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第16話 「今宿題やろうと思ったのにぃ」

長いです。



「ふぁ〜あよく寝たなぁ。」

隣のベッドを見てみるとハルートはまだ寝息を立ている。

職業の柄、遅寝早起きが得意になってしまい未だに体に染み込んでいることを実感させられる。

そういえばアルス俺のスマホ今日の出発までには用意するって言ってたなぁ。

楽しみだ。

ボッサボサに爆発した髪をクシで梳かし歯を磨くと、まずはシャルを起こした。


「んぁ。もう朝かぁ。ふぁ〜よく寝たなぁ。」

さっき俺が伸びながら吐いたセリフと全く同じことを繰り返すシャルちゃん。

いやだ...俺ってば仲間たちに絆されてるのかしら...いや元から似たところがあったんだよね多分、などとひとりで考えているとハルートも起き上がった。


「...ふぁ〜よく眠れました。」


お前もか!わざと寄せてんのか!?なんなんだ!これ!


「ダイゴ、すみません。ちょっと気分が優れなくて解毒の魔法をかけて貰えますか?」


「あ!俺も眠気覚ますやつ!かけて。」


ったくこいつらは!ハルートはいいけど俺、ドラえもんじゃないんですけど。


「ルメイリス!ディスミン!」

しかし俺の同時詠唱でこいつらの願いはかなってしまう。

「ありがとう。体力が回復しきっていないようなのであとはポーション飲みますね。」


「せんきゅー!うんこしてくるわ!」


ったく!ハルートはいいけどシャルの奴!

下品すぎるぞ!


「ふぁ〜あ!俺だってねみーッつーの!フィール!ディスミン!」

仕方が無いので傷を癒す呪文で内蔵を少しいたわってやり眠気を覚まして頭をシャキッとさせた。


準備を終え下に行くとマカフィーとアベルが紅茶を飲みながらくすくす笑っている。

花園があります、ここに。


「あ!ダイゴおっはよー!僕ね、ベルとめっちゃ仲良くなったよ。」


「おはようございます。ダイゴさん。フィーにとても良くしてもらってます。」


可愛いあだ名で呼びあってぇ〜なにそれー俺もダイって呼んで〜イゴは辞めてね、語呂が最悪だから。


「おう、二人ともおはよう。」


アベルってマカフィーと居ると女の子らしさが増すなぁ。アルスといる時は逞しくて少し男の子にもみえるんだよなぁ。

不思議だ。


「ダイゴさん僕の顔になにかついてます?」


「あぁ、ごめん、君って多面的で可愛いなと思って。」


俺は何も考えず言ってからはっとした。


「あ、あ、ごめん!別に変な意味じゃないよ!」


「いえ、いいんです。照れますね。僕自分では男だと思ってるんですけどそこでフィーも前はそうだったって話で盛り上がったんです。でも今は自分らしく生きてるから男とか女とか関係ない自分なんだって言ってるの聞いてなんかいいなって思いました。」


「おう...そうかぁ。」


「ちょっぴり人と違う体をしてるのにフィーは別にベルはベルだよって言ってくれて。なんかスーッと楽になりました。」


人と違う体?というところが少し気になったけれどあえて突っ込むのをやめた。

「そっか。よかったよ。マカフィーお前もシャル以外に話しやすい友達ができてよかったなぁ。」


「もぉ!ダイゴやハルートだって話しやすい友達だよぉ!?」


「まぁ俺とハルートには理解したくても出来んこともあるかもしれんだろ?」


「んもぉ!なんかその言い方嫌だ!」


話をしているとハルートとシャルも降りてきた。


「おはよーーマカフィー、アベル。」

「マカフィー、アベルさんおはようございます。」


「おはよ!シャル!ハルート!」

「おはようございます。」


ていうかよく考えたらみんな緊張感無さすぎだけど大丈夫か?


「おっはよーさん!みんな!」

最後にいちばん緊張感の無さそうに見える男が降りてきた。

高そうなスーツを着て。


「おはようアルス。すげぇなそのスーツ。」


「まぁな...グレイスのおばちゃんはちょーーーっと厳しいお方なんよ。しゃーないからモーティのスーツも慌てて仕立てたったで。あ、それよりダイゴ!これ昨日のうち用意しといたスマホや。」


アルスはそう言って胸ポケットから水色が買ったスマホを取り出した。

「何かと便利な機能が着いてるんやけど、商会のアプリに関しては後でメールで使い方送るわ。

ただこれは覚えといてな。君しか使えへんようになってるアプリやそもそも君の魔力を意図的に流さへんと使えんような設定にしてるさかいロック解除の時は魔力を込めてつかうんやで。聞く話によれば向こうにもスマホはあったんやろ?多分一緒やと思う、知らんけど。

耐水、耐塵の魔加工施してるさかい丈夫やしとりあえずつこてみて。」


「うわぁ!アルスありがとぉ!」


「感謝の気持ちを込めてギューってしてくれてもええんやでダイゴセラピーや。」

うわっきも!かっこよかったのにほんと台無し気持ちわり...何が楽しくて男同士で抱き合うんだ?理解できん。

まぁ多分こいつの周りにはこいつに抱かれてでもどうにか仕事を取ろうとするやつは男でも女でも居そうだし逆も然り性別関係なく利用できるものは利用してそうだよな。

あ〜おっかね、そういうのに俺を巻き込まないで頂きたい。


「まぁとにかくさんきゅー!アルス!」


「あ、一個お願いしてええか?」


「なんですか?」


「すまん、ヘルペスできてもうた...しかもなちんちんに...すまん、直して。」


あー!こいつもかい!もう本当人をなんだと思ってるんだ!


気持ち悪いし見たくもないので服の上から魔法をかけることにした。

「はぁ...ルメイリス、フィーラル、ルフレ!」


解毒でひとまずヘルペス菌を抑制し上級回復魔法で肝機能やら免疫機能を回復し粘膜部に炎症が酷くならないように衣の魔法をかけた。


俺は医者か?金取るぞ?

「くだらない事で朝から疲れさせんなよな!次からは金取るぞ!いいか!」


俺はすごい剣幕でアルスを睨みつけた。


「そんな怒らんでもええやん。」


「いや〜申し訳ない。我々も朝イチダイゴに治してもらったんです。」


「おたくらもヘルペス!?お盛んやなぁ。」


「ちがうわ!俺は眠気取り!ハルートは解毒で吐き気を止めてもらったんだ!」


「お前らも気をつけろよ〜別に構わないけど。な〜んかモヤッとするんだよね。」


「おう、悪ぃな!ダイゴ!後で一杯おごるぜ!」


「私も甘えすぎだったかもしれません。すみません。」


「いいよ!仲間だからね。こっちこそ、強く言ってすまなかったな。ただアルスお前はもう少し反省してくれ!具合は治してやるけどもっと恥を知れ!ばかたれが。」


「えらいすんません。」


「はい、もうこの話は終了。つーことでみんな準備は終わってる?」


「おう!バッチリだぜ!」

ここ最近ずっと私服だったシャルが鎧を着ている。

やっぱりこっちのがしっくりくるね。

マカフィーも昨日までの可愛い私服からよく見たらローブ姿になっていた。


というかよく見たら俺だけボロッボロの私服で恥ずかしいこと極まりない。


「あのぉ...アルスさん...。」


「なにかね?冷たい男のダイゴ君。」

さっきまでシュンとしてたくせに腹立つなぁ〜お願いごとするの分かった瞬間掌返して来やがった。


「差し出がましいお願いだと存じてますが...すみません、服を恵んでいただけないでしょうか?」


「ふーん?服をね?タダで言うんちゃうやろなぁ〜。」


「只という訳には行きませんでしょうかぁ。」


「さっき自分随分俺に怒ってたなぁ...どうしよかなぁ。」

は〜ムカつく。


「いつでもヘルペスでもクラミジアでも治しますよぉ〜お願いしますって。」


「しゃないな〜。将来稼いで還元してくれるっちゅーんやったら考えんくもないで?」


「もちろんでございます。」


「ほんまやろな?契約書結ぶで!」


「ひぃ...ご勘弁を。」


「ぶっ!冗談や。まってり今倉庫から君くらいのサイズのやついくつか出すわ。」


ハルートとマカフィーは顔を真っ赤にして笑うのを堪えている。


「ぶっは....クラミジアって!!僕でも直せないよあははははははは。」


いや笑いどころそこなの!?


「ククククク...ダイゴ勘弁してください。」


あ〜もう笑ってくださいどうぞ。

はいはい僕はマヌケですはびょーーーん。


「ほれ、これなんてどうや。」

アルスがいつの間にかどこからか取り出したピエロの服を俺に差し出した。


「...。」

もう怒る気にもなれなくて呆れ返っていると準備できていつの間にか座っていたモーティですら吹き出して笑っている。


「お前ら覚えておけよ。」


「あはははは!冗談や。ほれ、こういうんが好きなんやろ?」


アルスはピエロを一瞬でどこかにしまうと今度は俺が好きそうなジーパンにワイシャツっぽい雰囲気の上着を差し出した。


「これこれ!こういうのだよ!それより今どこからどうやってものを出し入れした?」


「企業秘密...と言いたいところやけどストックの魔法を魔学アイテムで再現したものをつこてんねん。君ならストックの魔法くらい使えるやろ?」


「あー!!忘れてた!それ一番初めの頃欲しいと思って魔法だわ。落ち着いたら覚えるわ。思い出させてくれてサンキュ、服もサンキューな。」


手に取ってみるとかなりいい生地だということがすぐにわかった。


「それ氷耐性と防寒魔法かけてあんねん。それでも寒い思うから全員分のコートはもう用意してあんで。Gパンの方は剣で切りつけられても穴があかんほど丈夫に強化魔法をかけてあるさかい。もし物騒なことおこっても安心やろ?」


朝まで飲んでただろうにいつこんなもん用意したのだ?という疑問はさておき俺はさっさと用意してくれた着替えに着替えて元の服をサイナラした。


「よし、みんな用意はええか!それじゃこの人数はさすがに気だけでは散り散りになりかねんな。超高級な転移札で必要な場所までみんなをそれぞれ送り届けるで。それじゃ気術とちごうてチャージタイムあらへんからすぐ飛ぶで〜!さ用意したコート着ぃ〜。

おーしシャルちゃんは鎧やし着れんか!寒ない?お、平気なんやな!OKや!

それ以外は皆着れたな!ほんじゃ行くで!それ!」


アルスが掛け声とともに転移札を掲げた次の瞬間俺たちの視界は灰色になった。

天気は大荒れ猛吹雪のグレイス教団入口だ。



「ルフレ!」

ひとまず、顔が痛いので全員に衣の魔法をかけた。

馬鹿でかい門を潜り敷地内へ足を進めるのとなんだかここからでも分かる重い雰囲気がある。

寺や神社で感じる厳かな雰囲気に近いものかもしれない。

重たい石の扉を開くとそこは教会になっていて祈っている人達が何人かと神父やシスターが何人かいた。


「シャルロッテ!?マカフィルーム!?」

そこに居た面々たちは彼女らの顔を見るなり驚いた顔をしていた。


「遅くなってすみません。ただいま戻りました。父上にお会いしたいのですが今はどちらに?」


「すみません。法皇様はただ今外出中でして、明日にはお戻りになるご予定です。騎士団の方へも挨拶に行かれますか?」


「えぇ...気は重いですが。捉えられたりしないでしょうか?」


「大丈夫ですよ。お戻りになられない場合は強制帰還させると言っていましたがお戻りになられたのですから。」


「はい...。」


「それより先程より一緒にいるそちらの方々は?」

話しかけてきたシスターは俺たちの方をじろりと見る。


「あぁ申し遅れました。私、マカフィルームさんとシャルロッテさんの所属するパーティのパーティーリーダーのダイゴマツカゼと申します。横にいるのは吟遊詩人のハルート、商人のアベルにございます。」


「まぁ礼儀正しい方。よかったですわ。今日までありがとうございました。そしてよく連れて戻ってくださりましたね。」


「シスターベル!折り入ってお願いがあるのですが彼らを僕達の部屋に泊めても良いですか?ほんの数日です。」

マカフィーは恐る恐る、黒い猫獣人の目を閉じたまま喋る優しげな雰囲気のように見えるへシスターへ話しかけた。


「なりません。教会への信仰がある方なら救いの手を差し伸べますが、そうでない方は危険な可能性もあります。

グレイス教の教えでは信じるものが救われるのです。

それにあなたは高位のビショップなのですよ。迂闊に眠るところを他人にみせてはいけません。

そうですね...もし、その方々がグレイス教を信仰しているという証があるのでしたらお祈りをして教会の二階にあるベッドを使いなさい。」


こちらにはなるべく円滑にアルスの依頼を進めるために嘘をつく必要があるな。

俺はすぐさま跪く。

「シスター...私たちはグレイス神様の教えに感銘を受けたものたちにございます。証拠になるものはございませんが、マカフィルームさんの素晴らしい教えに興味を持ちアクアベリーから遠路はるばるやって参りました。信じていただけないのは当然かと存じますがこれからは教会へ趣き神への祈りや感謝を捧げたいと願います。」


「...良いでしょう。信じる子供たちは救われます。ただしあなた達にもし不穏な動きがあった場合は永久にこのグレイス教団から追放します。良いですね?

とうぜんマカフィルームやシャルロッテへも二度と会えなくなると思っていただいて構いません。」


「わかりました。誓います。さ、お前らも跪いて。」

俺は返事した後に小声でアベルとハルートへ囁いた。


要領がいい二人は頷くとすぐに跪いて手を胸に当てた。


シャルはポカーンとしていたしマカフィーは心配そうに俺を見ていた。

大丈夫、きっと上手くいく。


そう言い聞かせるように心の中で呟いて祭壇の近くへ行くと祈りを捧げた。


その後すぐ、二階に上がり客間へと案内された。

緊張したが何とかやり過ごせた。

大部屋を提案されたが、マカフィーが上手く誤魔化してくれて四人部屋になった。

マカフィーとシャルとは一旦別れることになったがスマホで連絡取り合う約束をした。

俺とハルート男二人、女の子一人という形になってしまい、アベルには悪いけど。

しばらく我慢するか、ダメなら商会までフープルで送り時差はあるがグレイスが朝になったら迎えに行くと提案したがしばらくなら我慢してくれるとの事だった。


「...ダイゴさん、まずいんです。よく考えたら。」

魔法カバンから荷物を出し整理していると、アベルが困った表情をして俺たちに話しかけてくる。


「どうしたんだ?」


「ぼく...実は両性具有なんです。」


ん?なんて?

とハテナな顔をしているとハルートがやんわり解説してくれた。


「両性具有というのは...生殖機能がどちらも備わっている方です。そういう方はグレイス教では差別...というか間引きの...対象でしてそのなんというか...。」


アルスゥーーーー!?なんてこったい!

知っててアベルをここに連れていけって言ったの?ふざけんなよ。

となるとアベルをここに置くのは危険すぎる...。

え?待ってそれ以前に両方あるってどゆこと?ついてるってこと??え?え?


「おーい、ダイゴー?戻ってきてくださいー。」


「あ、すまんすまん。ごめん今絶対聞くことじゃないけど両方あるって外見の話?」


「あ...はい。外もそうなのですが子宮や卵巣、精巣なんかもあるんです。大体の両性具有種はどっちが優勢になります。全く五分五分の方はかなり珍しいかも。

僕の場合は...認めたくないですが男性性はかなり弱くほぼ射精とかはできません。ほぼ女性機能が優勢してます。それでも普通の女性よりは生理の日数は期間が空きますし全くもって中途半端な体なんです。」


「なるほどね...。ていうか両性具有は敵視してんのにマカフィーには男性になることを強要したりシャルがそれに合わせてるのは黙認するなんて...めちゃくちゃだな。」


「そうまでして僕が着いてきたのには実はわけがあるんです。フィーと約束したことがあって...。ダイゴさんのそばにいてあげて欲しいと...必ず戻るからそれまでダイゴさんを支えてあげてと。アルスさんは何か考えがあるようでそもそも僕をここにいるように提案したようですし...。それなら僕も簡単に逃げる訳には行かないと思いました。すみません、すごく難しいお願いをします。ここにいる間は僕を男として扱ってください。

そうすれば...おそらくシスターたちの目はかいぐくれます。今、生理が来ちゃっててなんかドジ踏むかもしれないのですが精一杯頑張ります。足手まといにならないよう僕も最大限頑張るので協力させてくれませんか?」


...複雑な気持ちになっているところに複雑な提案がやってきた。

俺にとってアベルはかわいい女の子...でしかない。

両性具有ときいてもどうみても可憐な女の子なんだよ。

それに...風呂やトイレはどうすんだ?共用だよな...。


「ダイゴ、提案なのですが彼女...おっと、アベルがお風呂やトイレに行く時はダイゴがついて行きフープルで商会に戻るのはいかがですか?中に人がいる時は無理かもしれませんがトイレや風呂の中に入っているところさえ不特定多数の獣人に見せておけばそんなに怪しまれないかと。」


...なるほど、それは確かにいいかも。

つーか、アルス...お前何考えてんだ。

ハルートは切り替えが早くて羨ましい。

俺なんてまだどうするか以前にアルスへの怒りが収まらないフェーズにいるわ。


「まあ...仕方ない。やれるだけやってみるか。」


「ダイゴさん、僕嬉しいです。」


手を握ってくるアベル。

俺はパッと手を離してこう言った。


「男同士はこういうことしねーんだ。気をつけろ?」

あー何言ってんの最悪!絶対嫌われる!


「ご、ごめんなさい。」

シュンとするアベルを見て胸が痛んだが、今は癖づけるためにも誰かが見ていない時もアベルを男として扱わないと。


「アベル。トイレは遠慮するな。長丁場になるかもしれないから今行っとくか?今なら来たばかりだし直接商会に戻っても大丈夫だと思うぞ。」


「ええ、そうして頂けると助かります。」


アベルは立ち上がると俺のそばに再び来た。

あまくて女の子らしい香りがする。

ったく...頭がどうにかなりそうだぜ。

「いくぞ、フープル!」


戻るとハルートは本を読んでいた。

しかし、よく見るとただ読書をしている訳ではなく聖書を全て読み漁ってるらしい。


「だいたいこの教団の歴史と背景が掴めました。これなら信者ぶるのに十分な知識を得たと言えます。そういうことで困った時は私が前に出ますのでなるべく三人で行動するようにしましょう。」


こいつの頭のキレ方は普通じゃない。

俺には思いつきもしない詰めの甘かった部分を補填してくれる。


「さんきゅ。」


それから三人で馬鹿でかい教会内を一通り見て回った。

その中には孤児院もあり子供たちが沢山いた。

「...僕の育った孤児院と違ってここの子供たちは幸せそう。よかった。」


アベルはボソッとそう言ったあと子供たちと直ぐにうちとけ仲良くなり意外な情報網になるかもとハルートは感心していた。


俺?いまのところテレポートおじさんです。


「ダイゴ、あのオーブで騎士団の詰所や寮の方へ飛ぶことができるようです。」

廊下を歩いている時にハルートが指さしたのは廊下の奥にある玉座に置いてあるデカめの玉。

魔術で解析したところ、転移の魔法ができるように施されており特定の権限のあるものが特定の場所へ飛ぶことができるものらしい。

ここにあるものは緑色をした翡翠のような石で騎士団の詰所や寮、さらに強い権限の者はもっとやばそうな拷問室や訓練室なんかにも飛べるようになっているみたいだ。


...なるほどなこの教会だけでもでかいが施設はそれぞれに分かれていてるのだがそこは権限のあるものしか移動できないというセキュリティ付きってことね。

おそらく俺らが無許可であれに触れても詰所にすら飛べないかも。


...課題は多いなここにいる間に本当に事件が解決できるのか?

などと唸っていると祈りの時間になった金が鳴ったので俺は二人を連れフープルで教会の祭壇があるエリアに戻ってきた。


そして捧げたくも無い祈りを捧げ終わると自分たちの客間へと戻ってきた。


「...うーん。」

俺がどう動くべきかと頭を捻っているとマカフィーから電話が来た。


「ごめん、今から会える?君たちの部屋に行くからシャルも連れて、少し待ってて。」


「わかった。」


しばらくすると部屋をノックする音が聞こえてマカフィーが中へと入ってきた。


「...僕も僕なりに内部調査をしてみたんだけどダイゴがアルスさんから聞いた通り信仰広める広報チームの一部と聖騎士団の一部...そして騎士団長も悪に手を染めてることがわかった。些細なことの積み重ねなんだけど証拠の資料やらボイスなんかをハッキングしてきたからダイゴのスマホ送っておくね。怪しいお金の動きについての資料も取ってこれたから。

..ただ今回動きすぎて少しみんなに怪しまれたかもしれない。

君たちも多分怪しまれてるから少しの間この部屋で大人しくしていた方がいいよ。」


「すまないな...お前は父親と話して自分のやりたいことを伝えその先どうするかを決めることが目的なのに俺とアルスのことに巻き込んじまって。」



「何言ってんの?客船いた時金持ちの信者に出会って既に気なくささはあったでしょ?多分あれはまだ善良な方で教団の中に信者を騙してるやつやそれを手助けしてる団員がいるんだよ。そういうの仮にも僕が法皇になるかもしれなかったわけだし...。放っておけないよ。善良な人達の為にもね。」


「ありがとう。シャルお前はなにかわかったかい?」


「...騎士団長が奴隷賭博を...しているかもという噂を掴んだ。あくまで噂だけど...。」


「...そうか。」


「...俺の実の父ちゃんだぜ?はは笑えるだろ?」


俺はシャルのその言葉に何も返すことができなかった。

しばらく沈黙が走りだいぶ気まずい状況だったが思い切って俺は聞いてみることにした。


「...なぁごめん改めて聞くんだけどマカフィーやシャルはどうしたい?」


「俺は...わかんないや。俺たちさえ良ければ!って思ってたけれど...噂は噂だけど実際、オヤジの行動に疑念を抱いてたり、それで反乱を起こそうとして拷問にあった仲間がいるという事実で...そんなもん見ちまったら俺がどうにかしてやらないとこの場にいてみんなを守ってやれたら...と思っちまった。俺が団長になればみんなを守れる。」


「僕はやっぱり教団からは離れたい。もちろんね、このまま逃げるつもりはないよ。明日父上が帰ってきたらダイゴも含めて話そうと思う。そしてこの問題を解決の方向へ持って行けたら...その時僕は僕の行きたい道を見つける。」


...。


「なんだか真逆になっちゃったね、シャル。」


「...。」

シャルは複雑な顔をして俯いてしまった。


「大丈夫...いざとなったらアルスも味方になってくれるはずだ。みんなで帰ろう。」


俺にはそれしか言えなかった。


「あぁ。」

「ごめんダイゴ。そろそろ戻るよ。消灯の時間までに寮に居ないとまずいんだ。今夜は疲れたろ?ゆっくり休んで。」


いつもふわふわしてるマカフィーが前のようにシャキッとした喋り方になったのを見て言葉には表せなかったけれど少し胸の奥が痛い気がした。


「わかったよ。ありがとう。気をつけて戻れよ。明日また連絡くれ。」


「うん、おやすみ。ダイゴ、ハルート、ベル!行くよシャル。」


「おう、みんなまたな。」


「おやすみ!シャル、マカフィー。」


二人が帰ると俺たちは事の深刻さに重苦しい雰囲気になった。

とりあえず今日は寝ようということになりベッドに入った瞬間アルスから電話がかかってきた。


「やあやあやあそっちはどうや?上手くやってるかいな?」

調子の良い間の抜けた声に少々腹が立った。


「うまくもなにも!アベルをここに置くのは危険だろ!何考えてんだよアンタ。」


「んふ〜、まぁその件な。それなんやけど君らなら上手くやる思ってな〜。実際どうにかなってんのやろ?それにこういうときアベルは役に立つで〜。」


「はぁ...。で?そっちはどうなの?」


「あぁ、俺らのほうな。おばちゃんとは上手く話ついてどうにかはなったで。タダ、で多分の損益は君ら込みで依頼で取り返すことになってもうた。ちゅーわけで、すまん教団との決着がついたらいくつか依頼をこなして欲しいねん。」


「...片付くも何もまだなんにも話が進んでない。法皇は留守だし黒い噂は広がってるしシャルの決意までにぶり出す始末だよ。」


「は〜そうかぁ。あ、この電話終わったらメールで送りたい資料があんねん。多分少し役に立つはずやから見てな。おばちゃんグレイス教団と上手いこと繋がってて聞き出すのにも大枚はたいてもうたが俺が君に頼んだ騎士団のリストやらは手に入ったで。」


口だけじゃなく行動で固めてくるこの男に対して俺は色々文句があるのにも言うに言えないを作り出してくる。

実に厄介だぜ。


「そうか...ちなみに布教チームに関することはなにかわかったか?」


「あぁその件な。こっちでも色々動いたんやけどいや〜な感じで金が動いとって流行病みたいにいい人と悪いやつがごちゃ混ぜなってんねん。精査するのに時間かかりそうできみらが法皇と話つける方が早いと思うで。」



「...わかった。」


「騎士団でちょっとヤバい感じのことに手を染めてるやつにはマーカー引いといたさかいそいつらには注意してみてな。恐らく俺らが動いてるってのはまだバレてへんけど...。

教団はそいつらの言うことの方を信じるやろうしもし君らがなんかで炙り出されたらここまでの先入が水の泡や。」


「あぁ、わかってる。」


「んじゃ〜あとはええ感じに頼むわ。これからモーティはんとおばちゃんの接待せなあかんねん。緊急の時は飛んでいく境に電話でもなんでもかけてや。」


「あぁ。」


「それじゃあおやすみ〜ダイゴ君。ええ夢見てな〜。」


「はいはい、おやすみ。」

...ていうかさ、俺ってシェフ目指してんだよなこれじゃまるでスパイだ。

まぁすべての道はローマに通ずってことでまずは目の前のことを解決していくしかないか。

はぁ...レストランを開くのはいつになることやら、ルカになんて言おうかね。


「ダイゴ...落ち着いて聞いて欲しいのですが。」

部屋を暗くした後、ハルートは眠りと現実の狭間でぼーっとする俺にそっと話しかけた。


「ん?どした?」


「おそらく...この部屋盗聴の魔法がかけられています。」


うぇっ!?一気に目が覚めて血の気が引いた。


「でも大丈夫です。部屋に入った時点で気がついたので盗聴した内容が教団にとって都合の良い言葉になるよう変換する仕掛けをしておきました。しかし...私の魔力がもう限界で私が眠ってしまったらそれは解けます。

すみませんが私が眠ったら探知をして魔法をかけ直してください。」


「...わかった。教えてくれてサンキューな。ゆっくり休んでくれ。」


....どうもキナ臭いな。

やり方がえげつない。この盗聴になんの意味が?シンプルに信仰しているかどうかを確かめるためだけ...とかでは無さそうだよな。

そうなってくると敵はだいぶ身近にいるのかも。

アルスとの電話は盗聴されないよう商会の暗号魔法がかけられているのでそこは大丈夫だと思うのだが...。


ハルートが寝息を立て始めたのを確認した俺はハルートがかけてくれた魔法の履歴を遡り同じような魔法で常時発動する仕組みにプログラムを書き換えた。

一応、履歴を遡りどんなやつが魔法をかけたのか確認しようとしたが上手くいなかった。


そしてアルスからのメールをチェックし、騎士団のリストにも一応目を通した。

名前と獣種と特徴が載っていたのでそれらをある程度暗記しておいた。


は〜めんどくさ...。まぁいいやもう寝よ。


次の日の朝目を覚まし、念の為魔力探知でもう一度盗聴魔法の履歴を探ったが進展はそんなになかった。

その後、定刻に礼拝をし、室内にある水汲み場で顔を洗っているとマカフィーからメールが入った。


「ダイゴ、父上が帰ってきた。謁見の許可を貰ったからここまで来て。」

添付された画像を見ると昨日みた翡翠の転移石がある場所であることがわかった。


...あ〜やだな。責任重いしマジで行きたくない。

でもこれも仲間たちの為、頑張るしかない。


指定された場所へ三人で向かった。

現地にはシャルとマカフィーがもう来ていた。


「おはよ。二人とも。」

「おはよ、皆。それじゃあ...行くよ。」

マカフィーは指輪をはめなにか呪文を唱えた。

すると石は柔らかい緑の光を放ちそれが強くなる。

光が収まるとさっきのロイヤルブルーの絨毯のとは違う赤い絨毯の上にいた。


「おはよう。子供らよ。」

俺が声のするほうを向くとそこには赤と白のズケットを被り白いローブを身にまとったマカフィによく似た男がたっていた。


俺は咄嗟に跪くとハルートたちも後に続いた。


「おはようございます。法皇様。」


「話は聞いているよ。面を上げたまえ。」


「はっ。」

俺は言われた通り俯いた顔を上に向けた。


「マカフィルームからある程度は聞かされていたが...ダイゴと言ったかな?君の魔力は素晴らしいな。」

...なんのはなし?


「はぁ...。」


「おっとすまないね。君たちと謁見をする前にマカフィールームと話をした。

私は...この息子...もとい娘に随分な無理を強いていたようだと反省したよ。」


このおっさん話せばわかる系?


「ただね...そう簡単にこの子を中にする訳には行かない。それが私たちの掟だからね。

もし...どうしても教団を出たいというのなら通常の形を取るのであれば、君たち...マカフィルームも含めここからは永久に追放という形になる。それくらいの覚悟を持っているのであればこれ以上追求しても仕方の無いことだ。この子魔力が人々の役に立っていることには何ら変わりないと考えた。

だがね...それはあくまで私の父親としての意見だ。

教団というのはご存知の通り私の裁量だけでは測りかねるところがあるのだ。

...教団全体にそれを問うならばおそらく破門では済まされず処刑なんてことにもなり兼ねんと思うのだ。」


緊張と圧といきなり色んな情報を与えられたことでかなり混乱していたが少し話が見えてきた。


「それで...だ。君たちも知っての通りこの教団の一部の物が良くない働きをしている。私も前から知ってはいたが....迂闊に動けば組織全体に混乱が及ぶ。そうなれば救いを本当に求めている人にも当然悪影響が出ると考えていた。」


「おっしゃる通りだと思います。」


「聞けば君たちはマーシェット商会とも繋がりがあるそうだね。

そこをうまく使いたい。

しかし、ことが大きくなれば戦争や国が動くことにもなりかねない為、アルスどのとやらも慎重になっているのかと思う。

つまり君たちはマーシェット商会の使者だということにしたいのだ。

私の方で私の管理下にあるものには君たちのことを全て伝え君たちがもう少しこの教会内で動きやすいように手配するつもりだ。」



「俺たちに引き続き内部調査をしろと?」


「その通りだ。」


「何をどう調べれば良いのですか?」


「まずは聖騎士団のメンバーリストを渡そう。大体の目星は着いているのだが、この中で未だ悪事を働いているのか曖昧なものがいる。それを調べてもらいたい。」


「それならばもう既にアルスが手配し怪しいと思われる者にはマーカーがついた騎士団のリストを持っています。」


「おぉそれは準備が良いな。後で見せてもらおう。

すまん、本題からズレたな。

つまり...君たちが教団の悪事を暴き私は知らなかった体を貫く。

マカフィルームやシャルロッテはこの事実に酷く胸を痛め世界中の本当に困っている人らを自らの手で救いに赴く役割を見つけたということにする。

ここでは大衆に二人の救いの旅は一時的なものだと説明する。

後継者に関しては正直...マカフィルームが逃げ出した時点で私の中で次の目星はつけてある。

それに私はまだこの先長く生きるだろう。

曖昧にしておいて私が死ねば一時的な後継者がいるという形にしておけば時が流れていくうちその一時的な後継者が本物の後継者になっていくであろうと思う人物を私は見つけたのだ。」

厳しい雰囲気なのに優しく笑っている彼はいつの間にか父親の顔になっていた。


「すみません、ひとつよろしいですか?」


「あぁ良いぞ。」


「あなたはシャルやマカフィーを使者を使って連れ戻そうとしていたと聞きました。それはなぜですか?」


「あっはっはっ...いきなりここで会ったお前たちには信じられんだろうが私は普段こんなにも穏やかに喋るようなタイプではないのだ。団員たちの前では教団が全てだと厳しい姿勢を見せている。

それに着いてくるもの達もやはりそれなりに厳しいものたちばかりなのだ。

彼らの前では私もそう接するしかないのだ。つまりは父親としての今の私と法王としての私は別にいるということさ。」


「...出過ぎたことを言ってすみません。」


「良い。実はマカフィルームに対してもこの今のような態度を取るのは初めてなのだ。小さな頃から恐ろしい私を演じて押さえつけてきたからな。

もう十分だろうと思ったのだ。」


「父上...。」


「本当は娘として可愛がりたくて時々それが出てしまうこともあってな。すまなかったなマカフィルーム。」


「....。」


「君たちが最初に出会ったシスター達には君たちの事は伝えておいた。教会に留まるために私がそう言いなさいと言うように伝えたということにしておいた。

あの子らは私の手の及ぶ範囲の者たちだ。安心して良いぞ。」


「....法皇様、ひとつお伝えしたいことがあって。俺たちが泊まらせていただいてる部屋あそこには盗聴の魔法が仕掛けられています。それにはなにか意図があるのでしょうか?対策をしたので盗耳されることはないのですがあまり気分の良いものではありません。」


「...そうか、それに関しては私も分からぬ、すまん。」


「...魔法の履歴を調べれば人物は特定できるはずですが昨日の時点で使用者の履歴が権限付きで隠されていていました。

もしかすると俺やここいるハルートが盗聴できないようにしたというのも相手は察している可能性もあります。

今朝再度掴めるものがないのか見直した時に感じたのは最初に教会いた方々の魔力の気配ではなかったので恐らくシスター様が俺たちを部屋に案内するまでの間にやったものと思われます。

そうすると俺たちが教会に入ったところから部屋に行くまでのやり取りをどこかで監視していたと考えるのが普通だと思いました。」


「ふうむ。」


事態はよりめんどくせーことになり心から巻き込まれたくないという気持ちでいっぱいなのにもう既に事件の渦の中心に俺たちも入り込んでいるため抜けようがないという事実で胃がキリキリする。


「そんなわけでそれも含めた上で教えていただきたいのですが、法王様、これから俺たちは具体的に調査していくのがよろしいでしょうか?」


「少し待って欲しい。

こちらが動けることも今考えている。

そうだな...恐らくだが...騎士団の反乱分子...交錯の魔法が得意なことを考えるにお前たちの部屋の盗聴の犯人はその中にいそうだな...。

布教チームに関しては全体的に一旦動きを止める方向で行く。

今後の動きや徹底した金銭の流れを作る体制を結びつけ国とも連携し法律を帰る動きをしていく。

各地教会に私の直接の管理下にあるもの達を配置し救いを求める者は教会へ行くという流れを作り出し不正がないかを炙り出そう。

問題は騎士の方...聖騎士として有るまじきことをしている連中は吊るさねばならぬ...。

お、そうだ、すまぬがお前たち新人騎士見習いとして王国から派遣されている邸で先入をしてくれるか?それならば今怪しんでお前たちを見ている連中も準備期間だったのかと納得するかもしれん。

アルスどのが書き出したリスト一人一人と接触を測ってみて欲しい。

シャルロッテではその...私情が入りそうなのでな...。」



「わかりました。情報を探ればいいのですか?」


「いや、証拠や情報はある程度揃っている。私が知りたいのは情状酌量の余地があるのかということだ。騎士団は我が教団においても大事な戦力...もちろん基本的には追放または...場合によって死刑になるが、一部脅されたり流されてしまったものもおるかもしれん。その場合は罪を償い再び騎士団として尽くす気があるものは考えようと思う。」


「承知しました。まずは彼らと仲良くなり素性を知っていくということですね。明らかに黒い者はそのまま泳がせておくのですか?」


「ふぅむ。それに関してはもう少しづつは動いている。明らかに黒のものはアルスどのが作成したリストとこちらの情報を照らし合わせて精査した上で尋問を行う。」


「では尋問が始まってから潜入した方が良さそうですね。」


「うむ、その通りだ。それまでにそなたらには騎士のイロハをある程度学んでもらいたい。座学だけで構わぬのでいくつか講習を受けて欲しい。」


「わかりました。」


「色々とすまぬな。我々の事情に付き合わせてしまって。」


「いえ、二人のためですから。」


「ほっほっ...良いの仲間を持ったのう、娘よ。」

法王のその言葉にマカフィーは照れた顔をした。


「騎士団長...つまりシャルロッテの父...とその近辺の側近は今日あたり秘密裏に捉えていく。情報が漏れてしまえば色々ごちゃごちゃしてしまうので、間違いなく黒い者だけを同時に捕捉していく。これには教会の技術を使うのでそなたらの正体がバレることは無い。

ちなみに複雑だが、マーシェット商会の回し者の体を装いながら騎士団に潜入する王国騎士を演じてもらわねばならぬ...本当の正体は絶対に明かしてはならぬぞ。」


俺は、マーシェット商会の回し者の体を装って王国から派遣された新人騎士を演じる転生者の料理人ダイゴという自分でも頭がパンクしそうな肩書きを手に入れた。


「わかりました。」


「君たちの未来とこの教団の存続がかかっている。くれぐれも頼んだよ。」


プレッシャー与えてこないでよ!

今宿題やろうと思ったのに!って気持ちになるから!

俺、言われなくてもやるタイプなんで...。

とはいえ今回のことは相当考えることも気をつけること多い。

大丈夫なのだろうか。


その後、解散になり座学が始まるまでの間つかの間の自由時間を貰った。


マカフィーやシャルは自分たちでも調べられるだけ調べると寮に戻って行った。


「すまないな。こんな大変なことになって。特にアベル本当に巻き込んでごめん。」


「大丈夫ですよ。騎士の転がし方なら僕は心得てますので情報なら上手く掴めるかと。」


にっこりと不敵に笑って髪をかき上げるアベル。

何それ!ヤラシイ!


「ふふっ...必要あれば体も使います。でも安心してくださいね。虜にさえさせてしまえば僕の体のことバレても喋らないように操るのでふふっ...元娼年の腕の見せどころですね。」


...逞しっ!えろ!逞しい!てか、エロッ!

煩悩退散!


「あまり無理はするなよ?」


「はい。せっかく新人の騎士としてデビューするなら指導係は手玉にとりたいな〜。府ふっ。」

あーこわいこわい何も聞かなかったことにしよぉっと。


大人しくて生娘風なのかと思ったらとんでもないな。

ハルートは呑気に髪を梳かしてるけど大丈夫?状況わかってる?


「ハルート?」


「あぁ、すみません。騎士としてデビューするなら少し髪を短くしないといけないと思いまして...。」

ハルートの髪は今は背中位の長さで美しく銀色に輝いてる。


「吟遊詩人に必要な月の魔力を染み込ませているので切ってしまうと私はさらに弱くなりますが役にてると良いのですが...。」


「シャルだって長い髪してんだしそこまで切らなくても大丈夫だろ?」


「そうだと良いのですが...。」


明日から座学を二日ほど行いすぐに潜入ということになる。

いよいよスパイを通り越して外交潜入捜査官になった気分だ。

あーあ、神様俺ってこういうことするためにこの世界に生まれたのかい?

これで料理人として何も成せず死んだら今度こそ許さないからなー!

次回からは騎士団に潜入します。

なんのジャンルなのかって?

最初から一貫してお料理ものですよ。



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