
此所羅が挽我の口を防ぐ
「むぐっ…!?」
「駄目だ…」
此所羅の額から汗が落ちる
「…?」
その顔は信じられない程、青ざめている
「…どうしたんや?」
此所羅の手を除けながら、深妙な表情で問う挽我
「昔の話だけど…」
「凩に手を出したゼロのメンバ-が居たんだ」
「それで?」
「その女性は毀棄梨に言ったんだ」
「「アナタみたいなショタコン変態よりも、私のような平凡でも真面目な人が凩さんには似合う!!」って」
「…よう言うたな」
「あの時…、城牙と柳舞が止めなければ…」
「ゼロのアジトは崩壊してたよ…」
「そんなに!?」
「頼むから…!その類の事は言わないでくれるかな…」
「わ、解ったわい…」
「で、聞く事が有ったんだよね?」
「あ、そうやったな」
「実は、新聞のネタを集めよってな」
「ほう?ネタ」
いつの間にか、すっかり機嫌が直っている毀棄梨
「そうなんや」
「ネタが足りんでな」
「で?何を聞くんだい?」
「そうやな-」
「ほな、ゼロが設立された理由とか」
「…ッ」
「…え?」
重くなる空気
「聞いたアカンかったか…?」
「…あまり、話して良い事じゃないんだ」
「コレは…、ちょっとね」
「…ほうか」
「何や…、悪いな…」
「気にしなくて良いさ」
「君も知らなかったんだ」
「…ありがとな」
「ほな、気を取り直して次の質問に行こか」
「ど-んと来てね」
「好きな…」
「年下の」
「食べ物や!!」
「チッ」
「私は凩が作ってくれたチャプチェかな」
「僕は暴祖が希に作るMAXハンバ-グ」
「料理は、その2人がするんか?」
「いつもは凩だよ」
「でも、凩が居ない時は暴祖が作るんだ」
「そうなんや…」
「確か、でかい方が凩で目つきが悪い方が暴祖やったか?」
「そうだね」
「個性的なメンバ-やなぁ」
「「君達の学園には言われたくないよ」」
口を揃えて言う此所羅と毀棄梨
「ほうか?」
「かく言う君も、かなり個性的だよ」
「ほうかいな…」
「さて、次の質問に移ろうか」
「それはワイの台詞や」
「そうやな-、能力は?」
「それは秘密」
「だよね」
「チッ…、聞き出したろかと思ったのに」
「ほな…、次は」
「おや?何をしてるんだい?」
「?」
神が巡り合わせたのだろう、と挽我は思う
似て非なる趣味を持つ、この2人を
「が、骸瀧さん…!!」
「こちらの方々は…、ゼロの?」
「よろしく」
「こんにちわ」
「まぁ、前までなら鎖で縛り上げたんだけど…」
「今は敵じゃないからね」
笑顔で毀棄梨と此所羅から差し出された手に応える骸瀧
「何の話を?」
「新聞の取材にね」
「そうだったんだ…」
「邪魔したかな?」
「いいえ、別に」
「私の趣味を語ろうと」
「趣味?」
「そう」
「趣味って…」
「夜風、見つかったか?」
「いえ、見つかっては…」
首狩と夜風が食堂に現れる
「君!!」
「はい?」
首狩に飛びつく毀棄梨
「夜風ちゃん!!」
「え?」
夜風に飛びつく骸瀧
「な、何をするんですか!?アナタ!!」
「可愛いね…、部屋に来ない?」
「行きませんよ!!」
「夜風ちゃん…!誰かを捜してるの?」
「え!?いや、ちょっと…」
「そこのアナタ!首狩さんから離れてください!!」
「まぁ、こうなるわな…」
読んでいただきありがとうございました




