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学力検査4

2年寮、水無月の部屋


ガチャン


「水無月さ-ん、来ましたよ-」


「あ!いらっしゃい!!」

「上がって、上がって」


秋雨を部屋の中に招き入れる水無月


「ご飯、作ってきたの?」


「はい、僕も食べてきました」


「そうなんだ…」


「同居してる方は?」


「居ないよ」

「2年生の女子は、希望がない限り個別なの」


「そうなんですか…」


「コレは完璧な状態だな」


「た、竜山!?」

「怪我は!?」


「こんな時に寝てられるか」

「それより、この場面は完全に◯◯の…」


「黙りなさい」


「…ッ!!」


竜山の背後には骸瀧


「少し…、付き合ってくれる?」

「今日は血が騒ぐのよ」


「あ、秋…!」


バタン


静かに冷酷に閉まる扉


「…ッ!!」


竜山の爆弾発言によって南極をも凌駕する空気の零度


「…骸瀧さんも呼んだんですか?」


「勉強は出来る方だから…」

「それに、秋雨君が◯◯するかも知れないって…」


「しませんよ…」


「本当…?」


「た、たぶん…」


「たぶんって…」


「その言語が意味するのは「自分には◯◯をしない自信がない」」

「「だから、もし◯◯をしても許して欲しい」という意味が含まれていると判断します」


「よ、夜風!?」


「お久しぶりです」

「お元気でしたか?」


「ま、まぁ…、元気だったけど…」


「で、◯◯という気になるキ-ワ-ドが聞こえてきましたが…」

「もう終わりましたか?」


「し、してないよ!!」


「その動揺が怪しいですね」

「水無月さんは…」


ゴッ!!


夜風の頭に鉄拳が叩き込まれる


「…ッ!!」

「痛いです…、首狩さん」


「秋雨と水無月をからかうな、夜風」

「2人も、そういう年頃…」


「違いますって!!」


「ん?違うのか?」


「竜山が勝手に言い出した事です!!」

「そんな疚しい事は有りません!!」


「そうなのか?」

「夜風が何度も聞いているから、すでにしたのかと…」


「してないわよ!!」


「何だ、そうだったのか」

「何で夜風は何度も聞いてたんだ?」


「コレからの為です」


「…そう言う事は軽々しく言う物じゃないぞ」


「人の事、言えないじゃない!首狩君も!!」


「…すまん」

「で、夜食を作ってきたぞ」


「あ!ありがと-!!」


「夜食?」


「勉強は長引くだろうから…」

「料理の上手い首狩君に作って貰ったの」


「水無月さんは料理はしないんですか?」


「私も作ってみたんだけど…」

「どうかな?コレ」


「キケキャキケケイェィカカッ!!」


妙なうなり声を上げる料理


「…コレは料理ですか?」

「それとも生物兵器ですか?」


「料理だよ!」

「躍り食いって、知らない?」


(コレを躍り食え、と言うのか…)


「食べる?秋雨君」


「僕は先刻、食べてきたので…」


「首狩君は?」


「腹の調子が…」


「夜風ちゃんは?」


「全力で遠慮します」


「残念ね…」

「骸瀧さんは喜んで食べてくれるのに」


(「愛」って凄いな…)

「他にも誰か呼んだんですか?」


「えへへ-ん!」


胸を張る水無月


「今日はスペシャルゲストに来て貰いました-!!」


「誰ですか?」


「俺だ」


「白刃之さん!?」


「水無月に呼ばれたんでな」

「勉強を教えて欲しいと」


「会長が誘いに乗るなんて…、意外ですね」


「そうか?」


「私としては趣味的な物で来たか、困っている生徒を助ける為か、のどちらかと推測します」


「前者ではない事は断言できる」

「俺も英語が苦手なのでな」

「水無月か、首狩に教わろうと…」


「それでも会長は80ぐらいは取ってるでしょう?」


「点は少しでも多くなければ…、な」

「奴達に勝てない」


「「奴達」?」


「鏡燕、風華、鬼怒、椿姫…、他にも大勢だ」

「勝負するには1位でなければな」


「会長は負けず嫌いですしねぇ」


「…フン」

「WG学園勉学祭の1位は俺が頂く」


「「WG勉学祭」?」


「何だ?知らないのか?」

「勉学祭で…、要するにテストで1位を取った者の会に援助金が支給される」

「相当な額だからな…、風紀委員会のためにも…」


「そうだったんですか!?」


「…やはり、知らなかったのか」

「まぁ、金目当てで勉学に励むべきではないのかも知れないが…」


「白刃之さんはプライド的な物で戦ってるんですね」


「当たり前だ」

「2年に負けるわけにはいかない」


「アハハハ…」


「じゃ!始めよ-!!」


「は-い」



カリカリカリ…


「そこは32だ」


「あ、はい」


カリカリカリ…


「首狩さん、夜食を貰います」


「ああ」


カリカリカリ…


「そこはwだ」

「yじゃない」


「はい」


カリカリカリ…


「ゼュブァ-は7グラムですよ」


「む、すまんな」


カリカリカリ…


「夜食、貰うよ」


「どうぞ」


カリカリカリ…



バァアアアアアアン!!


「地味ィイイイイイイイ!!」


「!?」


扉を突き破り、メタルが入ってくる


「地味だな!オイ!!」


「勉強ですから…、そりゃ地味ですよ?」


「もっと派手に!パァ-っと出来ないのか!?」


「無理ですよ、勉強なんですから」


「で、お前は何をしに来たんだ?メタル」


「いや、金田が「勉強をしている生徒達にパンを配ってこい」ってな」

「夜食用だが…、どうだ?」


「そうは言っても、夜食は有りますから…」


「無くなっても俺が作ろう」


「む?そうか」

「ああ、それと水無月」


「何ですか?」


「先刻、竜山と骸瀧から伝言があってな」

「竜山は「まだ死にたくない」」

「骸瀧は「ゴミを削除するから待っててね」だそうだ」


「…ありがとうございました」


(竜山…、まだ逃げてたのか)


「じゃ、勉強、頑張れよ」


「は-い」


バタン


「…白刃之さんって、料理を作れるんですか?」


「あまり得意じゃないが…」

「夜食程度なら、な」


「へぇ…」


「そうこう言ってる内に夜食が無くなってしまいました」

「お願いします、会長」


「む、解った」

「水無月、台所を使わせて貰っていいか?」


「はい、どうぞ」



ガチャガチャガチャ


「…ん?」


「どうかしましたか?」


「水無月…、包丁の切れ味が悪いぞ」


「そう言えば…、最近は研いでなかったから」


「仕方有るまい…」


ベチャ


肉をまな板の上に置く白刃之


「お肉?」


「スタミナの付く肉料理を作ろうと思ってな」

「さて、やるか」


ピタッ


白刃之の人差し指が肉の中心に当てられる


「ムンッッ!!!」


バァアアアン!!


弾け飛ぶ肉


「…久しぶりだったからな」

「火力の加減が…」


「…能力を乱用しないでください」

「俺がやります」


「む、そうか」


ポンッ


肉を放り投げる首狩


「鎌鼬!!」


スパパパッパァン!!


「…どうです?」


「上手い物だな」


「能力乱用しちゃ駄目と言ってませんでしたか?」

「私に任せてください」


プニッ


肉を掴む夜風


ジュ-…


「…普通に料理を始めたぞ」


カチャカチャ


「中々の手際だ」


カチャン


夜風が鍋から皿に肉を盛る


フッ


「ん!?」


肉の上から肉が消える


「な、何だ!?」


「コリャは怪奇現象でふ…」

「早急にかいえぇいした方が…」


「…夜風」


「何でふか?」


「その口に含んだ香ばしい肉は何だ?」


「…知りまふぇん」


ゴクン


「決して不確認の能力を使ってなど…!!」


「秋雨君-、この子、縛って--」


「申し訳ありません!小腹が空いていたので…!!」


「だからって食べちゃ駄目だろ」

「お前の空腹ぐらい、俺が満たしてやるから」


「首狩さんっ…!!」

「臭い台詞を言っていますが、恥ずかしくないんですか?」


「…ッ!!」


「…勉強するぞ」

「夜食は秋雨が作ってくれ」


「私は!?」


「水無月、これ以上の生物兵器を生み出すな」


「生物兵器じゃないよ!!」


「知ってるんですか?会長」


「昔、風華に騙されて食べた事が…」


「…何か、すいません」


「頼む、秋雨」


「は、はい」






「…もう10時か」

「そろそろ帰らなければ、後々が面倒くさいな」


「そうですね」

「今日は、ありがとうございました」


「む…、ああ」

「帰って寝ろよ」


「はい」


「じゃぁね!秋雨君!!」


「さようなら、水無月さん」


「それじゃ」


「さようなら、首狩さん」


「私の空腹を満たしてくださいね?首狩さん」


「…解ったから、もう言うな」




1年寮、秋雨の部屋


「ただいま-」


「お帰り-!秋雨お兄ちゃん!!」


「あれ?火衣良ちゃん、起きてたの?」


「だって、竜山お兄ちゃんが帰って来ないんだもん」


「…火衣良ちゃん、竜山はね」

「今日は帰って来ないよ」


「そうなの?」


「何で?秋雨」


「…GL」


「アンタと一緒に勉強会に行ったんじゃ…」


「骸瀧さんが…」


「…ゴメン」


「何?何なの?GLお姉ちゃん」

「竜山お兄ちゃんは?」


「火衣良ちゃん…、竜山はね」

「遠い遠い…、もの凄く遠い国に行くのよ」


「え-!?そんなの嫌だぁあああ!!」


「いや、無理だから…」

「本当に…」



竜山 虎雨真


保健室に緊急搬送


5時間後に意識を取り戻すもトラウマが発生

回復は困難と思われる


~イトウの手記より~

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