第8話 言葉の戦場
緊張は、
消えていなかった。
ガルドゥス派の動きは、
水面下で続いている。
城内には、
見えない亀裂が走る。
リオネルは、
眠れない夜が増えた。
「俺のせいだ……」
そう思ってしまう。
数日後。
最悪の知らせが届く。
「ガルドゥスが、
部隊を率いて
城へ向かっています」
リオネルの顔が、
真っ青になる。
「戦うんですか……?」
ゼフィロスは、
静かに首を振る。
「いや」
「貴様と、
私が行く」
城門前。
数百の魔族兵。
剣と斧が、
月明かりに光る。
中央に立つのは、
ガルドゥス。
「最後通告だ、
ゼフィロス」
「弱腰の王は、
不要だ」
ゼフィロスは、
一歩前へ。
「私は、
魔族を滅ぼすつもりはない」
「生かしたい」
ガルドゥスが、
鼻で笑う。
「甘い」
リオネルは、
前に出た。
足が震える。
声も震える。
「戦って勝っても……
また次の敵が
生まれるだけです」
「でも……
話して分かれたら、
敵は増えません」
沈黙。
「俺、
村で見ました」
「ケンカしてた人が、
一緒に畑を耕すと、
仲直りします」
「畑を……?」
兵士の一人が、
呟く。
リオネルは、
必死に続ける。
「一緒に汗かくと、
相手が
分かるんです」
「怖くなくなります」
ガルドゥスは、
剣を強く握る。
「……くだらん」
だが、
振り上げない。
長い沈黙の後。
ガルドゥスは、
剣を地面に突き立てた。
「今日のところは、
退く」
どよめき。
完全な降伏ではない。
だが――
戦場は、
言葉で止まった。
リオネルは、
その場に座り込んだ。
「……よかった」




