学園新聞9
「…まぁ、こんな物だよね」
「ぐぅ…!!」
「はい、動かない、動かない」
「コレ以上、傷付けたくないから」
「彼は貰っていくよ」
「寺冬ッ…!!」
気絶させられ、毀棄梨に背負われている寺冬
「返せや…!!」
「勿論、嫌だよ」
「私の相手をして貰わなければ…」
「でも、毀棄梨」
「何だい?此所羅」
「勝手に連れて行くのはマズくない?」
「アジトの場所が知られたら…」
「此所羅は心配性だね」
「大丈夫!私の虜にするから」
「うわぁ…」
「うっぐっ…!!」
「立つな、って!!」
「それ以上は傷が悪化するよ!?」
「寺冬を返さんかい…!!」
「ワイの仲間やぞ…!!」
「…たかだか「仲間」でしょ?」
「裏切られるかも知れないよ?その内にね」
「それでも今は「仲間」や!!」
「返せ!!」
「無理な相談だね」
パシィン!!
「がっ…!!」
「この程度で済ますよ」
「私も彼で遊ぶ前に死体処理なんてしたくないからね」
「死体にはならんわ…!!」
「動くな!!」
「!!」
「?」
「挽我君を保護せよ!!」
「あの2人はゼロのメンバ-だ!!」
「…応援かいな」
「面倒くさいね…」
「此所羅!!」
「解ってるよ!!」
ボォン!!
「煙幕…!?」
「挽我君を保護しました!!」
「…良し!撤退だ!!」
「待ていや!寺冬が…!!」
「彼は後々、保護する!!」
「今は君だ!!」
「ワイは自分の能力がある!!」
「こんな傷…!!」
ズキッ
「ぐぅ…!!」
「…学園に緊急搬送!!」
「急げ!!」
「はっ!!」
「寺…冬…!!」
保健室
「挽我!大丈夫か!?」
保健室に走り込んでくる秋雨
「静かに!」
注意するイトウ
「す、すいません…」
「何か用かい?」
「いえ、お見舞いに…」
「それなら、心配は要らない」
「命に別状はないからね」
「そうなんですか」
安堵の息をつく秋雨
「秋雨…、こっちに来いや」
「何だ?挽我」
「寺冬を連れ去った奴らについて、や…」
「!?」
「敵は2人、名前は此所羅と毀棄梨って言うとった」
「ゼロって言う組織の幹部や…」
「それは、校長から聞いてる」
「ここからが重要や」
「此所羅って言う男には、攻撃が当たらん」
「どんな攻撃もや」
「毀棄梨って言う女は、見えん所から攻撃してくる」
「それも確実に当たる」
「…能力は解らんが、特殊の能力者と思うわ」
「お前も気いつけいや」
「…解った!ありがとう!挽我!!」
「どういたしまして…や」
バタン!
保健室から出て行く秋雨
「…騒がしい奴やな」
「寺冬君は連れ去られてるんでしょ?」
「…そうやな」
「出来れば、とっとと傷や治して欲しいんやけど…」
「駄目だ」
「コレ以上の無茶は命を削る」
「イトウさん…、命ィ削っても良えわ」
「寺冬を助けに行かんと…」
「…寺冬君の救助は学園に任せるんだ」
「君は怪我を治すのが優先」
「頼む!ホンマに頼むわ!!」
「寺冬が今頃、何されてるか…!!」
「…人生には、そういう経験も」
「アカ------ン!!」
「冗談だよ」
「メイスさんも!頼みますわ!!」
「寺冬が…!!」
「少し静かにしてください」
「他の子も居るんですよ?」
「う…」
「それに、彼なら心配は要りません」
「ゼロは誰彼構わず殺したりする事は有りませんから」
「挽我君も、しっかり手加減されてるじゃないですか」
「ワイが…?」
「メイス!!」
「え!?」
「手加減されとったんか…」
「はぁ…」
「あ!ご、ごめんなさい…」
「…気にしなくて良いよ、挽我君」
「彼達は戦闘のエキスパ-トだ」
「…ワイ等は戦闘のプロや」
「結局は自分の無力さが招いた結果かいな…」
「…強くなるんだね」
「それ以外に方法は無い」
「…良し」
ガタッ
「挽我君!?」
「まだ立っちゃ駄目だよ!?」
「強うなるんや」
「ちいと訓練に行って来るわ」
「動くな、って」
ゴキン!
「ごはっ…」
ドサッ
「…メイス、俺は他の所に治療に行く」
「着いてきてくれ」
「挽我君は?」
「寝かせておいてくれ」
「ああ、四肢を鎖で縛ってね」
「逃げられたら面倒だ」
「は、はい…」
バタン
保健室から出て行くイトウとメイス
「キュプ-」
保健室に残されたのはモッチ-のみ
「キュキュプ-」
「キュププ」
「キュプ-」
「うるっっさっいわ!!」
「キュ!?」
「うるさいから目ぇ覚ましてもうたでないか」
「キュ-」
「ホンマに…、このペットは」
「見た事、ないし…」
「キュ-キュ-キュ-」
「…」
「キュキュキュップ!」
「揺れるし」
「キュ-」
「…」
「キュゥ…」
「寝るし」
「キュゥ!?」
「起きるし」
「キュ-ププ」
「何やねん!?」
ガラッ
「お邪魔しまぁすぅ~」
「キュプ-!」
「七糸さんやないか!?」
「挽我君が大変だと聞いたのでぇ~」
「お見舞いに来ましたぁ~」
「…」
「どうかしましたかぁ~?」
「…普通ならフル-ツ盛り合わせとか持っとうモンや」
「そうですねぇ~」
「その手のマジック(油性)は何や!?」
「ばれましたぁ~?」
「鏡燕さんに定番は書きましたしぃ~」
「「弱」と「貧」、どちらが良いですかぁ~?」
「…確かに、今のワイは貧弱や」
「寺冬も守れんかった…」
「あれぇ~?一気にテンションダウンですかぁ~?」
「詰まらないですねぇ~」
「ほなけど書くのはやめてや」
「…解りましたぁ~」
「ありがとな」
「いえいえぇ~、私も調子に乗りすぎましたぁ~」
「ではではぁ~」
キュッ
挽我の額に「弱」の文字が書き込まれる
「ドS!?」
「どちらか言うと、攻められる方が好きですぅ~」
「何で書くねん!?」
「今「調子に乗りすぎた」って言うたやないか!!」
「嘘ですぅ~」
「キュププ!」
「笑うなや!!」
「キュ…」
「それじゃ、私は鏡燕さんに怒られそうなので帰りますぅ~」
「ではではぁ~」
バタン
「ちょ、ちょい待ていや!!」
「この額の文字は!?」
シ-ン…
「…どうしよか?」
読んでいただきありがとうございました




