第26話 苺色の髪(敵陣の懐 : ソフィア編)
エルディア王国 謁見の間──
ソフィア「エルザ……ちょっと二人だけで話がしたいわ。 そうね……一旦、休憩にしましょう。 皆、食事もとってなかったわね。 食べれるうちに食べておきましょう。 3時間後に、皆ここに集まって」
* * *
ソフィアとエルザは、戦術の打ち合わせを詰めていた。
ハヤセは、セラフィム号の各装備品の武器庫をチェックし、主砲ブラスターの制御センサーを確認していた。
ユリスは、ハヤセの手伝いが終わると、個室に籠もりブラスターライフルを分解して整備していた。
ナギサは、艦の自動修復機能をチェックし、進捗を皆に共有した。それが終わると、城の庭園で精神統一をするように《凪刃》を振っていた。
軍中隊長のガルスは、骨折した左腕を固定したまま、サディスの形見となった剣を磨いていた。
エルディア軍の兵士達は、リュミエール軍のバルドとマグナス達とともに射撃の練習をしていた。
マックス博士とオラクルは、城を取り囲んでいる蟹型が放つシールドをチェックすると、ソフィアのDNA信号の発信機を作成していた。
ミレイとファランは、狼型の制御コントロールに成功し、外装をカスタマイズしていた。
作業が終わるとミレイは、城の食堂、隣のティールームでチーズケーキを、ひとり頬張っていた。
チーズケーキの4つ目をおかわりしようとした時、集合の時間となる。
再度、リュミエール、エルディア連合軍は《謁見の間》に集合した。
* * *
ミレイ「あれ、ソフィア陛下は?」
ハヤセ「遅いね。 いつも時間前には一番に来てるのに……」
ドアが空いた。
「ごめん、ごめん。 戦闘服に武器を隠してたら、遅くなりました……」
マックス「ソフィア……陛下……?」
ストロベリーブロンドの髪はきらめき、リュミエール王国、女王の専用軍服を着ていた。
白銀のドレスのような輝きに、虹色の装飾が輝く。
肩にはリュミエール王国の紋章の翼があしらわれていた。
その姿は凛々しくも、高潔で気品高いオーラを放つ。
ハヤセ&ユリス「女神だ── ❤……ん?」
ナギサの隣に座って、うつむきながら端末を操作していた、エルザ(?)が急に声を出して笑った。
その笑い声に、振り向いたナギサは、珍しく驚きの声をあげた。
「えっ!?」
皆がエルザ(?)を見る。
髪の毛はショートカットで金髪。
しかし、その瞳はアクアマリンブルーに輝いていた。
ミレイ「ソフィア?……髪の毛は?」
エルザ(偽者)「切ったのよ。 ついでに染めてみた! エルザの髪色にねっ」
ミレイ「え──!」
エルザ(偽者)=ソフィア(本物)「切った髪は、エルザのウイッグに使ったわ。 エルザは私の作戦を快く引き受けてくれたの」
エルザ(本物)=ソフィア(偽者)「当然です。 ソフィア陛下の《影武者》は、私にやらせて下さい。 陛下のお顔は、敵にばれていないようです。 しかし、容姿は噂で他の惑星まで知れ渡っていますから」
エルザのメイクを真似たソフィアが、笑いながら言う。
「皆が一瞬、エルザを見ても数秒間は気付けなかった雰囲気だったわね。 あとはエルザが、カラーコンタクトをしてくれれば完璧だわ。 この影武者作戦いけそうね」
謁見の間のドアが開いた。
ファランが白い犬と一緒に入ってきた。
『ソフィア陛下……狼型のカスタマイズ終了しました。 って……あれ?』
『私はエルザよっ。 陛下は、あちらに……』
ファランは、その場で青ランプを点滅させながら、回転し始める。3周回ってやっと状況を理解したようだ。
ファラン『あらためて報告します。 ソフィア陛下、狼型カスタマイズ終了。 ノアからの武器も準備できました。 狼型の背中には、ご指定の装置が隠してあります。 少し太った狼型になってしまいましたが……違和感ないように、ペットらしく白のコーディネートに変更しました』
ミレイ『うん。 犬型アンドロイドに見えるけど……なんか……スパ○ファミリーに出てくるワンちゃんみたいね』
エルザ『じゃあ……名前は、ボンドねっ!』
犬型(狼型)がミレイとエルザに向かって、返事をするように吠えた。
具体的戦術の打ち合わせは、暗号化通信にてレオンとリュシアを交えて、期限の時間ギリギリまで続いた。
* * *
数時間後、エルザは小型カメラ付きのアクアマリンブルーのコンタクトレンズを装着すると、DNA発信機を仕込んだペンダントを首からかけた。
馬型アンドロイドに跨がると、ストロベリーブロンドの髪をなびかせて、エルディア城を後にした。




