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8章・お金が無いのは首が無いのと同じである

「あ~、ひでえ仕事だったな」


 俺は事務所のソファに寝転がると、今回の仕事の内容を思い返してみた。

 ……アリシアが居なかったら間違いなく死んでたな、うん。


「でも、蛇さんが無事で良かったです」


 まあな。魔術の儀式に殺されてた日にゃ、依頼主に何と言えばいいか。


「目的も達成したし、そっちは大学に戻るか?」

「はい、お母さんに初仕事の報告もしておきたいですし」

「そっか、じゃ、また今度な」

「そうですね。また今度会いましょう」


 アリシアは微笑みながら手を振り、事務所から去って行った。


「さて、と」


 俺は受話器を手に取ると、事前にメモしておいた番号をダイヤルした。


「どうも、万屋イースデイルです」

『あ、万屋さんですか? どうされました?』

「それらしい蛇が見つかりましたので、こちらに確認し『マジッスか!?』


 おぉう、今までのキャラが崩壊を……。


「え、ええ。そうで『わっかりました! すぐに向かいますッ!』


 あ、一方的に切られた。

 まいっか。1時間後くらいには来るだろうし。


 ……数分後。


「いやあ! どうもありがとうございました! いなくなってしまった時は自殺まで考えていたものですよ。ははは」


 ペットに愛情注ぐのは悪くないが……自殺までするか? 普通。

 てか、電話から10分も経ってねーぞ。どんだけ速度出してたんだよ? おっちゃん。


「しかもこんなに早く(即 日 で)解決していただけるなんて感激です。 ああ――よく戻ってきてくれたねマルレーン」


 恍惚とした表情で蛇に頬擦りするおっちゃん。

 ……全然絵にならねー。

「とにかく、ありがとうございました! 報酬の額ですが……これくらいでいかがです?」


 紙にペンを走らせ、俺に見せてくれる。


 ……。…………。……………………。…………………………………………はい?

 いち、じゅう、ひゃく、せん……


「5000……ダロ?」


 俺はダロの価値を考えてみる。

 えっと、1ダロで缶ジュース1本が買えるから…………。


 スゲー。金持ちってスゲー。

 5000ダロだよ、ごせんだろ。

 1ダロ紙幣が5000枚だよ。


「あ、安すぎましたか? じゃあ倍の10000ダロでどうです?」


 いちまん…………。


「10000ダロで、お願いします!」


 父さん、母さん、ゴメン。俺って、清々しいぐらい俗物だったみたいだ。


   ▼


 ――同日、某所にて


 男が3人居た。


 1人は跪いている大柄な男、ロジャー。

 1人は彼に向かい合って立っている細身の紳士風の男。

 1人は玉座と思しき席に足を組みながら座っている男。ただし、彼の顔には道化師のような仮面が被さっており表情は読み取る事が出来ない。

 そもそも仮面をかぶっている以上、男と断定もできない。


「では、君が交戦したと言う魔術師が『匣』を持っていると?」


 細身の紳士風の男が良く響く声で、ロジャーに問いかける。


「ええ、私の勘が正しければ間違いないわよ」

「ふむ……」


 紳士風の男は少し考えるような表情を見せる。

 ロジャーの勘を単なる勘と切り捨てない点に注目すると、彼はロジャーの勘をある程度信頼しているらしい。


「どうされますか?」


 紳士風の男が振り返り、仮面を被った男に訊ねる。


「そうだな…………」


 仮面の男はしばらく考えるそぶりを見せた後、組んでいた足を解き、立ち上がる。


「なら、我が確かめて来よう」

「「な…………ッ!?」」


 仮面の男の放った言葉に残りの2人の表情が硬直する。


「何か問題でも?」


「あ……ありま、せん」

「あ、アタシも無い、わ」


「そう構えるな。ただ待っているだけ、というのが嫌なだけさ」


 道化師のような滑稽な表情の仮面に覆われた彼の表情は全くうかがい知る事が出来ない。


 だが、声色だけは、まるで新しく買ってもらったオモチャの箱を開ける子供のような、純粋な期待に彩られていた。


「では、さっそく準備をしよう。『傀儡』を用意してくれ」


「……了解しました」

一応、キリのいいところまで持っていこうかと。

多分これ以降は来年まで更新しないと思います。

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