第6話 「馬乗りになられたいな」
火山に向かう道すがらは平和なこともあり野草や木の実土や川の場所なんかを把握できた。
これが何に使えるのか?ってふふ料理人にはすげー重要なのよ。
色んな場所でこの辺はこういう風土でこういうものが育ちやすくてってのが分かればいちばん美味いものを常に提供できるってわけ。
しかしハルートも一緒になってそんなことをしていたので火山に着くのがだいぶ遅れてしまった。
まっ、依頼に期間の定めないし食料もまだあるのだからどうにかなるっしょ。
途中からは山登りプラス山岳地帯が続いて草木も生えちゃいないので全くもってつまらない道のりだった。
その間は仕方ないからまた本を読みながら進んだ。
大昔には襲ってくる魔物が沢山居たみたいだけどレオ達が世界を救ってから大幅に魔素の質が変わったらしく穏やかな魔物が増えたらしい。
だけど火山向こうのルコニア地方はちょっと別で魔法大学があるからなのか魔法都市だからなのか少々厄介な敵も多いらしい。
ハーピーとか淫魔とかそんなのもいるとか。
「なんか火山の入口だってのに普通の洞窟みたいだな。」
入口は洞窟そのものでまだ暑くもなんともない。
球体の光魔法で照らし奥へと進む。
入口の方の魔物はもう...最悪。
ある程度覚悟はしてたけどゲジゲジのでかいのとか...そんなんばかりで無理無理無理無理!
目の無いコウモリが可愛く見えるぜ!
奥へ進めば進むほど蒸しあちぃ...溶岩がチョロチョロ流れて小川みたいになっているエリアまでやってくると壁やら地面やらキラキラしたものが出てきた。
よく見るとそれは虹色に輝く鉱石だった。
「これも取ってくんだよな?」
俺がそう聞くと、ハルートはぐったりしながらこちらを見ると静かに頷く。
「あ、でもこれ...たしか勇者レオの伝記では取りすぎてこれを主食にしてる馬の頭をした蜘蛛の魔物に襲われたって書いてあったような...。」
デカくて強い馬の頭の蜘蛛とかちょーキモイ!絶対嫌だ!
でも...取っていかなと依頼は達成できないし...。
仕方ない最低限だけ取ってすぐ魔法カバンに入れよう。
できればそんなもんに鉢合わせるのだけは勘弁こうむりたいとこだし。
小さなツルハシをハルートに貸してもらいそれで鉱石を削り取る。
石を叩く度美しい虹色の光とカンという音でなくシャラリと綺麗な音が鳴る。
...こりゃ沢山取りたくもなるよね。
勇者レオは勇敢で優しくみんなのことを考えられる人だが少年だったっためこういう時わんぱくになってしまうと本人の伝記に書かれていた。
俺は28になっても未だにわんぱくボーイの為こういう作業は楽しくなっちゃう...。
でもその楽しさを天秤にかけた時蜘蛛に出会いたくないの方が勝ちかも。
鉱石を必要最低限取り魔法カバンの奥深ァくにしまうとそそくさと再び火山道の奥を目指した。
だが...その努力も虚しく次のエリアに移動するための小さな洞穴で例の馬頭の蜘蛛に出会ってしまった。
体は10メートルをゆうに超える大きさ...。
しかも上層のどこかに巣があるらしく天井に空いた大きな穴ぼこからワラワラワラと沢山湧いて出た。
こんなにも狭いところで戦うにはあまりにも不利なので一旦さっきの広いエリア溶岩と鉱物の広間まで戻った。
「ちゃ、ちゃんとついてくるぅ!いやあああああ。」
俺は加速の魔法をかけもはやハルートを抱えながら走ってみたがギリ追いつかないくらいの速度で奴らは着いてくる。
「仕方ないハルート!戦うぞ!すまないけど悪い状態にかかりにくする旋律を頼む!」
「はい。」
ハルートは俺の指示に従い旋律を奏で始める。
俺の体はハルートの唄から放たれる綺麗な水色の光に包まれた。
蜘蛛は嘶きながら俺目掛けまっすぐ向かってくる。
俺は華麗に交わしながら一匹ずつ雷の魔法を使い動きを止めていく。
「ルライティス!」
大きな閃光が大きな音を立て瞬間的に天井から蜘蛛たちに落っこちる。
眩い光と大きな音とダメージに蜘蛛は止まる。
俺はそこを狙いまとめて昨日覚えたばかりの超級魔法を放つ。
「グラヴィード!ルフリジャス!!」
重力で押し潰す魔法と氷の魔法。
こいつらは火に強く氷に弱いらしい。
ダメージの臨界点を超えた馬頭の蜘蛛たちは動かなくなり魔素へと帰っていった。
残った雲の足やら出てきた魔石やらを震えて泣きながら拾い集めてカバンにしまい込んだ。
「ダイゴ、おそらく君の手から好物の匂いがするみたいです。しばらくしたらまたあの虫たちが襲ってきてしまうので手を洗ってください。」
ハルートの言葉に俺は即座に熱湯を出し手を洗う。
「鉱物自体は魔法カバンの中に入ってれば問題ないのでこのまま進みましょう。」
その後、本当に蜘蛛は襲ってこなかった。
「なんで手から好物の匂いがするってわかったの?この鉱物の匂いって無臭じゃないか?」
疑問に思っていたことを思い切ってハルートに聞いてみた。
「私...少しだけですが魔物の声を聞くことができる時があるんです。あの蜘蛛...ホースデビルは鼻がいいらしくあなたから食べ物の匂いがする!と言っていました。」
....うーん!うん?魔物の言葉がわかるってこと?
「そうなのか...。」
「驚くのも無理はありません。わたしにもなぜそんなことができるのか分からないのです。」
「それって好きな時には聞けないの?」
「ええ、そうなのです。私が魔力に敏感なのはダイゴも知っていますね?恐らくこういった魔素の高い地域では発生しやすいのだと思います。」
「大変だなぁ...。」
「あはは...時々人の嫌な感情や言葉も見えてしまう時があって...そういった時は少々...堪えますね。」
可哀想に...俺がレストラン時代にそんな能力を持っていたら多分レストラン...いや東京全土を爆発させてしまう自信がある。
ハルートは本当に強いな。
「さて、もうすぐ溶岩が多くなるエリアになります。ダイゴはルフレは使えますか?使えなければ私が歌で加護します。」
「大丈夫。使えるよ。衣の魔法でしょ?」
わかんないかな、フ〇ーハですよ。
全く同じ効果というよりこっちのが便利で暑さや寒さちょっとした呪いはこれで防げる。
「ルフレ!」
俺が詠唱すると光の衣がハルートと俺を包み込む。
ねっ、かなり似てるでしょフバー〇に。
「ありがとう!ダイゴ。」
「おう!あ、そろそろマフィールしておく?マフィーラルド試してもいいし。」
「いえ、先程エーテルを飲みましたので魔力の方は問題ありません。ダイゴも飲みますか?」
「ううん、今のところ全然平気。俺って料理人じゃなくて賢者なのかもな。」
笑いながらハルートの方を見るとハルートも笑い返してくれた。
こいつが疲れやすいのは体力がないだけじゃ無さそうだし...無理はさせねぇようにしてやるか。
ったくしょーがねーなー!男相手にこんなに気を使えるってことは女の子だったらもっとエスコートしちゃう可能性あるの!?
俺、モテ男かも〜。
そこいら中の土やら岩やらなにやらをハルートが集めてくれ前金とともに渡された試験場に送る瓶に1つずつ入れた。
その都度しっかり魔法カバンにしまい込み、手を洗った。
普通の石とかでも食べる敵がいるかと思ったからね。
それから二日かかけルコニア側までの調査をしっかりと終えた俺たちはアクアベリーへと帰還した。
「んひぃ。つかれた!温泉入ってくればよかったなぁ。」
「ダイゴがフープルを使えるようになれば一度言った場所なのでいつでも行けますよ。」
「えぇ〜。でもフープルは必須だな。依頼の時短になるし何より食材を集めるならあった方が良さそう。レストランを開くならその前に覚えておきたいな。」
「ですね。とは言っても、私は知識をお貸しすることしかできませんが...。」
「まぁまぁ!一緒に依頼に来てくれるだけでも助かるし!つーかもう1人くらいパーティメンバー欲しくね?俺だけでも別に戦えるけどいたらもっと楽できるし何より男二人では華がないよぉ。」
「ふふっ、そうですか?私はダイゴとの二人旅も馬鹿できる友達と旅してるみたいで面白いですよ。小さな頃から勉強ばかりで、あまりふざけられる友達もいませんでしたからね。」
「ん〜でも物理攻撃できる人ほしい。出来れば聖職者で!素材の取れ方に限りが出ちゃうし、蜘蛛の足とかを代わりに触ってくれる人がいいなぁ。あと女の子!」
「そうですね。ギルドに報告しに行くついでにwantedの掲示板でも見に行きますか。」
「なんか指名手犯みたいだな。」
「あはは、今回の場合は求人ですよ。パーティメンバーを長い目で募集してる単独や少人数の冒険者がそこに名前やら紹介やらを書いてます。」
依頼の報告をギルドで済ませたらすげぇ金額の報酬を貰った。
うひひ、何買おうかなぁ。
...あっ、イカンイカン金貯めないと。
その後、wantedの掲示板の前へとむかう。
ギルドボードとは違い細かい内容で書かれたプロフィールとか職業が大量に貼られているボードの前で、誰かが揉めていた。
「だからー、オレは!俺より強いやつがいいんだってばー!マッチング条件それだけなのになんでこんなにマッチングしねぇんだよ!」
ゴネているのは声が高くこれまた見た目の美しい狼獣人の...男?
真紅の髪の毛に灰色の毛並みがとても美しい。
鎧を着ていて体格は分かりづらいがどこか柔らかいような?
「落ち着いて!シャルロッテ!」
よく見たらもう一人横にくっついてた。
猫の獣人の気の弱そうな男。
多分僧侶?かな?そんなような服装をしている。
「あー!そこのアンタ!」
狼の方が俺を指さす。
「あんた!最近入ってきたルーキーだろ!?俺と勝負してくれよ!ここに来たってことはパーティメンバーさがしてんだろ!?俺が負けたら仲間になってやるよ!あ、ついでにこいつも!」
狼は小さな猫の獣人の首根っこも掴んでこちらに笑う。
ん〜。男四人のパーティになるんですか?
むさ苦しいよぉ。やだよぉ。
「こら!失礼だろ!シャル!」
「うるせーぞ!マカフィ!」
「あ、俺はシャルロッテ!シャルって呼んでくれよ!こいつは...。」
「シャルのフィアンセのマカフィルー厶です!」
え、コイツらほもなのぉ!やだぁ!
「こら!俺がいつお前のフィアンセになったんだよ!」
「君は!正真正銘、僕の許嫁だ!もっと女の子らしくしないからこの人たちたぶん、君のこと男だと思ってるよ?」
あ、宝塚的な?
シャルちゃんは女の子なのね。あーよかった。
可愛いと思っちゃったもん。よかったあーー。
「んな事どっちだっていいんだよ!俺が女とかかんけーねーから!つーかお前も女だろうが!?バカか!」
えぇ、マカフィも女の子なのぉ。うっそ〜ん。
「あ、あの。たしかに俺たちパーティメンバーはさがしてるのだけど勝負って一体何をすれば?」
メガネをかけたマカフィちゃん...ちょっぴり知的で常識人。
男勝りなシャルちゃん...馬乗りになられたいな。
「んー!闘技場で!俺と勝負しろ!ダウンとった方が勝ちな!」
ん〜シンプルぅ。でも俺女の子をボコすなんて出来ないよぉ。
横を見るとハルートがポカーンと口を開けてます。
うんそりゃそうだ。
「いいですよ!じゃ!このあとすぐに闘技場に行きましょう!」
男だと思ってたからマカフィちゃんのこと雑にしか見てなかったけどぉ。
よく見たらめっちゃ可愛い顔してんのぉ。
しかもぉ、ローブでよく分かんなかったけどぉ。よく見たら胸大きそうなのぉ。
「おう!やる気だな!骨のあるやつと戦えてうれしぃぜー。」
俺も美人を仲間に出来るかもしれなくてうれしぃぜぇー。
うひひ。
その後決闘申請とよばれる手続きをギルドの裏にある簡易闘技場の入口で済ませ決闘場の土に足を踏み入れる。
「おぉ〜。」
決闘場と言われるだけあってなんだか血生臭くて歴戦の戦士たちの様々な思いを感じる。
レンガ造りの壁は所々修繕された後や壊れたままになっているところもある。
「じゃ!よろしく願うよ!あっ、俺はダイゴって言います!」
まだ敬語とタメ語のバランスが取れなくて思わず変な感じになってしまう。
「よろしく!ダイゴ!気さくに話せよ!」
「ああ!そうさせてもらうぜ!じゃ!今から試合開始だな!」
「おう!どっからでもかかってこい!」
フライパンを構えて魔力を込める。
「ヴォルカリオ!」
炎の上級魔法をシャル目がけて放つ。
シャルは避ける様子もなく件を顔の前で構えた。
「ルクシス流聖剣術...。ホーリーシールド!」
彼女がそうつぶやくと構えた剣の目の前に光の盾が現れる。
その盾は俺の魔法を受け流しシャルの後ろに流れていってしまった。
「おぉ!すご!なにそれ初めて見た!」
「これはホーリーナイト専用の闘気術さ!今度はこちらから行かせてもらうぜ!」
シャルはそう言うと闘気を高めていく。
掲げていた剣を後ろに大きく上に構えると...やば!斬撃だ!
無数の斬撃が俺を襲う。
俺は避けつつシールドを張り次の攻撃を仕掛ける。
「グラヴィード!」
俺の重力の魔法でシャルは片膝を膝を付き剣を地面に突き立てている。
ちょっと可哀想だけど!ここで決めるぜ!
「ルヴォルカリオン!」
炎の超級魔法を思い切り彼女目掛けて放つ。
彼女は避ける術もなく食らった...はずだがピンピンしてますね。
「ふはははは!すげぇ!賢者並に魔法が使えんだ!お前!気に入った。」
彼女は高らかに笑うと俺の重力の魔法をフィジカルで弾いて立ち上がる!
や、やべ〜こわ。
「イオルド式血剣術!火炎斬!」
今度は炎を纏ったさっきよりも大きな斬撃が飛んできた。
「ルフリジャス!」
俺は氷の魔法でそれを打ち消した。
おっ...かねー!
「お!これもかわせるんか!すごいぞ!ルクシス流闘気術!身体能力向上!」
闘気を纏ったシャルは今度はバフのような何かを自分にかけた。
すると彼女の動きは二倍くらい早くなる。
やっば!
「スピルフ!」
俺も同じく速度強化の魔法をかけありえない速度で剣を振るってくる彼女の攻撃を何とかフライパンで受け切る。
「シャドフル!」
俺は受けた剣に闇の魔法を流し込む。
聖剣系の技を使うってことは剣もそれにあったものになっているだろうから効くかと思ったが。
振り払われてしまう。
「観察眼も大したもんだ!まだまだいくぜ!イオルド式血剣術!雷撃斬!」
今度は雷の斬撃だ、あまりにも早くて俺は一発食らってしまう。
少し体が痺れていたので即座に回復魔法と解毒魔法をかけ体制を立て直す。
「立て直しも早い!いいぞいいぞ!それならこれでどうだ!ルクシス流聖剣術...クロスホーリーブライト!」
それって...グランドク〇スやん!
などと突っ込む暇もなく彼女が剣を十字に切ったところから巨大な斬撃が飛んできた。
俺は光は光で対抗した方が良さそうだと判断したため光の超級魔法を溜め込み大きな一撃にして放った。
「ルシャイーマ!」
ふたつの大きな光は相殺され大きな衝撃はが闘技場内に放たれた。
「あぶない!」
俺は咄嗟に観覧していたハルートとマカフィをシールドで庇う。
同時にこちらに向かってくるシャルの攻撃を交わしながら反撃もしていく。
「気も使えるのか!すごいなーお前!いいなぁいいなぁ!」
このひとやばいよ!絶対やばいよ!
おかしいよ!
...でもちょっとぶっ飛んでてえろいな。
俺はフライパンを逆手で構えて魔力を込めると今度は雷を落としてみた。
「ライティス!」
それがまずかったんですねぇ。
シャルはその雷を避雷針みたいにして剣で受け止めると剣をそのまま回し、こちらにどう見てもギ〇スラッシュみたいな技を放ってきた。
俺は土の魔法で壁を作りそれを打ち消す。
「あっぶねえ!食らったら致命傷じゃすまないな。」
「雑木林くらいなら吹っ飛ばせるぜ!」
あーはいはいそうですか。
「ルエアルダス!」
今度は風の超級魔法で竜巻を巻き起こしシャルに当ててみる。
だがシャルには切り傷ひとつすらつきゃあしないよ。
「うおおお!燃えてきたァ!ダイゴ!お前強いなぁ。」
やだん、闘志に火つけちゃったわ〜ん。
俺はグリル火をつけたいよぉ。
「行くぞぉー!俺の最強技!受けてみろ!!!ルクシス流聖剣術...。」
あれ?なんか様子が違くない?え?え?
すごい勢いで闘気やマナがシャルに集まってる。マカフィもなんか慌ててるし、これってもしかして爆発する系?
「おい!ハルート!すぐ逃げろ!」
...っち!間に合わねー。やべーーー。
やけくそだやってみるか!
「フープル!」
俺は土壇場でまだ未完成のフープルを使ってみた。
見事成功しハルートとマカフィのところに飛ぶことができた。
「あと二回だけ頼むぜ。フープル!」
2人を抱えて火山の手前の村タッカンブルに飛んだ俺はもう1度だけフープルを使い闘技場にもどった。
そしてシャルが爆発寸前になったところでシャルだけに結界を晴ればいいということを思いつき、咄嗟に結界を貼るために魔法陣を描き見えなくなる必要はないので書き換えはせずそのまま大きな膜を貼った。
結界内で爆発したシャルは意識を失った。
「...なにもフープル使うことなかっな。」
俺も大量に魔力を消費して魔力不足を起こし意識をその場で失った。
目を覚ますと、ギルド併設の治療室のベッドの上で目を覚ます。
隣のベッドにはシャルが眠っていた。
「う...頭いて。」
体を起こした俺はまだ魔力が不足しているらしく目眩が引き起こる。
「...。」
フープルは一度でとんでもない魔力を消費する。
それを三回、ましてや距離が伸びるほど魔力消費も増えキツイ。
しかも自分を転移させるのすら成功したのは初めてよ。
人を同時になんて発想すらなかった。
あの戦いの後でそれはきついよな。
しかもその後魔力消費の激しい結界を貼る作業をした。
いくら俺でも無理があったのだろう。
「ったくよぉ。シャルロッテさん勘弁してよぉ。全くまちごと吹き飛ばす気かよぉ。」
天井を眺めながら俺がぼやくとシャルも目を覚ましたようでくすくす笑っている。
笑ってんじゃないよぉ!真剣だよぉ!
松風 大護くんは、こんなにも必死になること料理以外では中々ないんだからね。
「ダイゴぉ!おまえすげーな。俺お前の仲間になりてぇ。あいてて...。」
「どう考えてもお前深手を追ってるんだからまだ喋るなぁ。回復魔法も一気にかけると体への負担すごいしまだ痛むだろ?」
「このくらい!騎士団にいた頃先輩にやられたキズに比べれば大したこたぁねぇよ!」
「....そうか。つーかさ、あの二人無事にアクアベリーに戻れるかな。」
「大丈夫だ。マカフィはああ見えてすげて強いからな。どうにかなるさ。」
「にしてもあれからどんくらい時間経ったんだ?」
「あ、俺のカバンとって。闘技場の受付に預けただろ?そしたら多分その辺に置いてあると思う。」
シャルに言われるがまま重たい体を起こしシャルのカバンを探す。
それは彼女のベッドの頭の横にあるテーブルの上にあった。
「あっ、あった。中からなにか取るか?」
「あーうん、じゃあスマホとってよ。」
「スマホ持ってんの!?」
「まあな〜一応Sランク冒険者だし。なあ、早くとってくれよ。」
驚きもよそに彼女の魔法カバンからスマホを取りだしてやった。
それはあちらの世界のものとほぼ同じ形だ。
「ほらよ。」
ピンクの可愛らしいスマホをシャルに渡してやる。
「おぉ、ダイゴ。俺らあれから二日くらい眠ってたみたいだぞ。」
画面を付け日付けを確認したシャルは俺にそう言った。
「マジかよ!だとしたら、ハルートたち遅くない?もう戻ってきててもいいと思うけど。」
「うーん。マカフィは...少し買い物癖が悪くてな...おそらくもう戻ってきてて、俺たちが目を覚ますのを待ってる間に買い物にでも出かけているんだろう。」
「ハルートは付き添ってんのかな。」
「あぁ、付き合わされてるとみて間違いない。」
二人共女の子っぽいところちゃんとあるね。
かわいいかわいい。
再び、呑気に横になっているとハルートたちが戻ってきた。
「あー!ダイゴ!目を覚ましたか!よかったぁ。」
「シャルも!目覚めたんだね!よかったぁ。」
小さな体をぴょんぴょんと跳ねさせて喜ぶマカフィは可愛らしい。
「お二人共、最初、マカフィさんがずっと付きっきりで回復してくださってたんですよ。」
「それを言うならハルートさんが癒しの調べを奏でててくれていたからこのふたりの回復が早かったんだよ。」
おや?いつの間に仲良くなったんだい。
「ハルートぉ。俺喉乾いたよぉ。エーテルサイダー出してよぉ。」
なんか悔しかったんでハルートにサイダーを飲ませてもらった。
腕にガーゼがあるところを見ると寝ている間は点滴もされてたみたいだし、今のサイダーでだいぶ魔力回復してきたな。
「起き上がれるようになったら本格的にフープルの練習をしようかな。」
「え!?まだ使える訳じゃないの!?」
マカフィは俺のその一言に驚く。
「あぁ、土壇場で使ってみてやっと少し形になったんだ。」
「えええ!それなのに僕たちをタッカンブルまで運んだのかい!?すごいなぁ君。」
「え?そうなの?」
「フープルなんて超級の上の魔法だし...一日一度使えるかどうかだよ?それを初めてであんな距離3人同時なんて普通じゃないよ!」
「そうか...でも俺はそれじゃ困るから普通に使えるようになりたいんだ。」
「すごいなぁ!僕は信仰魔法専門だから...普通の魔法はそんなに得意じゃないんだ。だけど君のすごさだけはわかるよ!」
「へへ、君みたいに可愛い子にそんなこと言われると照れるぜ。」
「え!僕女の子に見える!?やば!男の子として振舞ってるつもりなんだぜ!だってシャルのフィアンセだから!」
「はは、ごめん、正直よく見たら見えるよ。パッと見はどっちかわからなかった。」
「ちょ!マカフィ!俺とお前がいつフィアンセになったんだ!やめろよ!」
「...僕たちは本当に許嫁だもん。」
「そりゃ!親が決めたことだろうが!すまねぇなダイゴ後で詳しいことを話すよ。それより俺たちを正式メンバーとしてお前のパーティにくわえてくれないか?どうかな?」
...正直ね、居たらいいなって思います。
だけどさぁ...おそらくシャルは暴走機関車...俺が抑え切れる自信が無い。
「ハルート!お前はどう思う?」
「...ダイゴが良いというのなら彼女たちを仲間にしてみるのも面白いと思います。」
「...んーそうか。じゃあシャル、一つだけ俺の願いを聞いてくれるか?」
「なんだ!?」
「...暴走はやめてくれ。周りを見て行動してくれると言うのなら仲間になってもらいたい。」
「あっはっはっ!すまねぇ!俺は強いやつを見つけたらいつもあぁなんだ。わかった!できる限り気をつけよう。」
「...助かる。じゃあ改めてよろしくな。シャルロッテ!マカフィルーム!」
「あぁ!よろしくなダイゴ、ハルート!」
「よろしく!ダイゴ、ハルート!」
こうしてそこから一週間の治療を終え俺たちは正式なパーティメンバーになった。
思わぬ形で物理アタッカーのホーリーナイトとハイビショップの仲間ができた。
物理アタッカーであり、無視とかも平気そうなシャルが居れば安心できるし、聖職者のマカフィがいれば呪いや闇系の敵にももっと対抗できるはずだ。
しかし...1つ問題があった。
長いこと治療室を占領してしまっていたためとんでもない金額の請求が来て...前回の依頼分の報酬はまるまる消えましたとさ。
あーあーいつ俺は料理人ギルドの依頼をこなせるくらいに金に余裕が出るんだよ!
ちくしょー!
〜続く〜




