第25話 銀色の毛(敵陣の懐 : ソフィア編)
グラナディア王国への無条件降伏署名の期限まで、あと11時間──
エルディア王国──
ソフィア達は、エルディア城、謁見の間で作戦を練っていた。
ソフィア「カレンが人質になってるなんて……私が行くしかないわ」
ミレイ「行ってどうするの?……交渉で納得させられる相手とは思えないわよ」
ハヤセ「無条件降伏は、絶対のめない。 奴らは、あの条約の内容さえも守る奴らじゃない!」
マックス「敵は、ひとつの惑星を滅ぼす戦力を享受している。 正面からは戦えないですな……」
ソフィア「ええ、正面からは無理です……奇襲攻撃しか勝ち目は無い」
ナギサ「奇襲攻撃……どうされます……?」
ソフィア「署名すると見せかけて、城の内部に入り込んだ私が、暴れると同時に皆で城へ攻め込む……問題は、どうやって攻め込むか……」
ミレイ「ソフィア陛下。 ダメよ。敵の城に入った途端に拘束されたら……そんな事を平気でやる連中だわ」
ユリス「カレン陛下もソフィア陛下も……奴らに拘束されたら、エルディアもリュミエールも終わりだ……」
エルザ「ソフィア陛下を、単独で敵の中枢に行かせる訳にはいきません!」
ファラン「わたしが囮になります……
ソフィア陛下のDNA信号を発信すれば、城に潜入出来るでしょう。 敵は、90%以上がAI制御されているようです。 兵も90%がAI制御のアンドロイドです」
ナギサ「ちびちゃん……今回は無理よ。3Dフォログラムでも360度は誤魔化せないわ。 もし、アンドロイド兵の目をくぐり抜けて、城の中にはいっても、ミディスの前に出たら即バレよ」
その時、ファランが信号をキャッチした。
青いランプが点滅する……
オラクルが報告した。
『緊急連絡……! エルディア城にマーノスからの使者と名乗る信号が接近中……アンドロイドです!』
ミレイ「ファランは何? 今、何か言い出さなかった?」
ファラン「オラクルと、同じ内容です……」
ミレイ「報告が、……3秒遅いわ!」
ミレイがファランに微笑んだ。
「でも、ファランのDNA信号を偽装発信する案は、使えそうね……」
数分後──
謁見の間のドアがノックされた、
エルディア軍の門兵だった。
「しゃべる 《狼》が来ました! ノアを名乗っています!」
門まで、ハヤセ、ミレイ、ファランそしてエルザが確認に走った。
門の前で、その狼型アンドロイドは座っていた。同じ内容を何度も繰り返ししゃべる。
音声データが繰り返し流れていた。それは、少年のような少し幼さの残る声だった。
『ソフィア様 AIノアです。
グラナディア王国は驚異的な軍事力で猛威を振るうでしょう。
ソフィア様の命が危険です。
この狼型と口に咥えているカプセルの兵器をご使用下さい。
いずれも、生き残っている最後の私の兵器です。
制御プログラムは、いずれもこの狼型にすべて入っています。
エルディア王国の古代兵器に潜入できたファラン様か、マーノスで古代文明の解析をしたオラクル様なら、解読しコントロール出来るようになるでしょう。
私はこれから、最後のミッションに取り掛かります。
またお会い出来る事を信じています。
LUMIÈRE ERDE ZOĒ AURORA ……』
* * *
謁見の間の隅で、狼型が座っている。
ファランが、狼型と信号で会話をしていた。
ソフィア「戦術を練り直しましょう……ノアの助けを無駄にはしないわ」
机の上には、狼型が加えて運んだカプセルが置いてあった。
中は黒くて、何が入っているか、今は判らなかった。
ソフィア「オラクル、ここからグラナディア城まで、セラフィム号の最高速度で何分かかるのかしら?」
オラクル『機体を垂直離陸し、宇宙空間に抜けます。グラナディア上空で再突入し、音速を超えて急降下すれば2分です』
ソフィア『ミレイ、私のDNA信号を発信装置として作成するとして、大きさはどれくらいになるの? なるべく小さいのがいいわ』
ミレイ『そうね……たぶん手で握れるぐらいには出来ると思うわ』
マックス『6時間で作れますよ。 陛下』
その時、ファランの青ランプが光った。
即、報告する──
「皆さん! レオン様です! レオン様から通信です!」
《謁見の間》は、しばし歓喜の渦がまいた。
レオン「エルディア王国の上空の、敵の大型戦艦。 そちらを我々で奇襲します。 合わせて、グラナディアは、この艦ケルビィム号の存在を知らないはずだ。 作戦決行の時まで、存在がばれないようにします」
ミレイ「エルディア城、上空の艦を叩いてくれるだけで、この作戦の成功確率があがるわ!」
ソフィア「光が見えてきた。 カレンを絶対救出する!」
ソフィア「そうだわ! エルザ……ちょっと二人だけで話がしたいわ。 そうね……みんな、一旦休憩にしましょう。 皆、食事もとってなかったわね。 食べれるうちに食べておきましょう。 3時間後に、皆ここに集まって」
ミレイのお腹が鳴った……




