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学力検査12

WG学園、生徒会室


「失礼します」


「帰ったか、秋雨」


「はい」


「そうか」


「ご苦労だったな」

「売り切れてなかったか?」


「え…」


「いや、魚肉ソ-セ-ジなんだが…、な」

「安く量が多い上に応用も利く」

「さらに美味い」

「いや、決して安いという理由ではなく、美味いからだぞ?」

「確かに、この御時世に特売で66円という安さは有り難いが…」

「それ故に保存着色料だとかの疑問は持たれた」

「だが、それを諸戸もせぬ魚肉ソ-セ-ジの圧巻さ、そして歴史の深さを感じさせる味だ」「俺は魚肉ソ-セ-ジの美味さを俺のパスタに生かす事が料理を始める際の目標だった」「それが達成できたから料理に対しての興味も沸いたし、魚肉ソ-セ-ジの凄さを噛み締めた物だ…」

「で、魚肉ソ-セ-ジは?」


「…すいません」


「む?」


「忘れてました…」


「…そうか」


小さく溜息をつく鬼怒


「まぁ、俺も使いを頼んだ身だ」

「お前の様を優先したんだろう?」

「仕方有るまい」


「本当に申し訳ありません…」


「そこまで謝るな」

「俺も怒ってないさ」

「だが…」


ドン!!


机の上に置かれる大量の紙


「こ、コレは…?」


「始末書だ」


「え?」


「教材目的の外出で少しぐらいハメを外すのは黙認するはずだったんだが…」

「デ-トで目的も忘れ…」


「ちょ、ちょっと待って下さい!!」

「何で知って…!?」


「…始末書を逃れる為に、お前を売った奴が居てな」

「誰かは言えないが」


「だ、誰が…!?」



1年寮、秋雨達の部屋


「くっしゅん!!」


「どうしたの?竜山」


「いや、クシャミが…」

「誰かが噂してたりな-」


「…どうでも良いから、早く始末書を書きなさいよ」

「終わったら火良衣ちゃんを迎えに行って、食堂に行くんでしょ?」


「おう…」

「それにしても、多いなぁ…」


「って言うか、何したの?」


「…秘密」


(何したのよ…)



生徒会室


「…まぁ、始末書は兎も角だ」

「どうだった?デ-トは」


「え!?いや…、あの…」


「別に今頃、恥ずかしがる事でもないだろう?」

「キスする仲なんだから」


「き、キスは…!!」


「エネルギ-供給の為か?」

「まぁ、人の事は言えないんだが」


「えっと…」


「…楽しかったか?」


「は、はい…」


「…そうか」


「そう言えば…、鬼怒さん」


「何だ?」


「去年は鬼怒さんがエネルギ-を与えてたんですよね?」


「そうだが?」


「その前って…?」


「…居ない」

「GLの能力者は…」


ガチャン


「鬼怒君、いらっしゃいますか?」


「…椿姫か」


「治療委員会会長の!?」


「はい、そうですわ」

「アナタがGLさんの彼氏の?」


「か、彼氏じゃ…」


「まぁ、どうでも良いのですが」

「私は色恋沙汰には興味が有りませんから」


「何の用だ?」


「いえ、校長から連絡が有りまして」

「伝言を頼まれたのですわ」


「そうか…」

「秋雨、すまないが席を外してくれ」


「は、はい」


バタン


部屋から出て行く秋雨


「…鬼怒君?」


「何だ?」


「先刻は…、柳舞君の事ですか?」


「…GLの能力者は柳舞だけだ」

「それ以外に誰が居る?」


「…こんな事は言いたくありませんが」

「柳舞君は学校の歴史からも消えたも同然なのです」

「もし彼が詮索でも始めたら、奴が放っておきませんわ」


「…そう、だな」


「納得はいかないかも知れませんが…」

「仕方ないのです」


「…ああ」

「で、連絡とは?」


「はい」

「明日のテストの採点ですが…「生徒会の春白さんを貸して欲しい」と」

「やはり彼女の計算能力は重宝されていますわね」


「春白は妙な言動を取る事が有るが…、役に立つし人望もある」

「天鹿和を支える良い副生徒会長になる」


微笑む鬼怒


「…老人のようですわね」

「自分の後継者についての話で笑うとは」


「悪い事ではないだろう?」

「で、お前は勉強はしなくて良いのか?」


「失敬な!少しはしてますわ!!」


「…そうか」


「…呉々も、彼の話は」


「解ってる…」

「解ってるさ…」



喫茶店


「…で、どうだった?ガルス」


「レスキュ-隊が何人か衣服と道具を奪われてたらしい」

「何者かは解らなかったが…」

「反学園の一派の仕業だろうか?」


「それにしては、かなり強かだったな」

「あの男…、妙だったな…」

「感覚的に…」


「誰かに似てたか?」

「お前の勘は当たるからな…」


「顔も見えなかったし、声も忘れちまったが…」

「首狩君と夜風ちゃんを狙った事にも意味が有るのかも知れない」

「秋雨君とGLちゃんも居るのに…、何故、あの2人を狙ったのか…?」


「…夫婦?」


「夫婦は関係ないだろ…」


「そうだよな…」


「…調べる必要性が有るようだな」

「ロックに連絡してくれ」


「ああ」


「ふぅ-…」


「おお、帰ったか!メタル」


「疲れた…」

「コ-ヒ-、くれ」


「おう」


コポコポ…


「どうだ?勉強の方は」


「無理…、マジで」

「ワケ解んないしよ-、あんなに一気に入るか!っての」

「もう嫌だ…」


「お前…、勉強出来なきゃ大変だぞ?」

「最悪、足し算と引き算は覚えてくれ」


「えぇ-…、無理…」


「コレぐらいは覚えれるだろ…」



1年寮、秋雨達の部屋


「…ふぅ」


「後はコレぐらいね…」

「頑張りましょ」


「うん…」


「…まったく」

「竜山にアンタも…、何したのよ?」


「魚肉ソ-セ-ジ…」


「…鬼怒さんね」


「知ってるの?」


「昔は鬼怒さんのせいで魚肉ソ-セ-ジ恐怖症になったぐらいよ…」

「一食に絶対、一回は出てくるんだもの…」

「もう食べたくないわよ…」


「そうだったんだ…」

「そう言えば、美海ちゃんのパスタ…、どうなったのかな?」


「成功したそうよ」

「刃影さんは「焦げすぎているが不味くはない」だって」

「素直じゃないわね…」


「アハハハ…、あの人らしいね」

「執事さんも人形を渡したのかしら?」


「だと思うけど…」


カリカリカリ…


「GL…、僕は…」


「…言わないで」


「え?」


「今、少し眠いの」

「ハッキリした状態で聞きたいから…」


「…うん」


ズキッ…


(…何だ?僕は何を言おうとした?)

(GLに?それとも水無月さんに?)

(何を…、言おうとしたんだ?)

(胸が…、苦しい…)

(僕は…)


「秋雨?」

「大丈夫?」


「…うん」

「何でも無いよ」


「私、少し寝るわね」


「具合が悪いの?」


「何だかボウッとして…」


「昨日の疲れかな?」


「そうかも…」

「お休み…」


「うん、お休み」


バタン


部屋の奥に入っていくGL


「…早く始末書を仕上げなきゃ」


カリカリカリ…


(自分の気持ちにケジメを付けるべきなのかな…?)

(でも…、どうやって…)


カリカリカリ…

カリ…


「…どうすれば良いんだ」

「解らない…」

「僕には…、解らないよ…」



食堂


「美味しい?火衣良ちゃん?」


「うん!美味しいよ-!!」

「来て良かったね!!」


「そう言って貰えると料理人冥利に尽きるよ」


「トウツさんの作る料理は美味いですね!」

「どうやったら、こんなに美味しい料理が出来るんですか?」


「努力かな」

「様々な所を旅したりして研究したし…」


「へぇ…」


「美味しいね-!!」


「…出来れば下手くそな料理人に料理を教えてやって欲しい物だ」


弁当を食べている刃影


「刃影先輩!そのお弁当は?」


「美海が作った物だ」

「焦げたパスタで埋め尽くされている」

「こんな物ばかり食べていると舌が狂う」


「そんな言い方、無いでしょ-!!」

「美海ちゃんだって頑張ってるんだから!!」


「…その「頑張って作った」料理を食う身にもなってくれ」

「不味い」


「その割には、しっかり食ってますね?」


「…フン」


「ガルスも料理は上手いけど、俺の方が上手いかな-」


「そう言えば、花見大会の時も…」


「昔は、よく競った物さ」

「決着は付かなかったが」


「引き分けですか?」


「それも有ったが…」

「オキナが食材を食い尽くしてな…」


「アハハ…」


「で?勉強は上手くいってるのか?」


「まぁ、大凡は」

「頑張りますよ」


「アハハハ!最下位にだけはならないようにね!!」


「え?」


「トウツさ-ん!!」


「あ、フェザ-が呼んでるね」

「今、行く--!!」

「じゃ」


厨房に走っていくトウツ


「最下位になったら…、何が有るんだ…!?」

読んでいただきありがとうございました

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