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新しき星命 最後の祈り(パート3)  作者: 慧ノ砥 緒研音


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第21話 智の天使(希望の艦 : リュシア編)


 惑星マーノス上空——


 大気圏の外を、白銀の巨艦ケルビィム号が疾走していた。


 レオンは、古代文明の航路データとAIノアの残した最新の航路データをモニターでチェックしていた。

 

 ゲートを通らなければ、エルディア王国には1週間かかる。

 エルディア王国やカレンの身を案ずるレオンには、そんな時間的余裕は無かった。


 モニターをチェックするレオンの群青色の瞳が、わずかに輝いた。彼は、頷きながらリュシアを見つめた。


 艦橋で、リュシアが不安げに声を上げる。

 「レオン様…… このままセラフィムゲートを使えば、出口でグラナディア軍に待ち伏せされないでしょうか。 敵はゲートを使っていたようです。 通過の信号を監視しているかも……」


 レオンは、操舵輪から手を離し自動操縦に切り替える。デュカリオンから託されたデータをモニターに映し出した。


 「俺もそれを考えてた……。 大丈夫だ、リュシア。 デュカリオンが最期に教えてくれた。 我々の祖先は、もう一つ……『影の道』を用意していたんだ」


 レオンがモニターの画面を切り替えた。モニターにフィルターがかかったように色が変わる。

 何もない宇宙空間に、漆黒のリングが音もなく浮かび上がった。


 光り輝くセラフィムゲートとは対照的な、闇に溶け込むような輪。


 「セラフィム(光)の対となる影……『ケルビィム・ゲート』だ」


 「ケルビィム……ゲート……?」


 「なぜ、ゲートの名前を古代文明の時代から『セラフィムゲート』と呼んでいたのか?

 ずーと、ひっかかってた。 リュミエール王国に隠してあった艦と同じ名前になぜしたのか?

 最初は、リュミエール王国からの航行を主眼として作られたのではないか? そして、何かと区別する為の名前だったのではないか? そう思ってた。


 ケルビィムゲートは、惑星マーノスを起点とする航行の為のゲートだ。

 基本、この船……ケルビィム号の識別信号が優先されるのだろう。


 将来のマーノスが発展した時の王家の為に作られた訳だ。

 

 航路図をみると、惑星エルディアにも通じている。

 ここを通過すれば敵に気づかれず、エルディアの懐へ飛び込める!」


 リュシアの不安な顔が晴れた。



 ケルビィム号は、黒い輪の中へと滑り込んだ。

 光のトンネルではない。影の中をすり抜けるような感覚。


 リュシアは、第2艦橋にいる子供達を寝かしつけていた。


 * * *


 

 そして──3時間後……

 惑星エルディア── 衛星エレーネの裏 

 

 漆黒のトンネルから白銀の巨艦が姿を現した。


 その名は《智天使》を意味するケルビィム号──

 《熾天使》セラフィム号と対をなす、古代文明の姉妹艦だ。


 ゲートを抜けると、リュシアが、また不安な声をあげた。

 「レオン様……エルディアに帰る前に、あの衛星に降りましょう。 以前おっしゃっていた地下都市へ……。 子供たちを安全な場所に……」

 

 レオンは、リュシアの『勘』を信じていた。

 数年前、エルディア王国で起こった崖崩れを、事前に察知して子供たちを救ったからだ。

 

 「リュシア副隊長、了解! そうしよう」

 ケルビィム号は衛星エレーナの地下都市に、進路をとった。


 レオンは巧みな操縦で、クレーターの入り口に突入した。衛星エレーナの地下都市――かつてAIノアが支配していた基地のドックへと、ケルビィム号を滑り込ませた。


 衛星の地下都市。ここには、グラナディアの手は伸びていないようだ。

 過去にいた野獣型アンドロイド兵器などは姿を消し、静かで自然豊かな都市となっていた。


 「リュシア、急ごう。 子供たちをここのシェルターへ降ろすんだ。 ここなら敵に見つかることもない」


 「はいッ! 子供たちを安全な場所へ!」


 * * *


 子供たちを安全な場所へと避難させる。また迎えに来る事を約束すると、レオンはすぐに地下都市の中枢部にある通信装置の前へと向かった。

 

 「ソフィア姉さんと通信しよう。……状況を確認したい」


 * * *


 一方、エルディア城――作戦室。


 ソフィア達は、この窮地の脱出方法に知恵を絞っていた。


 「……あと6時間で、刻限よ」

 ナギサの沈痛な声が響く。


 その時、ファランの青ランプが点滅した。

 「緊急! 緊急! レオン様です! 回線開きます」


 ノイズ混じりの通信機から、懐かしい声が響いた。

 『……こちらレオン。 ソフィア姉さん、聞こえるか?』

 

 「レオン!? よかった! 無事なのね!」  

 ソフィアの瞳がゆれた。


 『ああ、リュシアも無事だ。 ノアから預かった子供たちもいる。 今は衛星エレーネの裏に潜んでいる』


 レオンの言葉に、その部屋に希望の光が差した。


 『ソフィア姉さん。 エルディア王国の状況を教えてくれ』


 ソフィアは声を震わせながらも、簡潔に状況を伝えた。グラナディアの奇襲、サディス隊長の殉職、そして――カレンの拉致。ミディスからの降伏勧告のリミットは、残り 6 時間であること。


 重い沈黙が流れた。その絶望的な状況下で、しかし彼らは諦めることなく、カレン救出と反撃作戦の案を共有し始めた。


 カレンの身を案ずるレオンは、通信機器の前で目を閉じて拳を握る。

 リュシアは、歯を食いしばって涙を堪えていた。


 レオン「エルディア王国の上空の、敵の大型戦艦。 そちらを我々で奇襲します。 合わせて、グラナディアは、この艦ケルビィム号の存在を知らないはずだ。 作戦決行の時まで、存在がばれないようにします」


 ミレイ「エルディア城、上空の艦を叩いてくれるだけで、この作戦の成功確率があがるわ!」


 ソフィア「光が見えてきた。 カレンを絶対救出する!」



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