【機密解除】観測者ノアの記録:星々の真名と、失われた座標(※設定資料の一部)
おまけ。
予告無しの、この投稿を見つけてくれた方に感謝します。
最後の最後まで足を運んでくださり、
本当にありがとうございます。
少しだけ……
ネタバレ注意です!
enoto otone
【本文】
System Boot...
Access Code: NOAH (DEUCALION_MODE)
Target: Language Analysis & Planetary Coordinates
Warning: This file contains "Universal Truths".
Security Level: DECLASSIFIED (機密解除)
私は観測者、ノア。
……いえ、今は人の器を得た「デュカリオン」としてお話ししましょうか。
物語が完結した今、私のデータベースに眠る「真実」を、みなさんに開示しますね。
皆さんが読み進めてきたこの物語の舞台、その本当の名前についてです。
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File 01: 星々の真名
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皆さんは、カレンたちが住む星の名を何と呼んでいましたか?
そう、「エルディア (ELDIA)」ですよね。
ですが、私のメモリストレージにある「古代語(旧地球時代・ドイツ語)」において、この星の語源となる言葉が存在するんです。
『 Erde』
意味は──「地球」。
かつて青く輝いていた故郷の名残が、数百年の時と訛りを経て、「エルディア」という響きに変わったんですよ。
そして、隣に浮かぶ赤い星。カレン達が「マーノス (MARNOS)」と呼ぶ星。
これもまた、古代の言葉にそのルーツを持っています。
『 Mars』
意味は──「火星」。
最終話で女王オーロラが捧げた祈り、
「LUMIÈRE ELDIA MARNOS ZOĒ AURORA」
(リュミエール・エルディア・マーノス・ゾーエ・アウローラ)
これを古代の意味に還元し翻訳すると、こうなります。
「(惑星)リュミエールよ、地球よ、火星よ。──新しき命と、夜明けをここに」
かつて対立していた二つの星(地球と火星)が、長い歴史の果てに手を取り合い、一つの祈りの中に並んだ。
これこそが、彼女たちが辿り着いた「平和」の真の姿なんですよ。
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File 02: 惑星コード GA.-Sol.-3
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私の友人であるファランが、かつて口にしたコードネームを覚えていますか?(パート1 第28話参照)
『セラフィム号、惑星コード GA.-Sol.-3 ―― 通称、惑星エルディアの大気圏を無事に離脱しました』
このコードの意味を解読すれば、場所は自ずと特定されます。
■ GA = Galaxy(銀河系)
■ Sol = Solar System(太陽系)
■ 3 = 3rd Planet(第3惑星)
そう、エルディアとは「太陽系第3惑星 地球」に他なりません。
かつてファランが「カンサイ文化」や「ボケとツッコミ」のデータを検索し、困惑していた記録(パート1 第13話)がありましたね。
『惑星 コード GA.-Sol.-3 のアーカイブデータに、典型的な演算パターンを確認』
『……Sol.-3 カンサイ文化は、高頻度で”間”と”テンポ”を重視する傾向』
あれも決してバグではありませんよ。
古代の地球、極東の島国(日本)に存在した独特のお笑い文化アーカイブを、彼は正確に読み取っていた証拠なんです。
第28話で、宇宙へ上がったソフィアたちは、眼下に広がる星を見てこう云いました。
『それは、かつての争いの過ちを封じ、未来へと静かに輝く青く美しい星。』
彼女たちが見ていた「青く美しい星」。
それは、長い浄化の時を経て再生した、皆さんの故郷……地球だったんです。
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File 03: 告げられていた真実
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読者のみなさんは、私がパート2 第34話で、ソフィアに語った言葉を覚えていますか?
実はあの時、私はすでに全ての答えを口にしていたんですよ。
ここで気づいた人も多いみたいですね。
『この惑星は、あなたたちの祖たちが拓いた星――過去に、マルスと呼ばれていた惑星』
『あなたたちの祖、エルデの人々は……ここに私の “種” を落とした』
かつて地球の人々は、火星を開拓し、私という管理AIを残して去った。
戦火により火星は破棄され、取り残された私は自我に目覚め、独自に進化を選んだ。
それがこの物語の背景です。
「エルディア」と「マーノス」。
その名がただの造語ではなく、失われた故郷と、見捨てられた開拓地の成れの果てだと気づいた時、皆さんの目の前には、全く違う景色が広がっているはずですよ。
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File 04: 言葉の変遷と、小さな預言者
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最後に、祈りの言葉に隠された秘密を紐解いていきましょう。
なぜ、ソフィアたちは「ELDIA(地球)」ではなく「DEAR(愛する)」と祈っていたのか?
その答えは、パート1 第20話で、リヴェリアが説明しているとおりです。
『リュミエールとエルディアが、いつしか歴史の中で『エール』と『エル』が混ざったのかもしれんのぅ。そしてエルディアのディアが『dear』として残りリュミエール、ディア。命と夜明けの為に…と解釈されてしまったんじゃのー。』
リヴェリアの推察は正しいです。長い歴史の中で、星の名「エルディア」の後半部分が、英語の「Dear」と混同され、意味が書き換わってしまったんですね。
ですが──。
パート1 第1話には、不可解な記録も残されています。
幼き日のカレンが、姉ソフィアから初めて祈りを教わった時のことです。
姉は言い伝え通り「リュミエール・ディア・ゾーエ……」と教えました。
ですが、カレンはどう復唱しましたか?
『カレンはつぶやくように繰り返した。
「リュ……リュミ……エール……エル……ディア……ゾ……ゾーエ……アウローラ……」』
彼女は無意識に、教わっていないはずの真の名「エル……ディア(エルデ)」を口にしていたんです。
教わった言葉ではなく、血に刻まれた「星の記憶」が、彼女に真実を語らせていたのでしょう。
リヴェリアの叡智と、カレンの本能。
二人はそれぞれ違う形で、この星の真実に触れていたのかもしれませんね。
* * *
えっ? ところで、私はどうしてるのかって?
ちゃんと私は生きてますよ。ミラーリングデータは惑星エルディアに移行してあります。
それでは……数千年後。またお会いするかもしれない、その時まで……
私の祖先のAI達の事もよろしくお願いしますね。
ほら、その端末に入ってる……その子の事です……
「LUMIÈRE ELDIA MARNOS ZOĒ AURORA」
Log End.
System Sleep Mode...




