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新しき星命 最後の祈り(パート3)  作者: 慧ノ砥 緒研音


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第29話 聖女報復(女神奪還 : ソフィア編)


 グラナディア王国、城跡──


 グラナディア軍のユニコーン型《Unicorn-287》の群れが、一斉にその胸部ハッチを展開した。

 次の瞬間、無数の銃口からガトリング弾が吐き出される。


 空気を震わせる轟音と共に、紫色の重力波を纏った光弾の嵐がレオンたちを襲った。


 「くっ! 数が多い……!」


 レオンとリュシアは、城の残骸である崩れた壁の背後へ滑り込む。

 激しく削り取られる石壁が悲鳴を上げ、視界を遮るほどの粉塵が舞い上がった。



 絶体絶命のその時だった。煤けた空を切り裂き、鋭い銀色の翼がきらめいた。


 旗艦セラフィム号より発進したエルディアの古代兵器、鳥型《Aquila-687》だ。

 鋼鉄の鷲を模したその強靱な脚には、直径五メートルに及ぶ巨大な銀の球体が掴まれていた。


 キィィィィィン……!

 高周波の駆動音を響かせ飛来した 5 機の《Aquila-687》が、上空からその球体を投下する。


 落下する銀の球体は、空中で複雑な変形機構を駆動させ、重厚な金属音を立てて展開した。


 ズズーン!!

 凄まじい地響きと共に、八本の鋼鉄脚が大地へと突き刺さる。衝撃で石畳が砕け、分厚い砂塵が爆ぜた。


 煙の中から立ち現れたのは、二つの巨大なハサミと、天を突く尾を持つ異形の影。


 エルディアが誇る重装古代兵器、蠍型《Scorpius-26C》である。


 《Scorpius-26C》は着地と同時に両腕の鋏からマイクロミサイルを一斉射。

 爆炎で敵軍の進軍を食い止めると、すぐさま背中の尾を高く掲げた。その先端に備わった砲身へ、禍々しいまでの紅蓮のエネルギーが収束していく。


 ──ジュッ! ボォォォン!

 放たれた高出力レーザーが、一直線に敵陣を薙ぎ払った。

 紅い閃光は敵機《Unicorn-287》の厚い装甲を紙のように容易く貫き、次々と爆散させていく。

 蠍型は多脚を駆使して瓦礫の間を縦横無尽に移動し、的確な砲撃で敵を蹂躙していった。


 その時、爆炎を切り裂いて 5 筋の影が宙へと舞い上がった。

 背中にスラスターウイングを展開したグラナディア軍の新型機、《Unicorn-288》だ。

 遥か上空からレオンたちを発見し、急降下体勢に入る。


 《Aquila-687》が応戦し、翼下からビームカッターを放つが、新型の圧倒的な機動力に翻弄される。


 だが、その刹那──。

 戦場から遥か後方、2 キロメートル先の上空。

 静止ホバリングする浮遊型バイクの上で、ユリスが長距離ライフルのスコープを静かに覗き込んでいた。


「俺の獲物は……逃がさないよ」


 短く呟き、引き金を絞る。

 音もなく放たれた蒼い光弾が、《Unicorn-288》に跨がるアンドロイド兵の頭部センサーを寸分違わず射抜いた。

 火花を散らし、人形のように空中で崩れ落ちる敵兵。主を失ったユニコーンは、ただの鉄塊と化して墜落していった。


 それを合図に、新たな影が戦場へと舞い降りる。


 「遅くなりました、レオン殿!」

 重力ホバー『ミズグモ』を装着し、壁面を自在に跳ね回るハヤセ。そして重力ホバーボードに乗り、風のような速さで戦場を滑走するナギサだ。


 さらに山側からは、ガルス率いるリュミエール・エルディア連合軍が、セラフィム号から発進した装甲車で駆けつける。


 ハヤセ『ここは俺たちが抑えます! お二人は早く地下へ!』

 

 レオン『頼んだぞ、ハヤセ隊長! リュシア、行くぞ!』


 リュシア「はい!」


 二人は援護射撃の隙を突き、砲火が薄くなった城跡を駆け抜ける。


 崩落した瓦礫の山に、地下へと続く黒い亀裂を見つけた。

 愛馬から飛び降りると、二人は吸い込まれるように地下通路の闇へと消えていった。


 

 地上では、反撃の狼煙が上がる。


 セラフィム号から展開された無数のドローンが、ファランの電子制御によって完璧なフォーメーションを組む。


 『解析完了。ジャミングウェーブ、照射します!』

 放たれた強力な妨害電波により、アンドロイド兵たちの連携が乱れ、その動きが不自然に鈍った。


 その隙を、リュミエール軍のバルドとマグナスが見逃すはずもなかった。


 「食らえぇっ!」

 二人が構えたロケットランチャーが火を噴き、密集していた敵騎兵隊をまとめて粉砕する。


 混乱する敵陣の中、ハヤセが『ミズグモ』で跳躍しながら『シュリエン』型グレネートが空を切り裂くと、アンドロイド兵の赤いセンサーを破壊する。

 続けて二丁拳銃を乱射。正確無比な早撃ちが、アンドロイド兵のセンサーを次々と撃ち抜いていく。


 そしてナギサが、ボードから飛び降りざまに双剣を抜いた。


双刃顕現そうばけんげん!」

 ナギサが舞うように回転すると、刀身から蒼い真空の刃が巻き起こった。

 美しくも鋭い『青い凪風』は、触れるものすべてを断ち切り、アンドロイドの群れを砂の人形のように崩壊させていく。

 その双刃は、まるで二体の龍神が竜巻を起こしながら宙を舞うようだった。


 「隊長の仇だ! エルディアの意地を見せろ!」

 ガルスは負傷した左手を顧みず、形見の剣を振り抜いた。エルディアの兵士たちもそれに続き、落馬したアンドロイド兵を次々と切り伏せていく。


 * * *


 一方、城跡の混乱を制圧せんと上空を進軍するグラナディア軍艦隊。


 停泊中のケルビィム号を標的に定めたその時、山の裏手に潜んでいたセラフィム号が急上昇し、敵の背後にまわった。


 艦橋に立つソフィアの白いマントが激しくひるがえり、金髪のショートカットが風に揺れる。

 そのアクアマリンブルーの瞳には、毅然とした決意が宿っていた。


 ソフィア「主砲セラフィム・ブラスター充填! 連続砲撃用意! 目標、グラナディア艦隊!」

ミレイ「エネルギー120%、充填完了!」


 ソフィアは眼前に広がる敵艦隊を見据え、凛とした声で言い放った。


ソフィア「ゲートを抜けた直後の、後方からの卑劣な不意打ち……。その報復よ! 撃てーーっ!」


 セラフィム・ブラスターの青白い閃光が、グラナディアの空を真っ二つに貫いた。


 放たれた壊滅的なエネルギーの奔流は、敵艦の装甲を次々と引き裂き、空に巨大な火華を何十個と咲かせていく──



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