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学力検査8

生徒会室


「で、残りの2日は自主勉強というワケだ」

「会長の代わりに俺が生徒会室に居るから、用事のある奴は来ると良い」


「はい」


「以上だ」


ゾロゾロ…


生徒会室から出て行く生徒会役員達


「鬼怒さん」


「どうした?秋雨」


「会長と春白さんは?」

「見ませんけど…」


「ああ、部屋に籠もっている」


「部屋に?」


「残り2日は部屋に籠もって勉強のみに集中するらしい」


「凄いですね…」

「鬼怒さんは?」


「先刻の言っただろう」

「生徒会室を空にするワケにはいかないからな」

「俺が残っている」


「そうなんですか…」


「…秋雨、暇か?」


「え?」

「特に用事はないですけど…」


「…じゃ、買い出しを頼む」


「買い出し?」


「この2日間は特別外出が認められていてな」

「教材を買う目的なら外出も許可されるらしい」


「そうなんですか…」


「で、だ」

「俺は生徒会室を離れられないからな」

「買ってきて欲しいんだが…」


「は、はぁ…」


「構わないか?」


「はい、別に断る理由も無いですし」


「良し」

「ここに書いている品を買ってきてくれ」


「解りました」


パサッ


鬼怒から渡されたメモには

「漢字索引早引き帳、牛肉100グラム、バナナ、魚肉ソ-セ-ジ、納豆」と書かれている


「…教材が1つしか無いんですが」


「あくまで目的は教材だ」

「その時に、ついでに食材を買ったに過ぎん」

「解ったな?」


「はい…」



1年寮、秋雨達の部屋


「ただいま~」


「お帰り!秋雨お兄ちゃん!!」


「お帰りなさい!!」


「お帰りなさいませ-、ご主人様-」


「刃影さん!?」

「それに、美海ちゃんまで…!!」

「どういう事!?火衣良ちゃん!!」


「美海ちゃんがね-、刃影さんにお料理を作ってあげたいんだって-!!」

「でも、喫茶店じゃメタルさんが「パスタが飛んで来る」って言って駄目だから」


「僕達の寮…、と」


「うん!そう言う事だよ」


「キッチンをお借りしますね」


「別に良いけど…」


「…秋雨」


「何ですか?刃影さん」


「悪いな、部屋を借りて」


「い、いえ…」


「どうかしたのか?」


「別に何でもありませんけど…」

(昔と違って、温厚になったな…)


「…それと」


「?」


カァン!!


刃影の短刀が屋根に突き刺さる


「…出てこい」


ガタガタン!!


「流石ですな…、刃影殿」


「執事さん!?」


「いや、お嬢様が心配で…」


「爺や!!」


「はい!何でしょうか!?お嬢様!!」


「「着いてこないで」と言ってでしょう!?」

「どうして来たのですか!?」


「申し訳ございません…」


「帰ってください!!」


「はい…」


とぼとぼと帰って行く執事


「…あそこまで言わなくて良いだろう」


眉をしかめる刃影


「…後で爺やに「さぷらいず」で料理を届けるつもりでした」

「ですから、見られたくなくて…」


「そうだったんだね…」

「って!僕は鬼怒さんに買い物を頼まれているんだった!!」


「お前が今年か」


「え?」


「去年は俺が行った」

「勉強など面倒くさいからな」


「…刃影さん、去年は何位ですか?」


「68位」


(勉強せずに、この順位って…)


「早く言った方が良い」

「副会長の機嫌を損ねる前にな」


「は、はい!!」


バタン!


扉に手をかける秋雨


「…刃影さん!!」


「何だ?」


「先刻の「お帰りなさいませ-、ご主人様-」って…?」


「そこのガキ2人の命令だ」


「よく聞きましたね…」


「さっさと行け」


「は、はい!!」


ダダダダダ…


「…フン」


「危なぁ-い!刃影さぁ---ん!!」


「あ?」


ベシャッ


刃影の頭にパスタが乗る


「ご、ごめんなさい!飛んじゃって…」


「…どうやったら飛ぶんだよ」



校門前


「え-と、メモと財布…」

「よし!忘れ物はないな」


「うぅ…、お嬢様…」


「し、執事さん…」


「秋雨殿!どうか!どうか私を助けてくださいませ!!」


「えぇ!?」


「実は…、お嬢様のご機嫌を直すべく、お嬢様好みの人形を買いに行くのですが…」

「何をどう選べば良いのか全く解らず…」


「僕も、あまり詳しくないんですけど…」


「しかし!私よりは詳しいかと!!」


「は、はぁ…」


「お願いします!どうか!どうか私をお救いくださいぃ~~~!!」


「わ、解りましたから!!」

「行きましょう!!」


「恩に着ますのじゃ!!」



おもちゃ屋


「こんなのかな?」


「そうですかな…?」


「何してんの?」


「GL!?」


「秋雨に執事さん…?どうしておもちゃ屋に?」


「GLこそ…」


「私は火衣良ちゃんにプレゼントを、って思って…」

「秋雨と執事さんは?」


「お嬢様の機嫌を直すべく、プレゼントを選びに来たのですじゃ」

「しかし、中々良いものが見つからず…」


「じゃ、コレなんかどう?」


「これは…、ネゥズミ-マウドゥではないですか」


「女の子に人気よ?」

「美海ちゃん、外出した事も無いでしょ?」


「おお…!ありがたい!!」

「やはり女性に聞くのが正しかったですな!!」


「男に頼むのが間違いよ」

「ねぇ?秋雨」


「連れてこられて…」

「批判だけって…」


「言い過ぎたかしら?」


「そうですな…」

「…秋雨殿!!」


「…何ですか?」


「この近くに有名な遊園地が有りますのじゃ」

「GL殿と2人で行かれては?」


「GLと?」


「つい先日、このチケットを刃影様から承りまして…」

「依頼主が好意で差し上げた物らしいのですが…」


「でも、コレは…」


「いえ!刃影様達の分は確保してあります」

「ご心配なさらず」


「執事さんの分は…」


「…お礼ですのじゃ」

「気にせずに行ってくだされ」


「…ありがとうございます」

「行きましょ?秋雨」


「う、うん…」



遊園地


「皆-!元気かなぁ?」


「わ-い!!」


着ぐるみの周りに集まり、元気そう喜ぶ子供達


「…秋雨」


「何?GL」


「何処に行く?」


「…ジェットコ-スタ-とか?」


「行く?」


「う、うん…」



ジェットコ-スタ-乗り場


「お待ちのお客様は--」


「…結構な行列ね」


「うん…」


口数の少ない2人


「次のお客様」


「順番、廻ってきたわよ」


「うん…」


「あ、カップル様ですと、写真撮影が割引になりますよ」

「いかがですか?」


「「カップルじゃない!!」」


「え!?あ、申し訳ありません…」


「ふ…、フン!!」


秋雨から目を逸らすGL


(もしかして…、GLも気付いてる?)


(もしかして…、秋雨も気付いてる?)


((「何かデ-トっぽい」って…))


「…何よ?秋雨」


「…何でもないよ」

「早く乗ろう」


「わ、解ってるわよ!!」



ガタガタ…


「発車します」


「…」


「…どうしたの?GL」


「ジェットコ-スタ-って…、何?」


「えぇ!?」


グォオオオオン!!


凄まじい速さで発車するジェットコ-スタ-


「キャァアアアアアア!!」






ガタンガタン…


「お疲れ様でした」

「またのご乗車を…」


フラフラ…


浮ついた足取りで出てくるGL


「大丈夫?GL」


「もう…、嫌…」


ペタン


GLがその場に座り込んでしまう


「立てない…」


「え!?」


「何か…、頭がグルグルって」

「足がフワフワで…」


「…仕方ないな」


グッ


GLを背負う秋雨


「ちょっと!何してんのよ!?」


「仕方ないだろ?立てないんだから」

「俺だって…、別に好きでしてるわけじゃ…」


「…」


「…」


「…何か喋りなさいよ」


「何を喋るんだよ…」


「…カフェにでも行きましょ」


「…ああ」



カフェ


「ここなら座れる?」


「…ありがと」


ガタ


GLをイスに降ろす秋雨


「ご注文は?」


「このパフェで」

「秋雨は?」


「ジュ-スで良いよ」


「畏まりました」

「少々、お待ちください」


「…綺麗な店だね」


「うん…」

「メルヘンチックというか…」

「私も…、こんな家に住みたいな」


爆弾発言注意


「僕も…」

「こんな家だったら…、住んでも良いかな…」


爆弾発言警報


「…そうね」

「私は…、その…」

「秋雨と…、住みたいかな…」


爆弾発言確定


「ラブラブですね」

「羨ましいです」


「夜風!?」

「何で!?」


「首狩さんに誘われました」

「「刃影からチケットを貰った」と」


「で、その首狩さんは?」


「…迷子です」


「えぇ!?」


「私が」


「夜風がかよ!!」


「つい先刻の事です」

「オバケ屋敷が怖くて逃げ出してきたのですが…」


(天鹿和さんが改造したアレか…)


「その時に別れてしまったようなのです」


「どうする?GL」

「迷子の放送して貰う?」


「大丈夫なんじゃない?」

「その内、首狩さんから…」


ピンポンパンポ-ン


「え-、WG学園からお越しの夜風様-」

「お連れの首狩様がお待ちです」


「ほら、放送したでしょ?」


「う、うん…」


「では、私は行って参ります」

「デ-トも構いませんが、浮気はしない方が良いですよ?秋雨さん」


「え!?」


「それでは」


走り去る夜風


「…説明してくれる?秋雨」


「…うん」



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