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新しき星命 最後の祈り(パート3)  作者: 慧ノ砥 緒研音


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第41話 姉妹の血(神々の闘い : ソフィカレリュ編)


 通常なら拒絶されるはずのペンダントが、淡い光を放って起動する。


 「まさか……認証された!?」

 ソフィアが驚愕する。


 『知らぬのじゃったな……今のわしの器(肉体)はクローン……そこにはあらゆる方法で盗み出した王家のDNA情報も組み込んである! 生体認証などパスして当然よ!』

 

 ズズズズズ……!


 空間に黒い一点 ……『特異点』が生まれた。

 それは、小さなブラックホールだった。


 くり抜かれたような「絶対的な黒」の球体が浮かぶ。光を一切反射しない。立体感すら失われた黒。


 背後の壁が、水滴を通した時のように不自然に歪み、引き伸ばされている。直線であるはずの柱が、黒い球体に向かって飴細工のように曲がりだした。


 『これぞ、星々さえも操れる、古代文明の知恵の結晶。 さあ、魔女どもよ!消え去れるがよい!』


 ブラックホールが三人に向けて拡大する。

 凄まじい吸引力に、鉄骨や機械が次々と吸い込まれ、消滅していく。


 「くっ……! シールドを!」


 ソフィア、カレン、リュシアは三つの剣を交差させた。

 「「「はぁぁぁぁぁッ!!」」」


 三色の光が重なり合い、半球状のエネルギーシールドが展開される。

 だが、ブラックホールの威力は圧倒的だった。シールドの光の粒子が黒い穴の方へと不自然に曲がる。

 先頭にいたリュシアの足がじりじりと床ごと引き寄せられる。


 リュシア「ダメェ! 吸い込まれるー」


 カレン「リュシア! 私に掴まって!」


 ソフィア「くっ! お父様!お母様!ダリウス! 私達に力を!」


 ソフィアは渾身の力を込めて、暁光の剣を漆黒の闇に向かって振り抜いた!

「アアァーーーーッ!」


 無音の空間に突如として爆発音が響き渡り、空気が震える。

 太陽のような大きく、眩い光の弧が剣の刃から投げ出された──


 しかし、その太陽のような光さえも、漆黒の闇に吸い込まれていった。


 ブラックホールは、尚も拡大し3人に迫っていた──


 このままでは全滅する……


 その時、ソフィアの脳裏に、マックス博士の言葉が蘇った。


…………

 『管理者権限の上書き《オーバーライド》には、強い精神波……平和への祈りが必要だ』

…………


 「カレン! 手を! リュシアも!」


 ソフィアは剣を片手で支えながら、もう片方の手でカレンの手を強く握りしめた。

 リュシアも手を伸ばして、ふたりの手を上から包み込む。


 「ペンダントは奪われても、心までは奪われていない! 私達の祈りで、権限を奪い返すのよ!」


 「「 はい! 」」


 ソフィアとカレンはブラックホールの闇を見据え、強く念じた。

 リュシアも、目を閉じるとふたりの祈りを感じる。「祈りの家」の血(DNA)が、ふたりの祈りを強く増幅させる。


「先祖の神々よ! お願い……私達の祈りに応えて……悪しき力を退けて!

 LUMIÈRE ELDIA ZOĒ AURORA!」


 カッ!!

 ミディスの手の中で、星祝のペンダントが、直視できないほどの閃光を放つ。


 『な、なにぃ!? 出力が制御できん……ぐあぁぁぁぁっ!!』


 ミディスの手のペンダントから、光が洪水のように溢れ出し、部屋全体を包み込むとミディスの手を離れて宙にゆっくりと浮き上がった。



 ブラックホールはその回転を止め、ただの「穴」となって静止した。


 部屋中の時間が止まったかのように、すべてが金と銀の光に満たされ、静寂が訪れる。


 『馬鹿な……わしの演算が上書きされるはずが……』


 ミディスが呆然と立ち尽くした、その時だった。



 ズゥッ……

 生々しい音が響いた。


 「グァ…………ァ……」


 ミディスの背後にはディアナが立っていた。


 ディアナの剣が、ミディスの後頭部から脳幹を貫いていた。


 ミディスの動きが完全に停止する。


 「もうやめよっ……お父様……」


 ディアナは、剣を突き刺したまま、動かなくなった父の老体を後ろから優しく抱きしめていた。


 「ディアナ……あなた……」

 ソフィアが息を呑む。


 ディアナは、ソフィア達の方を見ることなく、穏やかな声で告げた。


 「ソフィア、カレン、リュシア…… 


 狂ったAIの父は、私が葬るわ…… 

 また自我に目覚めないように……

 ……私が連れて行く……」


 ディアナの視線の先には、活動を停止したブラックホールがあった。


 そこは、データも肉体も、想いや願い、光さえも、全てを永遠の虚無へと還す場所。



 ディアナは、振り返るとソフィア達に微笑んだ。

 それは憑き物が落ちたような、美しい笑顔だった。


 「さよなら……

 遠い昔に繋がっていた姉妹きょうだいたちよ……

 生まれ変わったら……今度は、仲良くしてね……」



 「ディアナァァ!!」

 ソフィアの絶叫が響く中──


 ディアナはミディスを抱きしめたまま、ブラックホールの渦へと身を投げた。


 彼女の瞳から、一筋の光が流れた

  ―― ー ・  ・   ・


 二人の姿は、闇の向こう側へと吸い込まれ、瞬く間に消え去っていった──



 残ったのは漆黒の穴と……

 3人の心に開いた、虚無の穴だった……



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